大阪府公安委員会主催の「暴力団対策責任者講習」とやらに行く。
3年ぶりか。なんとも月日の経つのは早いことで、もう切り替えの季節であるかと呆けながら行く。もちろん、工作員2号に送ってもらう。私もまだまだ37歳。ひとりでお出かけは危険がいっぱいなのだ。
ノーネクタイで黒のスーツを着込み、サングラスをかけて車を降りると2号から「危ないです・・・」とツッコミが入る。ただでさえ「「暴力団のような2号」に送り届けてもらっているというのに、中からやっぱり・・・という感じのオサーンが出てきたら、それはもう「暴力団対策をスパイしに来た暴力団」というか、「ぼうりょくだんがあらわれた!ぼうりょくだんAはようすをみている!」ということも否めない。サングラスは外す。
会場に入り、静かに読書してマツ。
一番乗りぃ♪
警察OBが出てきた。講習開始である。
「まず、みなさまに暴力団の仕組みを教えます。」
と始まった。「仕組み」だぁ?むむぅ?
「まず、“おやぶん”という人がいます。」
と言ったかと思うと、でかいホワイトボードに組織図のようなものを書き始める。「おやぶん」と書いてある。
なるほど、一番上は「おやぶん」という人がいるのだな。
「その下に、“こぶん”という人がいるんですね。」
か、かいちょ・・・
と言うと同時に「おやぶん」の下に「こぶん」と書いた。なるほど、「こぶん」さんだな。よくわかった。それで?
いつの時代のヤクザだ・・・
「おやぶんは“くみちょう”とも呼ばれます。」
なんと!呼び名が違うのか!
それは警察の捜査をかわすための偽装工作であろう!なんとも執拗で抜け目のない・・・
「“こぶん”は“おやぶん”の言うことは絶対に受け入れねばなりません。サラリーマンの皆様よりもずっと厳しい世界なんですね。」
・・・・。
このクソポリ公。何を根拠に「サラリーマンが気楽」だと抜かすか・・・ま、まあ、いい。そ、それで・・・?
「・・・で・・その下にも“こぶん”が続きます。“わかがしら”とかは聞いたことあるでしょう?」
つ、つまり、「おやぶん」と「こぶん」でいいわけだな。その説明を聞くために、わざわざ朝早くから起きて、スーツを着て、車に乗って、やってきたというわけだなしばくぞ。
「今からビデオを見てもらいます。そして、その映像の途中、いくつかの状況でみなさんに実際に体験してもらいます。みなさんは、その状況に応じた対処で暴力団を撃退してください。」
・・・・!!
そ、それは面白そうではないか!!「餓鬼の遣い」だと判断するのはちょっとマツ。実際に暴力団が我々を脅してくるわけだな。よし!男一匹・久代千代太郎。全社員の代表としてここにいる限り、無様な姿は見せられん。毅然と、且つ、エレガントに撃退して見せようではないか。どんとこい。
「Vシネマ」を外された俳優のようなチンピラ役者が出てきた。おおぉ・・・なんか「ビーバップハイスクール」の劣化コピーのような演技派であるな。おっと、VTRではチンピラが会社に電話をかけてきたらしい。さあ、どうなるんだ?
チンピラA:「今から、うちの事務所こいやぁ!ああぁごるぁ!!」
・・・・。
ん?画面が止まった・・・??文字が・・・
≪さあ、みなさん答えてください!≫
・・・・・!!??
な、なんと・・・このシチュエーションだったわけだな!!
ポリ公:「はい、えぇ~~~っと、12番の○▽さん。」
・・・!!あてられるの??
わ、わ、私は・・・何番だったか・・・な、73・・・73番だな・・・あわわ・・
12番さん:「は・・・はい・・・・」
哀れな・・・・12番さん・・・お気持ちはよくわかります。お気の毒ですな。
12番さん:「あっと、あの・・・」
ポリ公:「・・・・答えてくださいね。主人公の役です。」
12番さん:「・・・・ああ、えっと、いやです。」
ポリ公:「・・・・・はい。では、正解を見てみましょう。」
≪相手が指定する場所には出向かないようにしましょう。相手からの呼び出しに対しても、理由を述べて断り、会社などで応対するよう心掛けましょう。≫
・・・・。
おいおい・・・・この状況こそが「不当要求」ではないのか。こんな茶番に付き合えという国家権力の強要こそが問題だとあれほど・・・・助けてくれ共産党・・・
≪さあ、暴力団があなたの会社にやってきました。暴力団は・・・≫
チンピラA:「おう!社長出せや!社長!!ごるぁ!!」
ポリ公:「はい、ええと、28番の▽▲さん。どうぞ。」
28番さん:「・・・・・はい。ええと、いやです。」
もう、どっちの意味の「嫌です」なのかわかんない。
≪いきなり裁量権のあるトップを出すことはいけません。先ずは担当者であるあなたが対応することを相手に告げましょう≫
・・・・・。
暴力団の代弁ではないがな。
ンなもんで何とかなると思うてるんか?ああぁ?
