忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

朝日がチューダーローズを庇う理由

2012年04月06日 | 過去記事


19世紀における白人の植民地支配のやり方は同じ。先ずは便利な華僑を用意する。これに商売をさせて宗主国と現地人の間に入れる。少数派の原住民をキリスト教に改宗、コレには軍隊やら警察やらを任せる。白人様はその後ろで美味しい思いだけをする。間接統治だ。

16世紀に入るとセイロン(スリランカ)はポルトガルが来た。この国の南西部にはシナモンがあった。あとはインドのケーララにしかない、ということで、これはヨーロッパで莫大な利益を生んだ。セイロンも普通の国。2千年と続く歴史ある国だが、当然、内部で権力争いがあり、当時はようやく「3つの王国」に分かれて暮らしていた。そのひとつ「コーッテ王国」がポルトガルに接触。この国を支配したくはないかい?と騙されて支配される。カトリックに改宗することを命じられ、逆らえば殺されるという「お約束」にやられる。沿岸部を支配していた同王国は丸ごと飲み込まれる。これらはその後、日本が明治維新、富国強兵を目指した理由となる。世界情勢はそろそろ内部で権力争いしている場合ではなくなっていた。


でも、まだ中央部にはシンハラ語を話すシンハラ人がつくる「キャンディ王国」がある。ポルトガルは1000人規模の軍隊を2度送るが、シンハラ(ライオン)を冠する戦士は弱くなかったから皆殺しにされる。そのときポルトガル人は、シンハラ人が崇める「仏歯(お釈迦様の左犬歯)」を腹いせに盗みだすが、これがまたニセモノを掴まされていたと知りビビる。しかし、相手は腐っても白人、近代兵器を持つ白人文明と戦い続けるのも骨が折れる。キャンディ王国はここでやってはいけないことをする。つまり、オランダと手を組む。

オランダは「キャンディ王国の独立」を約束。セイロンはコーヒーも作るようになる。オランダは沿岸部を征服してポルトガルを追い出す。こうして1658年、オランダ統治時代が始まる。独立国・キャンディ王国はポルトガルが弾圧した仏教も復活。上手くいくかに思えたオランダ統治だが、これが貿易で揉め始めると、1796年、キャンディ王国はまたやる。

今度はイギリスだ。仏教徒が「仏の顔も3度まで」を失念した結果は最悪だった。

イギリスはオランダ植民地となった都市を襲撃する。それで終わりかと思ったら、今度はキャンディ王国に矛を向けた。捕らえられた王様はモーリシャス島に流される。2千年続いたシンハラ王朝はその歴史を閉じる。コーヒー豆は病気になる、ということで今度はイギリス人らしく紅茶も作らせた。日本人はそれを「セイロンティ」と呼んで呑気に飲んだ。

インドネシアにはオランダが来た。華僑を連れてきて商売をさせ、原住民のアンポン人、ミナハサ人をキリスト教に改宗させて最下級兵士にし、300以上ある部族の長に同民族を納めさせ集会を禁じた。インドネシア人は道端で「3人以上」集まって話していると逮捕されることになった。当然のことながら差別は凄まじく、消費増税のドタバタに隠れて20日に閣議決定されるらしい「人権救済機関設置法案」が本当に必要なほどだった。当たり前のように「犬とインドネシア人お断り」の看板が街に溢れた。

19世紀のビルマも同じ。イギリスは華僑とインド人を放り込んで金融と商売をさせる。モン族、カチン族などの山岳部族を山から下ろしてキリスト教に改宗、警察官にする。手口は同じだ。ビルマ人は全員が農奴となった。ちなみに支那人はそれをぜんぶ、自分のところで賄う。犯罪者を放り込んで商売をさせる。キリスト教に改宗させる代わりに共産主義者にする。ぜんぶ支那人を使う。さすが捨てるほど人間がいる国は違うということだが、これら白人列強の植民地にされまくるアジアの国々を20世紀初頭、衝撃的な事件が襲う。日露戦争の日本の勝利だ。

「有色人種が白人国家を負かす」という夢のような話が出てくる。それからしばらく、今度はその夢は夢じゃなかった、と多くのアジア諸国の人々は知ることになる。

今まで絶対的な力の象徴だった白人らが逃げ惑う。インドネシアは9日間でオランダが撤退。真珠湾は爆撃され、マレー沖では九六式と一式の陸攻が空からキング・ジョージ5世級の一艦である「プリンス・オブ・ウェールズ」とレナウン級巡洋戦艦「レパルス」を沈める。これらはその前、日本が明治維新、富国強兵を目指した成果となる。

しかし、同じアジア人とはいえ支那人みたいなのもいる。ちょっとまてよ、支配者が日本人になっただけのことで、その結果は変わらないんじゃ・・・と不安だったアジア諸国民はまた驚かされる。

