Yassie Araiのメッセージ

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朝日記170314 Hermann-Pillath エントロピー 機能および進化 第2章(因果性、情報、エントロピー)

2017-03-14 19:48:49 | 自然科学と工学

 

朝日記170314 Hermann-Pillath エントロピー 機能および進化

 第2章(因果性、情報、エントロピー)

 

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~~~~~~本文~~~~

2. 因果性、情報およびエントロピー Causality, Information and Entropy

’information’についてのShannonの記法(概念)が、データ通信の定量的見方に焦点があったので、意味論については脇におかれ明示的にされないままであった[28]ことはよく知られている。 情報革命は彼らによって先導されたが、この用語の使用には科学すべてに亘って明確さが得られていなかったのである。事実、非常にしばしば’information’は、Shannonのオリジナルな使用とはまったく異なる意味で使わることが多かったのであった。

 

本論文の中心であるエントロピーEntropyもまた、記号論において、その役割を適切に理解する限界がある。 簡単に言えば、ShannonのエンタルピーとBoltzmannのエントロピーとの間での形式上の収束に限られていたようである。 ここでは、エントロピーの熱力学的記法(概念)と、データプロセシングのプロセスへの技術的範囲内での意味であった。 たとえば、巨大計算のコストや逆計算についての部厚い文献類がそれである。

もし物理的プロセスそれ自身が計算としてみるなら、この技術的な記法(概念)は普遍的な物理的記法(概念)に拡大されうる[2,31–33]。

 

しかしながら、データプロセッシングについてのこの情報の還元(縮減)は量子状態でのもっとも初歩的なレベルでさえ[34]、エントロピーと意味論的情報との間のいかなる関係を確立することができないでいる。すなわち、情報の完全な定義が、その視野で意味するものを含んでいてさえ、情報の記法(概念)からデータの意味を抽出することが出来ていないのである[35]。 

 

この観方からすると、Shannon情報と複数の科学とが領域を越えacrossしての使用が、正当化されるように見える。 それはより広い生命記号論での見方に収束するのである。

しかし、このことはまた、ひとつの挑戦でもある:それは記号論とエントロピーとの間の概念上のリンクをどのように確立するかということである。

 

2.1. 生起因果性と情報との間で失われたリンク The missing link between causality and information

 

最近の遺伝子へのシステム的なアプローチは、この見方が誤った方向に導いているということを証明している。 Shannon的意味においては、この情報informationは遺伝子型genotypeに貯蔵されるとする:核酸塩基の現実に存在する系列と可能な系列の状態空間との間の関係という意味である。それが事実かという点からみると、遺伝子型genotypeは、表現型phenotypeのイメージや、その設計図としての相当のものを、貯蔵するものとしては同じものではない。

遺伝子型genotypeにおいては、その表現型phenotypeについての‘information’は何ら存在してない。

もし、遺伝子型genotype と表現型phenotypeとの間について、これをShannon交信プロセスを考えるならば、送る側と受ける側によってプロセスされる情報の状態空間は、全体として異なっているという単純な事実がでてくる。これはタンパクの生成のごく初期の段階においてさえ真である。

 

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このことが、究極の理由であり、遺伝子’gene’の記法(概念)が、DNAが発見されて以降、数十年の間、研究者は生物学的情報 ‘biological information’の貯蔵として、探索できると確信していたが、現在では、生物学においては、遺伝子’gene’ の記法(概念)は、取り扱い不能であることが証明されたのである。

 

つまり、生物学的な情報を使うなら、われわれはすでに意味論について、限定的に語っている[40]。これは生物学でのシステム的な視点が強調されるものであるが、現在、生命記号論的アプローチbiosemiotic approachとして収束しつつある[106]:遺伝子geneは細胞cellが再生産reproductionに携わる複雑なシステムとして翻訳されるものである必要がある。 そこでは、少なくとも生物学的情報を運搬する単位unitは、細胞cellである。もちろんこれを越える場合もある[42–43]。 われわれが生物学的情報と呼ぶものは、展開developmentのプロセスで構築されるのである。

