忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

タッチタイピングの「タッチ」はナニをタッチなのか

2012年10月24日 | 過去記事



反日デモまっ盛りの上海に遊びに行った女性職員らが過日、無事に帰ってきた。土産でもらった「怪しげなチョコ」は帰宅途中、立ち寄ったンビニのゴミ箱に捨てたが、そのうちのひとり、体重80キロはあろうかという巨漢の女性職員が、わざわざ「上海は治安が良かったですよ、日本のほうが悪いくらい」と言ってきた。(支那は)ドラム缶から死体も出ないし、床下から白骨化した死体も出ないと。

私は相手にせず、そうでしたか、それは結構でした、と仕事をしていたら、別の女性が話題を逸らそうとしたのか、「ちよたろさん、パソコン打つの早いですね」とか言った。私がそう?と振り返ると「ブラインドタッチですね」と言ってきた。するとその巨漢、ええと「ダンプ」と呼ぼう。そのダンプが「それ言っちゃダメなんだよ」とか女の子に注意した。

「タッチタイピング」と言わねばならないらしい。なんだそりゃ、と一笑に付して仕事を続けたが、私の後ろではまだやっていた。ダンプが言うには「ブラインドは目の見えない人のこと、だから差別になるからダメ」とか。

もうひとり来た。こちらも巨漢だ。こっちは「アジャ」でいい。この重量タッグ、二人で来られると私も負けるかもしれない。サンドイッチラリアットとか喰らうのは嫌だが、この「アジャ」も「差別的な言葉は気をつけないと」みたいなことを言う。自分らが「でぶ」と呼ばれないための伏線だ。たぶん、こっちのデブ、ダンプが上海で襲われなかった要因もソレだ。デブでブスで品の無い派手。だから現地の「小皇后(ひとりっ子政策の女児)」と間違われたのだろう。戸籍もない「黒孩子」ならもっと痩せている。

ともかく、さっさとふたりでどこかの食べ放題でも行けばいいのに、人の後ろでわぁわぁ汗かいてやる。今と違って、まだちょっと、残暑が厳しい頃だった。私と合わせると300キロになる。そんなのが狭い事務所の中、一緒にいる。暑苦しいったらありゃしない。

なのに後ろで「障害は障碍か障がい、看護婦もダメ。報告書とかにも看護士って書くでしょう」とかやられている。ったく阿呆らしい。

阿呆らしいといえば、ちょっと前のNHK。たぶん「日曜討論」だったと思うが、復興大臣の平野が「(復興には)マンパワーが必要」とか言ったあと、あ、そうそう、これ前に叱られまして、ということで「ウーマンパワー」も付け足した。阿呆である。

言うまでもなく「マンパワー」の「マン」は「ヒューマン」である。普通に考えれば「人的資源」となる。人的労働力のことだ。もちろん、前提からしてそこに男女の意味などない。文句を言うならウルトラマンとかアンパンマンにも言ってもらいたい。それに「マンホール」はどうなる。これを「ウーマンホール」にすれば、たぶん、どこかが怒ってくる。

しかし、阿呆臭いのは平野だけではなく、最近はもう、婦人警官は「女性警察官」。女流作家は「女性作家」。女房役もダメ。これは「補佐役」と呼ばねばならない。帰国子女は「帰国児童」。婦女子はもちろん、未亡人とかもダメ。女子供もダメ。馬鹿みたいである。

「ハウス」のテレビCM。ラーメンだったかなんだったか、女優さんが「わたし作る人」と言ったあと、男優さんが「ぼく食べる人」とやったら「国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会」とかいうアレな団体がハウス本社に抗議に来る。「男は仕事、女は家事・育児という従来の性別役割分業をより定着させるもの」と馬鹿を言ったら放送中止になった。日産スカイラインもあった。キャッチフレーズは「男だったら乗ってみな」だった。これもアレな連中から抗議が殺到。「キメたかったら乗ってみな」に変えられた。