私はそんなことを考えながら、残りの質問に当たらないことだけを願いつつ、時間が過ぎるのを待ったのであった。ええくそ、毎年劣化しとる。お役所仕事、困ったもんだ。
でも、不動産関係の社長さんにはわろたww
「質疑応答」の時間ずっと、
「怖い場合はすぐに警察に電話していいですよね?あのすごく怖い場合なんですけども・・・もう、会うだけでも怖いっていうか、すごく危ない感じで、あの・・・」の連発ww
私が暴力団なら、迷わずあんたの会社に行くわいwww
まあ、しかし、「暴力団追放センター」なんかは心強いもんだ。私は追放される側ではないからな。そして、マニュアルで撃退できる程度のクソチンピラなんぞどうでもいいが、対応を誤ると具合の悪い場合もあろう。
先の「怖がり社長さん」のような人にも罪はないのだ。怖いもんは怖いし、はっきり言って「メンツを潰されたヤクザ」は恐怖の対象である。例え、最初はクソチンピラであっても「メンツ」が懸かると「極道」に変身すると思っていたほうがいい。普通のオヤジが「家族を護る」時の強さに匹敵すると言えばわかりやすいかもしれん。
強盗でもチンピラでも「金出せ!」の間は怖くないのだ。怖いのは「金はもういらん」となったときだ。「メンツ」で喰ってるから、それだけは命懸けで守りにくる。
だからこその「暴力団追放センター」なのであり、「弁護士」や「警察」なのである。あくまでも「自分の力ではどうにもなりません。国家権力に助けてもらいますね?」という姿勢が肝要なのである。ただの素人さんに「追い返された」とか「相手にされない」では、相手の「メンツ」にかかわるわけだ。その際、向こうは「本気」でくることになる。妙な言い分だが、ヤクザが「引きやすい状況」を作らねばならんのだ。
「暴力団」の武器は「恐怖」と「無秩序」である。単純な暴力だけならば、そこらの「喧嘩自慢」に遅れをとる可能性も十分あるわけだ。だから「喧嘩にならない(実力行使しなくても済む)」ことが重要になる。そして、それを抑制する側の武器は「公権力」なわけだ。
そして、その「公権力」とは「国家」に他ならん。我々の自宅に「拳銃がない」という常識は「国家権力が護ってくれる」という前提で成り立つ理屈なのである。いずれにせよ、「電話1本で来てくれる」もしくは「異変に気づいて確認してくれる」というのは、我々が造って支えているはずの「公権力」のことなのである。
平和に、普通に商売を営んでいる店に暴漢が現れたとき、「公権力」は武装して駆けつけてくれる。そして、その脅威を取り除くことに命をかけてくれるわけだ。その対象が身内でなく、見ず知らずの他人であるにもかかわらず、己の危険を顧みることもなく突入してきてくれる。「暴追センター」も無償で相談を引き受けてくれるし、被害にあった場合や訴訟になった際においても無利子での貸付さえある。これらはすべからく、「国家が国民を護る」というシステムに他ならない。
少々飛躍してモノを言うと、『国家』を否定し、『公権力』を忌み嫌う似非平和主義者はコンゴやダルフール、パキスタンに居住してから文句を吐けと言いたい。「秩序」を護るための暴力装置は近代国家としての常識であり、必須要件であるのだ。それが崩壊した国に移り住んでこそ、その究極の理想は具現化するのだろう。己の命と引き換えにな。
さらに、コレも言うまでもなく、ならばその「公権力」はなぜに命をかけて護ってくれるのかを思考するに、そこには「公共心」というものが絶対的な存在感として君臨するはずだ。人間が命をかけて何かを成すとき、そこに金や地位は無意味化するからだ。
私の倅は「警察官になる」と言う。仮にその夢が実現して、だ。何らかの事件発生から倅が「命をかけて」功を成したとする。その際、私が倅に対して「倅は国家権力の犠牲になった」と嘆くとき、倅はどのような心境になるのかいうまでもないのだ。その誇りに敬意を払い、その崇高な精神を引き継ぐとき、その意義は報われるのである。
絶対的な戦前否定からなる左翼思想は、その悪意や企ての薄汚さもさることながら、その実現(国家転覆)という目的のために「公共心(愛国心)の破壊」を目論んだということは、絶対に許されない。「秩序の破壊」を目的とする行為に正当性があるはずもない。
左翼勢力の願望である「国家解体」がなったとき、この国の秩序はどうなっているのか。もはや「暴追センター」では対応しきれまい。すぐさま暴力団まがいの新たな権力が台頭することになろう。「公共」は崩壊する。「みんなの税金で作った公共」がなくなるとき、税金という名の「みかじめ料」を支払わされることになろう。
そんなことはないと抜かすか?
ならば隣の大陸を見ればよい。その歴然たる事実は動かせまい。
今、この国は着実に、あの国に「近づいている」と思われる。
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