 

このことは、またこの情報のShannon翻訳にも表れてくる:情報の量の純粋な測度information quantity measureとして、全体として異なる状態空間state spaceが発生学的ontogenical において異なる段階があるため、表現型phenotypeでの情報量は、遺伝子型genotypeでの情報量よりも格段に大きいのである。この量は、ひとつの組織のライフサイクルでもまた変化するのである。

 

この二つの間の結合は物理プロセスによって創生されるのであるが、これが展開developmentである。 展開developmentは生起因的プロセスcausality processであり、ここで遺伝子型genotypeと表現型phenotypeとがつながってくる。

生物学的な情報という用語についての混乱は、相当に広範におきていて、遺伝子還元主義genetical reductionismとの関連項目について、生物学的および社会的科学において基本的な議論さえもが誘発されているがそれはなぜであろうか。生起因的プロセスcausality processとしての発生学Ontogenicsでは、これはShannon的意味でもあるが,

情報informationの流れが同じ方向に進み、かくして、メッセージのひとつの流れと、生起因の方向とが等しいという提案になるようである。これは、もし起こり得るひとつのeventが可能な原因のたくさんあるシナリオを、ひとつの原因に関係するeventがたくさんある場合のシナリオとを比較するとわかりやすい。両方とも決定的な生起因causalityがある。

そのeventをもし、つぶさに観察しないなら、Shannon的な意味では、情報の量はまったく異なる量を伝達している。Dretske [44]によるなら、かれの第二点で明確にされるべきである、つまり意味meaningは、情報informationとは全体的い関係していないということである。

このことはわれわれの日々の言語の使いかたをみれば明らかである:語彙的には同一の文章も、情報としては広く異なって伝わるのである。それは文脈contextに依存しているのである。 

この点を結論的に決めだすとつぎのようになる、生起因causalityと情報informationの間の同一性の欠如は量子物理学での基本的項目にさえ関わっている:ひとつの実験で光子源とそのビームと45度傾いたビーム・スプリッターであるとき、ビームの後ろがわにある検出器は、光子量を半分の確率をもつと記録する。しかしながら、観察者は、検出器には光子が、源の半分の確率で発光したとは結論しないであろう。しかし、確かに、それは量子法則の逆適用に矛盾していて、それは、ふたたび、半分の確率として帰着するであろう。これは、量子の不確定性が、なぜ,いわゆる古典的世界‘classical world’に直接的に作用しないかに対するもっとも直裁的な例示である:それは情報への不確定性への翻訳の必然性がないのであって、観察と相対的関係をもち、異なるシステム同士がどのようにカップルしているかに拠っているのである。 もっとも深い理由として、生起因causalityと情報informationとは、反対の方向に流れるというものである。

 

 

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この予備的な議論は次のことを証明している。もし交信の純粋なプロセスを考えるときに、それがShannonのオリジナルに従うものとするが、これまで、その従い方について、情報固有の記法(概念)として、誤った取り方をしているといることに気が付くなら、この議論は絶対的に適正になるであろう。それは、情報は、少なくとも二つのシステムのカップリングの状態にあるところに滞在していて、それが交信ための前提条件とするのである。

 

生物学的例の議論背景とは対立するが、情報の記法(概念)は、この理念ideaにひろく適合するものがある。 それは環境情報‘environmental information’ [28,44]という理念である。これは、第一義的に観察者に独立記法(概念)である:いま二つのシステムa およびbがあって、システムaが状態 F にあり、システムb はG にあるようにある方式で、生起因的causalに相互にカップルしていてとするものである。この場合、状態Gは状態F の情報を運搬するということを含むとする。

 

情報の記法(概念)は, 送る側senderと受ける側receiverの存在は、はじめは独立していているが、情報の稼働化が、これら二つのシステムにカップルする第三のシステムに依存し、この第三のシステムがG からF を演繹inferする、したがってGは生起因causalityとは逆の方向に運動するのである。