比して、男はどうでもよいらしく、消臭剤のCMでは「おとうさん、くさぁい」と言ってもOKになる。お父さんが寝ていた布団や枕に家族が鼻をつまみ、消臭スプレーを吹きかけるのは問題ない。某有名消臭スプレーのCMも、臭いのはお父さんと、なぜだか息子、男ばっかりだ。洗剤のCM。汗で黄ばんだシャツは必ず「男性用下着」になる。そもそも「ちんちん」とか「きんたま」はOKもヘンだろう。逆ならピーなのに。

入れ歯洗浄剤のCMもそう。「おじいちゃん、お口くさぁい」は問題ないが、あれが「おばあちゃん」だったら具合が悪いのだろう。そういえば「亭主元気で留守がいい」はちょっと流行ったりもした。マトモな女性ならば、我が妻のように「亭主元気で留守は寂しい!」となるはずだが、これも田嶋陽子みたいなアレに言わせると「馬鹿な女」ということになる。馬鹿で結構。不様よりはマシだ。

「男勝り」もダメ。「女だてらに」とか言ったら政治家は叩かれる。「女々しい」など論外。うっかり使ってしまえば、アナウンサーがCM明けに謝罪せねばならない。でも病院で「看護婦さん」と呼べば嫌がられるかもしれないが「婦長さん」で怒る女性はいない。娘さんをして「才女ですね」と褒めても大丈夫。「才色兼備」もたぶんOK。要するに「女性を持ち上げる」フレーズは問題ない。飲みに行って「女将」とか「ママ」も叱られない。でも「おい、そこの女給」とか「やい、この女中」は店から出されるかもしれない。また、最近は「ホステス」も嫌がられるとか。ンじゃ、なんと呼ぶのかと問うと「おんなのこ」とか「カウンターレディ」と呼べ、となる。ホステスの男性形名詞である「ホスト」はそのままでいいらしい。

数段階で都落ちした40過ぎのホステスを「おんなのこ」と呼ぶのもどうかと思うが、ま、これも時代の所為なのである。だからこの「ダンプ」や「アジャ」も傷つかずに生きていける。いま、この「食べ放題姉妹」に虐められている女性は彼氏もいるし、見た目も非常に可愛らしいから、この「超獣コンビ」の標的、屈折したコンプレックスの餌食にされている。太った女はいつもニコニコ、なんでも「おいしーおいしー」と食べているから愛らしいと、最近流行の「女芸人」でも知っている。このカボチャどもに彼氏どころか、男の影すらないのは、このとおり性根が曲がっているからである。

ところで、私はいつも可愛い女性の味方。ひと通り仕事を終えて助け船を出す。

でも、ヘンな言葉ですよね、と言ってみる。「タッチタイピング」を直訳すると「鍵を触って入力する」となる。元々は「触鍵法」という。つまり、当たり前田のクラッカーよりも当たり前になる。「ブラインド」とは盲人という意味ではなく、本来は「見ないで(何かする)」ということだ。だから「手元を見ないで」「入力する」ことを言うなら、こっちのほうが正確だ。「見えない」ではなく「見ない」わけだから、これはなにもおかしくない。

また、こういう馬鹿どもを洗脳する連中、例えばNHKなんかは支那朝鮮の反日教育のことを「愛国主義教育」と言い換える。自分の国を愛国すれば反日になる、というのが既に異常だとは気付かない。「言葉のチカラを信じている」とかいう真っ赤な新聞紙も、民主党政権になってからは「派閥→グループ」「料亭→日本料理店」などと苦心し、説明責任とか閣内不一致とか、任命責任とか、またブレた!とか、直近の民意とかバラマキとか、人気取りとかパフォーマンスとか、自民党政権のときは毎日聞いたような言葉が消えていった。

そういえば、日米が共同開発したミサイル「SM3ブロック2A」をヨーロッパに売却する、となったら朝日はコレを「移転」と書いた。まさか民主党政権が「武器輸出三原則」を踏みにじっているとは書けない時期だったのか、当時、来日していたゲーツ国防長官も「(売却は)経済的に有意義」と述べている。つまり、売ったら儲かるね、と言っている。しかし、民主党政権なら「武器輸出」は「海外移転」になる。阿呆らしい言葉のすり替えだ。



