< 集団で登下校中の児童の列に乗用車などが突っ込む事故は近年後を絶たず、児童が犠牲となるケースも少なくなく、遺族からは厳罰を求める声が上がる。
平成23年4月には、栃木県鹿沼市で登校中の小学4~6年の男女6人がクレーン車にはねられ死亡。クレーンを運転していた男はてんかんの持病があり、自動車運転過失致死罪で有罪が確定し、服役中。遺族は同種事故の厳罰化や運転免許制度の変更を求め、約17万人分の署名を提出した。
21年4月には、広島県呉市の市道で一緒に下校していた小1女児2人が降りた直後の路線バスにはねられ1人が死亡。事故は入学式から3日目のことだった。
14年1月には京都府綾部市で、登校中の小学生の列にワゴン車が突っ込み、1人が死亡、11人が重軽傷。17年5月には宮城県多賀城市で、横断歩道を渡っていた高校生の集団に乗用車が突っ込み、3人が死亡、22人が重軽傷を負った>
<「無免許で乗ったらどんなことになるかということは、言って聞かせてたつもりなんですけど」(容疑者少年の父親)>と言うが、まさか「こんなこと」になるとは言って聞かせてはいないだろう。この父親が言う「どんなことになるか」とは、例えば無免許運転で捕まったら1年以内の懲役、もしくは30万円以内の罰金、あとは19点も引かれてしまうぞ、という程度ではなかったか。
「交通三悪」というのがある。無免許運転、飲酒運転、速度超過がこれになる。事故の原因として悪質、危険だとされるトップ3だ。無論、免許があろうが無かろうが、これらの幇助も19点を引かれる。亀岡の事件。同乗者の餓鬼も未成年だから、コレは家庭裁判所に送られる。そこで目出度く検察庁に送られれば、ほぼ確実に“処罰”が下される。しかし周知の通り“処罰”とはいえ大したことはないから、この餓鬼らも呑気に携帯電話を弄っていられる。事故直後も被害者を気遣う様子もなく、ただ、ぼうっと立っていただけらしい。傍観者気取り、自分は運転していなかったから関係ないもんね、という感じか。
最近、京都の見慣れたところが連続して「事故現場」となった。少し前は祇園で暴走車。運転者も死んだが、祇園を散策していただけの12名が怪我をして7名が亡くなった。今回は亀岡で集団登校の10名が死傷。7歳の子供と付き添っていた26歳の妊婦さん、そしてお腹の中の赤子も亡くなった。痛ましい限りだが、これも「人を殺すなら車でGO」とばかり、危険運転に対する「罪過の軽重」が大いに影響することは言うまでもない。
平成12年に道交法改正があった。神奈川県で建設作業員の男が検問を突破、猛スピードで逃げ回り歩道に乗り上げて大学生を二人轢き殺した事件がきっかけだった。捕まえてみると、男は無免許運転で飲酒していた。車は車検も受けておらず無保険だった。男は業務上過失致死罪で訴えられる。同罪は5年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金。これは窃盗罪よりもヌルい。被害者の母親は、この法律ができたのは明治後期、自動車事故を想定していないとして法改正運動を展開する。署名は37万を越えた。結果、事故の翌年となる平成13年、危険運転致死傷罪を新設する刑法改正案が国会で可決された。合わせて飲酒運転の罰則も強化される。すると平成17年、飲酒運転件数は半分になった。
しかし、コレには欠陥があった。悪質極まる「逃げ得」を発生させた。平成17年の福岡県、中道大橋のアノ事件だ。8月25日22時頃、福岡市西部動物管理センターに勤務していた22歳(当時)の運転する車が、中道大橋の上で家族5人が乗るRV車に飲酒運転で衝突。RV車は欄干を突き破って海に転落した。4歳、3歳の男児と1歳の長女が暗い海の中に沈んだ。追突した男は救助もせずに逃走。大学生の友人は大量の水を飲ませて証拠隠滅を図っていた。テレビコメンテーターには「危険運転致死傷罪が重すぎるから逃げた」というのもいた。厳罰化が悪影響した、という言い分を垂れ流した。真っ赤な弁護士は「飲酒運転の影響はない。原因はわき見運転。それに被害者の父親は居眠り運転だった」と外道をやった。真っ赤な弁護士は、これは業務上過失致死だとして地裁で懲役7年6カ月の判決が出ると世間は沸騰した。ふざけるなと。結果、最高裁が上告を棄却して危険運転致死傷罪を認定、道路交通法違反の救護義務違反(轢き逃げ)と合わせて懲役20年を下した。それでも20年。この男は最長でも42歳で社会に出てくる。
平成19年には「刑法の一部を改正する法律」によって刑法211条2項が改正され、自動車運転過失致死傷罪が新設された。「危険運転」と判断されなくとも、悪質な運転とされる場合に分類される事例に対応する。飲酒運転も更に厳罰化、捕まる馬鹿はずいぶん減ったし、事故は10年前の3分の1以下になった。左巻きがなんと言おうが「厳罰化=馬鹿減少」は明白である。厳罰化こそ馬鹿につける薬、とりあえず「最も効果的」なのだ。
取り急ぎ、未成年であろうがなかろうが、無免許で捕まったら問答無用「一生免許を取得できない」くらいはやれないのか。それなら、この馬鹿餓鬼の父親の言う<無免許で乗ったらどんなことになるか>にも必然的に説得力も増そう。
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久代千代太郎
親爺
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