通常では、観察者がその場で来て、演繹の意味で生起因のカップリングを翻訳して遊ぶ状態である。ここにおいて、われわれはつぎの重要な結論に達することになる、すなわち情報informationの最も一般的な記法(概念)はすでに、記号論semioticsにおける、より完全な図式に向かっているというものである。これは、著者が、さらに詳細に探索したい項目である。

 


 

 

2.2. 演繹とJaynesのエントロピー記法(概念)Inference and the Jaynes notion of entropy

 

ShannonとBoltzmannのエントロピーとの間では、二つとも式の形式は全く同形である。しかしながら、その式は、単一システムに関してのみであり、カップルしているシステムには関与していない。もともと単一のシステムのために考えられたものであり、意味論の複雑な項目についてのためではなかったのである。したがってこの概念的な式はわれわれにとっては不便なものである。

おもしろいことに情報についてのもっとも一般的な定義は環境情報の記法(概念)を意味内包しているが、さらに、その概念はエントロピーの概念と関係していて物理的な論争の中心的な場所でもある[44]。 これは演繹(推論)の記法(概念)である。

環境情報は演繹(推論)によって起こされる情報であり、思考対象の生起因プロセスcausal processに関するものである。

genotype/phenotypeの区分の例では、genotypeについての情報を運搬するのはphenotypeであった。これは、生起因についてのわれわれの観察からくるものであり、phenotypeからgenotypeへの然るべき物性を推論することがイメージできるためである。

この言明はgenotypeの記法(概念)がphenotypeについての情報を運搬するというのが誤りである理由を表わしていて、Weisman宣言を含めてネオ・ダーウィンNeo-Darwinianパラダイムの文脈に精確に沿うものである:genotypeは phenotypeについての情報を運ばない、なぜならphenotypeから genotypeへの逆生起因は存在しないからである。

 

もし、われわれがgenotypeからスタートし、phenotypeへの流れがあるとして情報の再構築を試みるならば、情報理論における源とチャンネルとの間に任意の指定の問題に直面する、つまり‘parity thesis’という問題である[38]:かくして、われわれは、その環境をひとつのチャネルとしてみて、そのチャネルを通して、源sourceとしてgenotypeの(仮説的な)情報が流れている、もしくは環境によって運搬された(仮説的な)情報が流れるチャンネルとしてgenotypeをみることができるというものである。

このことは、次の事実を反映している、情報は全体の生起因の鎖のなかに滞在しているのみであって、そしてphenotypeのみがその情報に向かわせる記号(sign)と見なすことができる。これは演繹(推論)がはたらく場所になる。情報についての観察者に相対的記法(概念)での演繹(推論)は、Shannon情報とエントロピーentropyとの間のアナロジーを再考することを許すものである。

 

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物理学でのエントロピーの議論では、演繹(推論)が中心的な役割りを演ずるのである。 Gibbsにしたがって、Jaynes[46]はエントロピーは、つねに、ひとつの物理システムについての無知の状態を参照referするということを証明したのである。

しかしながら、かれのアプローチは、全体的にShannonのアプローチとは異なるものである。 Boltzmannの記法(概念)にたいしては、単にその対応性は表面的であるのみである。

Jaynesはつぎのように議論した;エントロピーは、不確定性の度合いの測度としたのである。その不確定性の度合いとは、観察可能なマクロ状態に対応するたくさんの可能なミクロ状態に関するものと考えたのである。

この不確定性には、次の二つがある;ひとつはマクロ状態についての知識が与えられていて、現実のミクロ状態について観察者は無知である場合である。

ふたつ目は、実験者はマクロ状態のみ操作でき、これでミクロ状態についてコントロール度合いをもつ場合である。

このことは、Gibbs/Jaynes版はミクロとマクロの状態の間の関係を中心におくものである。 ここで、Boltzmann/Shannon版は、ミクロ状態にのみ集中していて、マクロ状態を純粋に認識論的現象領域から除外していたのである。

もし、われわれがエントロピーを可測量とみなすのであれば、必然的に、二つのアプローチには基本的な違いがある。

 