さて、私はその「彼氏もいる可愛い女性職員」にダイエットの話を振った。なにやらダイエットフードで頑張っているとか。彼女が「ぜんぜん痩せないンですよ」と笑ったあと、そんなにスマートなのにどこを痩せるの?とお約束も問うた。彼女は「えぇ!お腹とかすごいですよ」と腹をさすったが、私も自分の腹をさすりながら、ダイエットというか、減量というのは私みたいな「体重が不自由な人」がやるんです、ん?違うな、やっぱり「自由」なのか、自由に太れる権利なのかも、と笑った。

すると「ちよたろさん、やっぱり、たくさん食べるンですか?」と「アジャ」が入ってきた。食べますよ、そりゃ、酒もたくさん飲むしね、と無愛想に応えるも「わたしは食べないンですよ、意外と」とか得意気に言う。これを言うデブは稀に見かけるが、最初に言っておくと、コレは私の琴線にふれる。大嫌いな言い分なのだ。「喰わないデブはこれデブにあらず」は私の座右の銘だ。デブとしての矜持の問題だ。

―――それはすごい。地球の食糧問題が解決する、戦争も無くなる、飢餓も無くなる。是非、志願して解剖してもらってください、消化器系かどこか、もしくは、栄養吸収の効率に画期的な発見があるかも。ノーベル賞取れますよ、と言うとむっとされた。それから「彼氏のいる彼女」に「要するに足し算と引き算ですね、喰った分だけ動けば太らない。私は動きますが喰う分が多すぎる。喰わずに太るなら動いていない、水を飲んだだけで太るとか言う奴もいますが、それは水風船だけです。サボテンでも養分を吸うのに」と説明した。

それでも「アジャ」は体質がどうの、遺伝がどうのとやりだす。それほど「太っているのは仕方がない」にしたい。自分の所為じゃないと言いたい。だから世間からは「デブ」と呼ばせない、という根拠になる。自分の責任じゃないのに、それを嘲笑するなど人権蔑視、差別助長だと周知したい。自分の勝手で働かずに権利だなんだと生活保護を毟る連中と似る。そろそろ、むかむかしてくる。実に体に悪い職場だ。

でも考えてみる。たしかに「デブ」は体質もある。遺伝もあるかもしれない。そうならば「おし・つんぼ・めくら」やら「どかた・ぎっちょ・びっこ」に比して「酷い差別用語」なのかもしれない。「ハゲ」とか「チビ」なんてのもある。しかし、これを「毛髪の少ない人」とか「身長の足らない人」と言えば、これはこれでなんかとてもアレだ。「体重が多すぎて身長が足らなくて毛髪が少ない人」と言われたら、すごく凹むかもしれない。

「ブス」を「顔が醜い人」と言うのもどうだろう。これなら「ブス」のほうがマシではないか―――とか考え込んでしまった。すると「アジャ」は自分の言い分が効いたと勘違い。だからね、そういう体質の人もいるんだから、とまとめに入ったから、私は素直に「つまり、あんたは病気なんですね。なにか先天性の病なわけですな、私はただのデブですが」と言ったら絶句した。返す刀、そのまま油断していた「ダンプ」にも「上海ではブラインドタッチは“盲打”というそうですな。盲人の盲に打つ、ね。凄まじいまでの差別的な言葉ですね。ぜったいに仲良くしたくない国です」と斬りつけた。

「彼氏がいる彼女」も黙っているから、それじゃあ、そういうことで、と帰宅した。次に日が休みだった私は、ウィスキーを飲みながら500グラムほどの肉を焼いて喰った。肉を焼くとき、ニンニクとニラを使って朝鮮風にした。とても美味かったのだが、風呂から出た妻が「おとうしゃん!くさぁい!」とか言ってきた。差別かと思ったが本当に臭かった。




2 コメント

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Unknown (あきぼん☆ギッチョ)
2012-10-25 22:19:35
先日は楽しかったです

また年末ハイボールで
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Unknown (久代千代太郎)
2012-10-26 09:44:19
>あきぼん殿

どうもどうも。お疲れ様でした。

年末ハイボールは寒いですけど、まあ、それもよろしいですな。みんな胃も弱くなったし、鍋でもつつきましょう。
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