ハチの家文学館

ハチの家写真館(http://hachinoie.exblog.jp/)の文芸版

孤族

2010年12月26日 10時37分53秒 | ハチパパのひとり言

 

社会のかたちが変わっている。恐るべき勢いで。                                                                                                     家族というとき、思い浮かべるのは、どんな姿だろう。父親、母親に子ども2人の「標準世帯」か、それとも夫婦だけの世帯だろうか。今、それに迫るほど急増しているのが、たった1人の世帯だ。「普通の家族」という表現が、成り立たない時代を私たちは生きている。                                                                                     外食産業、コンビニ業界、インターネットなどにより、昔と比べて一人暮らしは、はるかにたやすくなった。個人を抑え込むような旧来の人間関係から自由になって、生き方を自由に選び、個を生かすことのできる地平が広がる。                                                                                                               だが、その一方で、単身生活には見えにくい落とし穴が待ち受ける。高齢になったら、病気になったら、職を失ったら、という孤立のわなが。血縁や地縁という最後のセーフティーネット、安全網のない生活は、時にもろい。                                                                                                              単身世帯の急増と同時に、日本は超高齢化と多死の時代を迎える。それに格差、貧困が加わり、人々の「生」のあり方は、かつてないほど揺れ動いている。たとえ、家族がいたとしても、孤立は忍び寄る。                                                                                                                           個を求め、孤に向き合う。そんな私たちのことを「孤族」と呼びたい。家族から、「孤族」へ、新しい生き方と社会の仕組みを求めてさまよう、この国。「孤族」の時代が始まる。 (朝日新聞朝刊記事より)

今年10月31日にひとり住まいの弟が急死した。弟も妻を亡くして15年余り,再婚もせず長男夫婦からの同居要請も断って、長年住み慣れた家を離れず独居生活をしてきた。毎週末には娘と孫が遊びに来ていたものの、よくぞ頑張ったと思う。亡くなった日、兄貴がたまたま弟に何度電話をかけても出ないので、もしやと思い駆けつけて、その日のうちに発見できたのはせめてもの慰めだった。朝日の記事のような血縁、地縁と無関係な孤独死とは違うが、こういうときのひとり住まいは寂しいものである。                                            核家族化が進み、離別、死別で独居している中高年も多い現代、弟のような死に方は増えていくのかも知れない。

私は19年前、20年間の寡暮らしに決別して、今のカミサンと再婚した。もし再婚していなかったらと思うとゾッとすることがある。もしも未だに一人でいたら、不安な毎日に慄いて、誰にも気づかれないまま死んでいたかもしれない。つくづく今のカミサンと再婚してよかったと思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