忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「30年代に原発ゼロ」目指す=民主提言、政府戦略に反映へ

2012年09月10日 | 過去記事



<民主党は6日、衆院議員会館でエネルギー・環境調査会(会長・前原誠司政調会長)を開き、将来のエネルギー政策に関し、「原発ゼロ社会」を目指すため、2030年代には原発稼働をゼロにするよう努力することを柱とした提言をまとめた。来週決定する政府の新エネルギー戦略に反映される見通しだ。
 調査会の議論では、原発ゼロの具体的な年限を示すことに慎重な意見もあったが、政府が国民向けに行った意見聴取会や世論調査で、30年に原発ゼロを求める意見が多かった点などを踏まえ、努力目標として提示することとした。
 提言では、原発ゼロに向け、(1)運転開始から40年経過した原発は原則廃炉とする政府方針を厳格に適用する(2)停止中の原発は、原子力規制委員会に安全確認されたものだけ再稼働する(3)原発の新増設は行わない―とする3原則を明記。その上で「30年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とした>








NHKラジオに東北大学の教授が出ていた。ちょっと前だ。中身は「超高純度鉄」ということだった。市販されている「高純度鉄」の純度は99.9996%だが、この東北大教授、安彦兼次氏の作った鉄はそれより「不純物が100分の1」というものだった。ドイツもフランスもアメリカもお手上げ状態、どうやったらそうなるのか、日本人は何をしているの?というレベルだ。

ここまで「鉄」になったら、もはや、我々の知る「鉄」ではなくなる。もう錆びない。それから銀色に輝き、塩酸でも溶けない。学校で習った金属のイオン化傾向の常識が通じない。この「鉄」は柔らかく叩いて変形させるのは容易だが、代わりに切断が難しい。つまり、割れたりしない。連邦軍の白いモビルスーツなんかの装甲に使うとよろしい。

私は普通に「すごいなぁ」という感想を持った。素直なモノだが、NHKのアナウンサーはちょっと違った。「ソレ何に使うの?」と馬鹿にし始めた。コストも凄いですよね、と。

教授は笑いながら「作ったのは良いンですけど売れなくてww」と調子を合わせていた。それから「ともかく一所懸命に作っていた。ドイツやフランスに追いつこうと研究していた。あるとき、振り返ったら後ろに誰もいなかった」とカッコイイことも言った。追い抜いて突き放して見えなくなった、ということだ。日本人ならこの感覚は理解できるが、NHKのアナウンサーには意味不明らしく、諸外国は無意味だから作らなかったんじゃ?とかおちょくる。

馬鹿相手に余裕の対応をする教授はさすがだが、実際はもう、ベルギーは「原子力発電の燃料棒に最適」だとして関心を示す。また、マサチューセッツ工科大学の研究チーム、マックスブランク研究所(ドイツ)、サンテティエンヌ国立鉱山大学(フランス)など、その業界では超がつく世界的な専門家らが必死になっても「99.9996%の高純度鉄」を数グラムの塊にしかできなかったが、日本の東北大学が「高純度鉄」の「80キロの塊」を作ったというから引っ繰り返った。これは専門家らの想像を絶する驚異的なことだった。

日本にはこの高純度鉄、100キロを作れる溶鉱炉がふたつある。だから「送ってくれ」となる。東北大学は「99.999%」の塊を作って送ることにした。安彦兼次氏は惜しげもなく「後進に伝えたい。国際的な拠点も必要」と言う。NHKアナウンサーは、それは良いことだ、と上からモノを言ったあと、日本人はそういう無駄に思えることにも懸命になる、何に使うのかわからないまま、一点集中で必死になる、とかやる。要するにオタク気質だと言いたい。視野狭窄で器用なだけ、と見下したい。NHKみたいに、なんでもテキトーにやっていればいいのに、としたい。

日本人は「適当」はともかく、この「テキトー」があまり好きではない。東北大教授も「超高純度鉄を作るぞ」とは喧伝しない。出来ることを積み重ねていき「出来た」時点で「出来ました」と世間に言う。もしくは「こうすればできるんです」と具体的に、丁寧に説明する。決して相手を馬鹿にして「わからないなら、あんたが馬鹿なんだ」とも言わない。

