このケーキセットを頂くのが目的では無かったが……
朝食抜きで訪れた私を旧知の友人のように、もてなして頂いた奥様と一(はじめ)氏に謝意をこめて
冒頭画像として使用させて頂こうと思う。
今日まで福岡に、このような写真館、いや写真家が存在したことは全く存じませず
K's先生から「井上孝治氏」の事を知らされなければ、氏のことを知るのは
もっと先のことに、なっていただろう。
訪問にあたり、最小限の知識と情報(道順等の地理的要件)のみで、とにかく自分の目で
観て見なければ、始まらないという何時もの心構えなのである。
現地に立ってみると、この場所は所謂、高級別荘地であり、地図には表示されないが
10棟以上の別荘が点在するリゾート地だった。
予約時間(12:00)の開館には少し早いが、建物外観なども撮らせてもらおうと守衛さんに門を上げて
もらい坂道を進む。守衛さんは「左に行って突き当たりを右」だと教えていたが、そのように進むと
間違いなく別の別荘に辿り着くだろう(事実、私がそれでした)
正しくは左回りにトラバースし乍ら、始めは坂の一番頂上を目指し、最上部の別荘が現認出来たら
右に曲がる、というのが正しい誘導であろう。
このように書くと、スコーレヒル内で迷うように思うが、じつはここに辿り着くまでが大変なのである。
一氏も往路途中で挫折しかかった客を「途中まで迎えに行くことも、あるよ」と話されていました。
シャガの咲き誇るエントランスを下りて、先に建物一階にある「ギャラリー」を気が済むまで見せて頂いた後
二階に招かれ珈琲をご馳走になりながら、ご夫婦と話をさせて頂くのがこの私設写真館のスタイルである。
一氏、自ら、点てて頂いた珈琲。
豆は大濠公園近くの「珈琲美々」のモノで氏のお気に入りだとか。
ネルドリップの珈琲は手作りの柔らかと湯の温度とは、別の温かさに満ちたモノでした。
近頃は黄砂来襲により、水平線を見るのが難しい状態だとか。
この日の閲覧予約は私一人であったが、週末のひとときを父親の作品を展示したギャラリー併設の
別荘で過ごす、ご夫婦のゆっくり流れる時間を共有させて頂けたことは、私にとって大変、有意義な体験であり
今後の写真生活に与える影響は「少なからずや」と思うのであります。
談話室に唯一ディスプレイされている井上孝治氏の作品。
因みに最初に刊行された写真集「思い出の街」(定価¥3,045)は現在Yオークションで
1万5千円という値を付けた後、大方のサイトで完売入荷予定無しという状態ですが
こちらには未だ少し在庫があるようです(来館購入限定・通販不可)
個人的に購入したのは、黒岩比佐子氏(故人)初のルポルタージュである文庫本。
これは「評伝という書き物や如何に」という事を如実に表現した秀作でありましょう。
200ページから以降は「T-BOX必須」だとお知らせしておきます。
ギャラリーの展示は今年6月末迄は返還前の沖縄を取材した「井上孝治・沖縄の笑顔」
7月、8月は休館(この間に次のシリーズの焼き付けをされるそうです)予定だとか。
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施設:井上孝治写真館
所在:福岡県糸島郡志摩町野北1497-73(スコーレヒル内)
電話:092-330-5566
FAX:092-330-5567
開館:12:00~17:00
開館:3~6月、9~12月(12月は第二週まで)
入館料:800円
閲覧予約:必須(HPよりメールで)※2015年末閉館
閲覧者一人
なんか時間がゆっくり流れているような素敵な写真館ですね