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昨日今日と、朝日新聞朝刊経済欄「銀行カードローン上・下」を読んで危惧する。
簡単な手続きでその日のうちに借りられる銀行カードローンの宣伝が著しい。
しかもひどいと思うのは、借入300万円までは収入証明も不要で、50万円だったらその日のうちに借りられるということ。こんなに簡単なカードローンはかつての銀行にはなかった。
本業の一般貸出が伸び悩んで、個人の住宅ローンやカードローンで、運用の強化をはからずを得ない事情も理解できるが、銀行の安易な貸出しはやがて個人の家計の破綻を招くことは必至である。
住宅ローンの低金利で少々のカードローンがあっても何とかやり繰りしている人も多い。しかし、高度成長期のような収入増は当面見込めないことや、少子化と言えども子どもの教育費負担も大きくなる時期は、家計がひっ迫してやむを得ず更にカードローンに頼る人も少なくないと思う。そんなとき、金融資産を多く持つ祖父母の援助があればいいが、そうもいかない家庭も多い。
かつて私は銀行で法人融資、個人融資ともに経験してきたが、一時、個人の住宅ローンや住宅金融公庫代理貸付、カードローンの延滞管理の統括マネージャーをしたことがあり、大勢の延滞者を知っている。
大企業から中小企業の役員になって、個人保証の担保にもなっていたマンションが競売にかけられ、奥さんが自宅で自殺、その翌日には夫が後追い自殺という痛ましい事件もあった。
延滞管理をしていて最も辛かったのは、聾唖のお母さんのカードローンで、金利自動融資による極度超過(約3万円)が期限までに払えないと、中学生の息子に学校を休ませて電話をかけさせた事例。
障害年金が出るのが支払期限の3日後で、それまで待ってほしいという。待ってあげたいのはやまやまだが、もしも入金がない場合は保証会社の代位弁済を受けられない。結局何とか工面して入金されたが、銀行員として因果な仕事をしている自分を苛む日々が続いた記憶がある。
この銀行カードローン記事の隣に、銀行窓口ゆったり型というタイトルで、最近の銀行ロビーの特徴を記事にしていた。
ひと昔前は、銀行に入るとカウンター内部の奥まで見通せる広々とした営業室が多かった。ところが最近はオープンスペースはごくわずかで、狭苦しい感じのする銀行が多い。近頃は銀行強盗事件が少なくなったのは、犯人にとっては押し入りにくくなったのかもしれない。
以前の金融機関は銀行、信託、生保、証券などなど業務の棲み分けが出来ていて、金融商品もそれぞれ特徴のあるものを販売していた。いまはその垣根もどこへやら、すべての業務を兼業できるような状況にまでなってきて、どこへ行っても同じような品揃えで金融の百貨店ともいえるところが多い。
私のいた職場は信託銀行で、高度成長期の貸付信託(のちのビッグ)ば年利7.37%で、300万円非課税適用で年2回の配当合計は221100円もあった。今の都銀の1年定期の金利は年0.01%、300万円の利息は税込み300円である。ちなみに当時の貸付信託は、5年複利で8.46%、元金が約5割増し10年では倍にまでなった。
財産を増やそうと思ったら、株式などの投資に頼ることとなるが、玄人でもなかなか儲からない。私たち庶民としては、確実な金融商品で少しずつ貯めていくしかない。タイで捕まったつなぎの女王などに引っかからないよう用心用心。
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