ふとここまで記事を書き続けてましたが、私は一体、若い頃にどんだけ車とバイクにお金をつぎ込んで来たんでしょうか。私の若い時代では、男は会社に入ったら車を買うのが、ある意味で当たり前でした。そしてその車の彼女を乗せてドライブするというのが、一つのステータスであったように思います。
ただ私の二十代はというと、当時、システム開発の会社に勤務していましたが、深夜までの残業は当たり前にあって、時には会社に泊まり込んだり、休日出勤したりと、仕事漬けの日々だったので、車はあっても彼女はおらず、車の隣に乗るのは常に「腐れ縁」ともいうべき男友達だけでした。
でも何かそれが楽しかったんですよね。
さて今回は117クーペについてです。
この車は結局、スカイラインのローン支払いが完了するまでの三か月近くの間、お世話になった車です。当時の私は細かい事は知らなかったのですが、この車はジウジ・アーロというイタリアのデザイナーがデザインした車で、今でも一部には根強いファンがいると言います。
そんな車を惜しげもなく、貸してくれた中古車屋のオバさん社長、本当に不思議なお方でした。
この車ですが、乗ってみると木製のインパネに丸型の計器が幾つか並んでいました。水温系、電圧計、時計、タコメータ、速度計。マニュアルは5速でしたが、「ガキン、ガキン」という感じで、言葉良く言えばとても機械的なものを感じるものですが、まあ癖のあるシフトチェンジ感でした。
何よりもこの前に乗っていたサニーとは異なり、車体がとにかく重く感じました。エンジンもそれを動かすだけのトルクとパワーを具えているので、「鈍重」という感じではありません。
ただサスペンションがやけに「フワフワ」しているので、コーナー等を曲がるときには、曲がる方向と反対方向にかなり沈む感じもしました。
あとハンドルにはパワーステアリングが付いていないので、止まったままでハンドルを切るのには難渋しました。これは以前に乗っていたスカイラインTIでも同じだったのですが、ハンドルを回す際、少し半クラッチにして車をゆるゆると動かしながら切る事をしなければなりません。
まあ何に付けても癖がある車なのですが、シートは革張りで視線も低く、スポーツタイプの車というのを実感させるものでした。
この車に乗っていると、当時は仲間からは「なんちゅークラシックカーに乗ってんだ?」とからかわれたりもしましたが、けして「嫌な車」という感じではなく、「何か癖があって、扱いつらい車」というのが、当時の私の率直な感想でした。