自宅での過ごし方はいろいろで、読書もその一つ。50年以上にわたってたまった大量の本、数年に一度整理、処分することはしてもまだまだたくさん残っている。家族には、もしもの時はすべて寄贈するなり、廃棄処分してくれと言ってはあるが、もうこれ以上は買うまいと決めている。
しかし、本屋は情報の宝庫であり、どのような本が出回っているか、とくに新書版は様々なジャンルを見まわして、これと思うものをたまに買って読むようにしている。偶々、いただいた図書カードの残りが2000円ほどあり、今日、近所の本屋に出かけた際、久々に3冊買いこんだ。しめて2862円也。
田中ひろみさん著「仏像なぞり描き」2冊(池田書店)。私は仏像写真中心に撮影活動をしているが、以前から写仏にも興味があった。薄い線画を筆ペンやサインペン、鉛筆などを使ってなぞるもので、色を塗ってもいい本だ。仏画は、繊細さも必要であるが、配色は数多くの仏像写真撮影で培った経験が役に立つかもしれない。
もう1冊が山口路子さん著「オードリー・ヘップバーンの言葉」(大和書房)。今月15日第一刷が発行されたばかりで、見つけたと同時に手に取り、帰宅後すぐに一気読みした。世界で一番好きな女優オードリー・ヘップバーン、永遠の美しさに惹かれて「ローマの休日」は何度見たことか。
63年の人生の中で語られた様々な言葉が、「美」「愛」「仕事」「人生」「使命」の5つの章に分けて書かれていて、短いながらもオードリーならではの気品と慈愛を感じさせる言葉で溢れている。
第1章の冒頭は、表紙の帯に書かれている「私は自分を美人だと思ったことはありません」。コンプレツクスだらけの女優とある。長男のショーンも「母は、自分のことを美人だとは思っていなかった」と語っていたという。
痩せすぎている。胸がない。背が高すぎる。足が大きい。歯並びが悪い。顔が四角い。鼻が大きい・・・。コンプレツクスがたくさんあったというわけ。誰も信じないだろうが、本気で美人だと思わないと言っていたようで、彼女を知る多くの人が、オードリーの謙虚さだという。その謙虚さが彼女の美しさを際立たせていたと書かれていた。
オードリー・ヘプバーンは、美しい女性として世界中の人に知られた人であるが、その美しさが外見だけでなく、謙虚で控えめなのに強い芯ののある人で、静かな、けれど圧倒的な存在感があった。そんな彼女を唯一無二の人として決定づけたのは、ユニセフの特別親善大使としての活動だと記されている。
彼女は1929年5月4日、ベルギーのブリュッセルに生まれた。十代で悲惨な戦争体験、死の恐怖に怯え、この世のひどい悲しみを身をもって知ったという。
また、両親は仲が悪く父親が家出、そのショックを長い間引きずり、常に愛情に飢えていたらしい。そして2度の結婚と離婚を経験、それぞれの結婚相手との間に、息子が一人ずつ、仕事よりも家庭を優先して育てた。
人生のラストシーズンは、最良のパートナーと出会い、あえて結婚というスタィルを選ばず、静寂と自然に囲まれたスイスのトロシュナに家を購入して、1993年1月20日63歳でこの世を去る。死因は癌であったが、自分の運命を受け入れて、最後の最後まで、乱れることなく静かに、周囲の人たちに愛の大切さを伝えていたという。
大好きな人の、映画のセリフでない、私生活のすばらしい言葉を見つけられて、生きることのヒントをまたひとつ教えられた気がする。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます