庭を作るという事は、そこに住む方の「心象風景」を形にする事だと思っています。
庭をお作りする前に、簡単なヒアリングシートにご記入いただくのですが、具体的なご要望よりも参考になることがあります。
「心象風景」には、もちろん原風景や育った環境の景色が含まれますが、心の中で作り上げた理想の場所、極端に言えば映画やアニメの景色でも良いと思っています。
先日、鹿児島の住宅メーカーのスタッフ様向けの勉強会をさせて頂いて、益々その思いを強くしたのですが、やはり自分自身の理想の庭の形が無ければ、お客様には伝わらないと思います。
それは、荒涼とした大地に草花を植えていくことではなく、心の中にある種にお水をかけて芽吹きを待つことで、ちょっとした俄雨のようなきっかけがあれば、自然と育つものだと思っています。
少しお話を聞いただけで、おばあちゃんの家の庭にあったザクロの木や、ヨーロッパ映画の中の街の景色と色々と教えて頂きました。
ある男性スタッフは「自分には何もないのですが、草野球の時の土の感触や草の匂いを憶えています」と・・。
いやいや、その体験が素晴らしくて、もしかしたらお客様が無機質な庭を作ろうと考えている際に、「芝生を敷いて、裸足で歩き回ったり、寝そべったりも楽しいですよ!」なんて提案が出来るかもしれません。
ですから、庭作りは、お客様の心に出来るだけ寄り添って、ご提案し、形にする事だと考えます。
お客様に寄り添うという事は、やはり経験や、感受性を育む事が大事で、それだけに奥深く、深遠な世界と言えるかもしれません。
本日は保育園の園庭の庭作りのお打合せで町田まで・・。
まずは、園長先生様はじめ、先生方の心象風景を教えて頂く作業から始まりました。
幼少の頃にあった原っぱの景色や畑の畦道で食べたおにぎり、小川のせせらぎや、親に隠れて食べた野イチゴの甘酸っぱさ・・。
色々教えて頂き、沢山のヒントを頂きました。
今日、お顔を見せて頂いた沢山の子供達の「心象風景」に刻まれる、お庭造りが出来たらと思っています。
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