皆さん、こんばんは。
昨日の山では強い北風に吹かれて寒い思いをしましたが、下山後に皆さんのブログを拝見し、この日が二十四節気の霜降であったと知って合点がいきました。
今年は気温の変化が異常ですが、これから立冬に向けて一気に紅葉が進んでくれれば一安心です。
霜降
檜原村の林道にて(2016年撮影)
北風、と言えばーーー
昨日、登山口の日原で挨拶を交わしたおばあちゃんが「今日は悪い風が吹くねえ、気を付けて行ってらっしゃい。」と送り出してくれました。
こうして山麓の集落で土地の方々と挨拶したり、おしゃべりすることも低山歩きの楽しみの一つです。
日原で立ち話を交わしたおばあちゃん。
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日原(にっぱら)集落
鍾乳洞で知られる日原集落は、JR奥多摩駅から北へ約10kmに位置し40世帯66人(2020年)が暮らす山間の集落です。
お店が一軒も無くて下山後のビールを買うことも出来ませんが、奥多摩登山の拠点として度々訪れている馴染みの場所です。
東日原地区(2020年11月撮影)
~過疎化~
雲取山をはじめ1,500m超級の山稜に囲まれた日原川の水源域には、且つて沢山の山小屋(作業小屋)が存在し、炭焼き、林業、漁業が盛んに行われていましたが、今はすっかり過疎化が進んでいます。
中日原地区に残る共同水場(2020年11月撮影)
日原小学校跡。昔は小学校もあったのですね
~石灰採石~
日原川流域は豊富な石灰石資源に恵まれ、今も何ヶ所かで稼働が続いています。
且つて多くの労働者が日原で暮らしていたそうですが、今は廃墟化したアパートがその名残を残すのみです。
山間の集落には不似合いな鉄筋コンクリートの廃アパート。奥多摩工業の社宅跡です。(2020年11月撮影)
~トボウ岩~
日原集落の下流側には、且つて「トボウ岩」と呼ばれる巨大岩壁がありましたが、今は白い岩肌を晒した採石跡に変わり果てています。
左斜面にトボウ岩の痕跡が見られます。(2020年11月撮影)
~獅子舞~
トボウ岩が通行の難所として健在だった時代の日原は、山を越えた秩父側との交流の方が盛んだったそうで、秩父の浦山郷に残る伝統の獅子舞は、日原から山を越えて伝わったものだと言われています。
秩父浦山の大日堂に伝わる獅子舞祭りのポスター。(2018年5月撮影)
浦山の民家で見せて頂いた、昔の実際の獅子舞の写真です。(2018年5月撮影)
~稲村岩~
日原のシンボルである稲村岩の奇観は、ここが東京であることを忘れてしまう程です。
且つて、トボウ岩の如く石灰採掘の対象になりかけたのを住民の反対運動で食い止めたそうです。
当時の日原の人々に感謝して止みません。
稲村岩のてっぺんには祠があり、集落の守り神が祀られているそうです。
~台風被害~
日原は奥多摩登山の需要拠点の一つですが、2019年の台風19号でライフラインの道路が崩落してしまい、半年近くも孤立化してしまいました。
人気登山ルートの稲村尾根は今も通行止めとなっていて、日原を訪れる登山者はめっきり減っています。
以前はバスの臨時便が出る程賑わっていました。(2018年4月撮影)
過疎化、台風被害、コロナ・・・
日原の姿は今の日本の山間集落の厳しい現状を写し出しているようです。。。
何が出来るわけでもありませんが、山歩きでお世話になっている身として精一杯のエールを送りたいと思います。
がんばれ日原!
がんばれ日本の山間集落!
昨日の山行記録をヤマケイオンラインにUPしました。時間と興味のある方はご笑覧下さい。☟
霜降の候、巳ノ戸尾根から鷹ノ巣山 - 巳ノ戸尾根、八丁山、お伊勢山、鷹ノ巣山、浅間尾根 - 2021年10月24日(日) /YamakeiOnline
日原から巳ノ戸尾根を辿って鷹ノ巣山に登り、浅間尾根を下って奥多摩湖畔の峰谷橋まで歩いて来ました。霜降の冷たい風に吹かれま ⇒ 詳しくはYam...
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(本日も最後までご覧いただき有難うございました)