↑新コロ対策で窓を開けて走る大トロ(大阪メトロ)
今年も予定では4月の中旬に来ることになっていた大阪堺市での定期検診を
終え検査料を払い病院を出たのは昼過ぎだった。約30年連続して桜の舞う
季節からコロナ禍で8月の盆休みまで延期した故の事であるが、この暑さは
殺人的では無いか。来年はまた時期を元に戻して貰おうか等と考えながら
病院前の側道を新金岡の駅に向かって歩いていると、突然目の前に半ば
倒れそうになりながら現れた二十歳前と思しき女の子。
顔はこの暑さで赤くなっている。
「すっ、すみません、大阪労災病院は何処ですか」
私は地元の人間では無いので……と、言うのが普通の流れだろうが
その場所に限っては解ります、自信が有ります(笑)
本来なら地下鉄の駅から、この場所迄来れば眼前に聳え立つ6階建ての大きな
建物が右手に見えるのだが今年から10階建への建て直しが始まっており、以前
は金網のフェンスだったのが見通しの悪い金属板に覆われているのでフェンス
寄りでは見え無いのだ。
「えーと、もう少し先に行く…」と言い掛けて少しフェンスから離れた場所に
誘いながら「あそこに見えます」と指差すると、その女の子は
「この前は車で来たけど今日は電車で来たので」とか
「もう全然方向が分からなくて」とか身の上話を始めたのだった。
地下鉄の駅から地上に出ても大きな金岡団地が見通しを阻んでいるので
そのような事も有るのでしょう。
新型コロナの影響で入院患者への面会は全面禁止となっている故、面会者
では無いだろうし通院かな、若者なら形成外科でリハビリかな等と想像しながら
小さな橋と横断歩道を渡り、振り返ると小川の岸に植えられた緑色の生垣には
白色と赤色の花が良いバランスで咲いていたが、僅か340gのカメラを取り出す
こともせず、冷房の効いた新金岡駅を目指し再び歩き始めた夏の昼下り。
「痴漢が出るの 看板横で 道を訪ねる 若い女(ひと)」