しかし、民主党は「テキトー」が大好き。「テキトー」に言っておけば、あとでなんとでも開き直れる。政権交代を果たしたマニフェストさえ、その後に「言い分け集」を用意するほどのテキトーさだ。だから「スローガン」と「公約」の区別さえ曖昧にする。

そんな集団がいま「2030年に原発ゼロ」を言い出す。原則は三つ。40年過ぎた原発は廃炉にする。停止中の原発再稼働は原子力規制委員会が確認したモノだけにする。新しい原発は作らない、だ。つまり「エネルギー政策」ですらない。経済への影響にも触れていない。ともかく原発をなくします、と言ってるだけだとわかる。確認しておくが、これは大のオトナが書いている。税金でメシを喰う「せんせい」らが集まって言っている。

原発をゼロ、代わるエネルギーの普及にはとりあえず「50兆円」いる、と試算される。それから電気代が倍になる。一般家庭はともかく、企業や工場は飛んで逃げる。これらをどうするのか?と問えば、それはいまから「知恵を絞って」とか言う。2012年もあと、残すところ3ヶ月と少しか。2030年までは17年になる。この3年と少し、これほどまでに約束を破り、嘘を吐き、開き直って無能を晒した連中が「17年後」の話をする。話している連中も含めて、信じる人はいるのだろうか。


先日、落雷で施設が停電した。止まってみればわかるが、結構、電気に依存しているモノだと身に沁みる。エアコンは無論、水道も止まる。トイレが流せない。また、何かあってもエレベーターが使えない。自力で階段を上り下りできるのは、70名ほどの利用者の中で一人か二人だ。時間帯は早朝だった。職員の手が足りない。全員の朝食を運ぶのに20回くらい、2階から5階まで階段を往復した。

自家発電はある。この時もすぐに切り替わった。「4時間大丈夫」という発電機は3時間経たずに軽油が切れた。その後は真っ暗。一気に蒸し暑さが襲ってくる。医療機器の一部も止まる。なにより利用者が不安になり、不穏になる。目が届かないから一箇所に集めて、電気が回復するのをじっと待つ。

大変だったが、これはまあ、落雷だから仕方がない。しかし、例えば政治家の仕事とは「こういうことが起きないように」と考えることである。専門家を使い、官僚を使い、方法と予算を出させてから決定をする。「落雷をなくします」は嘘になる。だから「落雷しても大丈夫な方法を考えます」となる。どんな方法かはともかく、その大前提としては「停電しない」ことを優先させる。安全に快適に暮らす、という大前提を揺るがせてまで口約束をする必要などない。生じる諸問題を放置したまま、日本の経済やら生活やらをガタガタにして17年後、約束通り原発ゼロにしました、と言われても困る。本末転倒だ。

原発をなくすな、とは言わない。他に安全に使えるエネルギーがあればどうでもいい。それは「ある」と言うなら、それも結構。ただ、諸問題を解決して実用可能になってからの話だ。日本の経済、日本人の生活に影響を及ぼさない、という大前提が成ってからのことだ。それから妙な連中、エネルギーではなくイデオロギーでウロウロしている連中がいる。「原発反対」のプラカードの裏にハングル文字がある画像もあったが、それと同じ構図が透けて見える。

日本の原子力技術とは、先ほどの東北大学教授の「鉄」と同じく、最先端技術の結晶だ。それは日本の国力であり、日本の財産だ。韓国内23基の原発は、地震も津波もないのに今年、既に3件も事故停止した。昨年は7件。それでも脱原発は言わない。孫正義も言わない。世界一安全な日本の原発にだけ言う。核兵器を保有しない日本に対して「核兵器反対」を言う不思議さが似る。それからハングル文字大好きの民主党、選挙が近いと慌てて「原発ゼロ」を言い出す。薄気味の悪さも似る。




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