妹が、某生命保険会社で人事をやっている。彼女が生まれて以来仲が悪いので、普段は「ゴミ箱とって」くらいしか話さないが、最近俺のなかでアツいテーマについて、思い切って訊いてみた。晩めしの「すきやき」を食いながら。
「お前人事でさ、何やってんの?」
「面接」
「誰の?」
「新卒」
「中途は?」
「う~ん、普段とってないけど、ごくたまにいるよ」
「新卒にさ、なに聞くの?」
「うーん、志望動機とか、何がやりたいか、とか」
「それで? その結果をどうやって会社に伝えるの? チェック項目は?」
「特にないよ。自由欄になってて、元気がいいとか、やる気がありそうとか書くの」
「え、えらい簡単だなぁ。そんなんでいいのかよ」
「私ひとりで、10人くらい相手にするからね。細かいことなんか書けないし覚えられないよ」
「最終的な合格率は?」
「3%くらいかな」
「入ったあとの人事制度ってさ、誰がどうやって決めてるの? 刷新とかある?」
「人事部で検討した結果をもとに会社が決めるよ。今ちょうど制度改革中」
「ふーん。コンサルとか使ってんの?」
「うん、使ってる」
「どこのコンサル?」
「A社と、R社」
「へぇー。A社は中途採用でも使ってんの?」
「うん、中途はぜんぶA社」
「入社まで行った場合のロイヤルティーいくら?」
「30代年収1,000万以上クラスの総合職で、○○円くらい」
「すげー。そんな払ってんのか。そこまでして採った社員ってさ、ちゃんとやる気だして会社に貢献とかしてくれてんの?」
「分かんないけど、やる気はあるんじゃない? 人事部はみんなやる気あるよ」
「それって何についてのやる気? 例えば、優秀な人材を獲得してその人材が流出しないような誰もが満足いく制度を作って、会社をより成長させることに燃えてる……とか?」
「まぁそんな感じかな。あと、全国の拠点間の異動考課とかが大変」
「へぇー。いい会社だねぇ」
「うん。でも私一般職だし、女子社員は先がないから、いろいろ動いてるけどね」
「そうか。まぁ、がんばれ」
……いやー、妹とこんな風にいたってまともな会話をしたのは実にひさしぶりだ。ひさしぶりすぎるうえに普段の俺の兄としてのキャラとは乖離しているので、ある意味緊張してしまう始末。
それにしても、である。やっぱ、“組織と個人の両方が幸せになれる人事制度”って、
・組織としての経験の蓄積
・外部からのノウハウの吸収
・内外の実情に照らし合わせた刷新
みたいなものが必要不可欠なんだろう――という結論に、なんとなく達した。さて、達したところで……どうするんだっけ? ――いや、どう……したいんだっけ?
♪上を向~いて~ 歩こうよ~
「すきやき」の出汁を吸いきり、余りまくったしらたきに箸を運びながら、自然とこのメロディーを鼻ずさむ俺がいた。
「お前人事でさ、何やってんの?」
「面接」
「誰の?」
「新卒」
「中途は?」
「う~ん、普段とってないけど、ごくたまにいるよ」
「新卒にさ、なに聞くの?」
「うーん、志望動機とか、何がやりたいか、とか」
「それで? その結果をどうやって会社に伝えるの? チェック項目は?」
「特にないよ。自由欄になってて、元気がいいとか、やる気がありそうとか書くの」
「え、えらい簡単だなぁ。そんなんでいいのかよ」
「私ひとりで、10人くらい相手にするからね。細かいことなんか書けないし覚えられないよ」
「最終的な合格率は?」
「3%くらいかな」
「入ったあとの人事制度ってさ、誰がどうやって決めてるの? 刷新とかある?」
「人事部で検討した結果をもとに会社が決めるよ。今ちょうど制度改革中」
「ふーん。コンサルとか使ってんの?」
「うん、使ってる」
「どこのコンサル?」
「A社と、R社」
「へぇー。A社は中途採用でも使ってんの?」
「うん、中途はぜんぶA社」
「入社まで行った場合のロイヤルティーいくら?」
「30代年収1,000万以上クラスの総合職で、○○円くらい」
「すげー。そんな払ってんのか。そこまでして採った社員ってさ、ちゃんとやる気だして会社に貢献とかしてくれてんの?」
「分かんないけど、やる気はあるんじゃない? 人事部はみんなやる気あるよ」
「それって何についてのやる気? 例えば、優秀な人材を獲得してその人材が流出しないような誰もが満足いく制度を作って、会社をより成長させることに燃えてる……とか?」
「まぁそんな感じかな。あと、全国の拠点間の異動考課とかが大変」
「へぇー。いい会社だねぇ」
「うん。でも私一般職だし、女子社員は先がないから、いろいろ動いてるけどね」
「そうか。まぁ、がんばれ」
……いやー、妹とこんな風にいたってまともな会話をしたのは実にひさしぶりだ。ひさしぶりすぎるうえに普段の俺の兄としてのキャラとは乖離しているので、ある意味緊張してしまう始末。
それにしても、である。やっぱ、“組織と個人の両方が幸せになれる人事制度”って、
・組織としての経験の蓄積
・外部からのノウハウの吸収
・内外の実情に照らし合わせた刷新
みたいなものが必要不可欠なんだろう――という結論に、なんとなく達した。さて、達したところで……どうするんだっけ? ――いや、どう……したいんだっけ?
♪上を向~いて~ 歩こうよ~
「すきやき」の出汁を吸いきり、余りまくったしらたきに箸を運びながら、自然とこのメロディーを鼻ずさむ俺がいた。