インドネシアで川を見つけた日本兵は水浴びする。そこにインドネシアの子供が現れて注意する。日本兵が「ふんどし」だけで泳ぐからだ。村の人はイスラム教徒、女の人が驚くから服を着なさい、とやる。銃殺されるかと思ったら、日本兵は馬鹿丸出しで服を着て泳ぐ。とある民家に日本兵が来る。「喰い物はないのか」とやる。インドネシアのおばちゃんはバナナを揚げたり、ナシゴレン(インドネシア風チャーハン)を作って出す。美味い美味いと日本兵は喰う。おばちゃんが嗚呼、命は助かった、と一息つくと、上官がカネを払おうとする。恐ろしくて「のーのー」とやると、ダメだ!として無理矢理でも金を置いて帰る。よほど美味かったのか、その家には次の日も来る。子供がいればお菓子を持ってくる。インドネシアの歌を教えてくれという。

おばちゃんは「変な軍隊」だと思いながらも、張り切って料理を作るようになる。若い兵隊が「お母さん、ライスをお願いします」と来るからだ。その部隊が次の作戦のため村を離れる日、上官も来て「お母さんありがとう」と敬礼した。若い兵隊も泣いている。怖かったはずだが、その「お母さん」は泣いて別れを惜しんでしまう。

1942年2月15日。シンガポールが陥落する。銃を持った日本兵が上陸してくる。さあ、今度は何をされるのか、と構えていると往来を監視し始める。混乱に乗じて店を襲う輩を見つけると発砲して追い払う。なんのことはない治安維持だった。また、この軍隊の兵士は不思議なことに金を払う。ということはつまり、普通の市民でも商売が可能となる。避難していた商売人らは戻ってくる。支那人はチャンスとばかり、どこのなにやらわからぬ商品を集めて捌く。面白い形の時計やらカメラ、コメやアルコールも売れる。経済が流通する。日本軍はその治安もついでに守る。環境も整備する。

そんな日本が戦争に負けた。植民地にされていたアジア諸国には白人が戻ってくる。「日本の戦争が犯罪行為」だったならば、それらアジアの旧植民地国は諸手を挙げて白人国家を「おかえりなさい」と受け入れねばおかしい。「ようやく日本を倒してくれてありがとう」と言わねばおかしいのだが、それを言うのは支那朝鮮だけだったりする。

どころか、他のアジア諸国は武器を手に取り、日本が言う「亜細亜解放」を体現してしまう。実質的に帝国政府声明文(昭和16年12月9日)<而して、今次帝国が南方諸地域に対し、新たに行動を起こすのやむを得ざるに至る、なんらその住民に対し敵意を有するものにあらず、只米英の暴政を排除して、東亜を明朗本然の姿に復し(植民地に成る前の東亜へ戻す、即ち独立国家に戻す)、相携えて共栄の楽を分かたんと祈念するに外ならず。帝国は之ら住民が我が真意を諒解し、帝国と共に、東亜の新天地に新たなる発足を期すべきを信じて疑わざる物なり>を実現してしまった。つまり、日本の「戦争目的」は達成された。日本はボコボコに「負けた」かもしれないが、連合国の白人列強からすれば「勝った」という結果に基づく成果は得られていない。大勝ちしたはずのアメリカもその後、共産主義との戦いで膨大な米兵が死ぬことになる。最近も白人仲間が蒔いた種を刈り取るのに死なねばならないのはアメリカ兵だ。

クリントン国務長官は4日、ミャンマーに対する制裁措置を段階的に緩和していく方針を正式に発表した。おまけでアウンサンスーチー氏の当選に祝意を表した。朝日新聞は<米国の決定を受け、今後ほかの国の制裁緩和の動きも加速しそうだ>となぜだか嬉しそうだが、今年の2月にはもう、ミャンマー政府が日本企業を誘致して上下水道や道路だけではなく、光ファイバーケーブルのインフラ整備を発注している。「内向き」の朝日新聞は知らないかもしれないが、アジアの途上国がインフラ整備するなら日本に頼みたい、というのは世界の常識でもある。

なぜかというと、それは実践済みだからだ。日本は作った後、白人国家のような搾取もしないし、影響力を残して暗躍したりしない。現地で雇用を生み出しながら、真面目に作って代金を受け取ったら、毎度おおきに、さっといなくなるのが日本人だと、アジアの途上国は知っているからだ。過去、日本は事実そうしてきたし、今も同じようなものだ。イギリスみたいにアウンサンスーチーも使わない。

アウンサンスーチーは植民地時代の支配階級を扇動する。ネ・ウィンはビルマの経済を殺してまで華僑やインド人を追い出した。激痛を伴う処置だが、それもビルマ人のビルマを取り戻すためだった。朝日新聞はミャンマーの軍事政権を北朝鮮のように書くが、正真正銘、本物の独裁軍事国家ならスーチーが民主化運動とやらで何十年も生きていられるわけがない。同じことを北朝鮮や支那でやればわかる。すぐに捕まって殺される。

アウンサンスーチーは勝利宣言の際、真っ赤なバラを持っていた。イギリスの国花だ。服は白いブラウス。合わせるとチューダー朝の紋章のつもりか。どこを切っても英国人だが、ミャンマーの国花は「セイパンツリー」。乾期のあと、つまり、今の時期のミャンマーならたくさん生えている。このミャンマー民主化運動の象徴は、そんなペテンも思いつかない傀儡運動家だとわかる。達成された日本の「戦争目的」<只米英の暴政を排除するに外ならず>が静かに巻き返されている。だから朝日新聞は喜ぶわけだ。


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