Gibbs/Jaynes版では、物理システムのエントロピーの測度は、マクロ状態の自由度に依存(従属)している。 これらの自由度は、しかしながら、物理的には与えられず、観察者が選らんだ実験設定に依存している。かくして、エントロピーはマクロレベルでの観察者に相対的observer relative項として現れる。

 一方Boltzmann/Shannon版では、観察者相対性は、非明示的に、状態空間の定義によって現われるのである。

還元主義者の統計力学の設定では、この状態空間は観察者とは独立にして現れる。それは 粒子の6N次元に還元されるからである。 Shannon設定では状態空間は送り手と受け手との間の偶然的参照枠組みcontingent reference frameとなるのである。

 

かくして、Gibbs/Jaynesの記法(概念)のみが、マクロ現象として、よって、現象論的熱力学の意味としての状態空間とエントロピーの基本的定義間の直接的つながりを確立する。

 

この要約議論から、興味ある質問が要約されてくる。それはいま意味している環境情報の記法(概念)の演繹(推論)関係と、いま意味しているJaynesのエントロピー概念の演繹(推論)関係との間の関係性の広がりへの質問である。

 われわれは、ひとつの物理システムを考えるにふたつの異なる道筋で記述することが出来るとがんがえる、ここでは‘system a’ と ‘system b’である(図 1をみよ)。

system aは、統計力学のミクロ状態の項で記述され、ここではミクロ状態F1,…,nを操作する;system bは、マクロ状態の自由度をもつ選ばれたシステムに対応し、ここではマクロ状態G1,…,mを持っている。 ふたつのシステムは存在論的に同一であるが、状態Gm が状態Fn に、生起因的に還元するには、沢山の道筋が存在する。

生起因的の記法(概念)を使うに当たって注意が必要である。物理学者はおおよそ、現象論上の物性はミクロ状態で起きたことを否定する傾向があって、これもまた、Boltzmann的視点で、十分なる還元項において考えるのである。つまり、力学mechanicsと原子主義atoministic的な項での思考である(これについては物理学での異論もある[48]をみよ)。

 

哲学的な視点からは、しかしながら、たくさんの議論と反論が存在はしているが、生起因causationとして、ここでは二つの事象eventsの間の特定の関係を参照するのである。つまり、然るべきミクロ状態と、関連しているマクロ-ミクロ物性を確立するマクロレベルでの測定の間の関係の参照である。特に、Jaynesの描像に沿って、生起因は、それを企画する意図からの操作可能性と関連している。ここでは物理学者が通常に考える実験設定に対応したものとしている[50]。 この視点から、液体の加熱は分子の運動エネルギーの増大を起こすが、これによって温度の増大を引き起こすということができる。

 

Entropy 2010, 12

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図 1.  Jaynesアプローチでのエントロピーにおける観察者とシステム

Observer and system in the Jaynes approach to entropy.

 


Gによる Fの運搬情報はその関係にある特定の生起因に依存しているそして、これはGの状態空間を伴って変化するものであり、この場合、F.ではない。厳密にいえば、Jaynesの論議は、この理由で、システムaのエントロピーは物理的には与えられていなが、演繹(推論)内での特定プロセスに関してその大きさが得られるものである。

 

しかし、この内的発生性、つまりシステムa のエントロピーは観察者相対性であり、これは、カップルしたシステムが異なると、異なるエントロピーをもつことができることを意味するのである。つまり、カップリングの生起因しているプロセスの自然性に拠っている(Jaynesは結晶の例をあげ、ここでは温度、圧力、そして体積のようなマクロ状態を選らんだ場合や温度、ひずみ、および電気分極化、など さまざまな実験条件設定をしている)

もし、われわれが、前述した認識判断として 物性Gm が物性Fn で起きないが、ミクロ-レベルにおいて、仕事する生起因のプロセスを考えると、これとマクロ-水準とを単純な概念的関係としてとらえることになって この再構築による複雑性にたいしても、視野を与える。

 

これはphenotype参照に伴うWeismann宣言に対応するものである:phenotypeは単にgenotypeとの相関であり、生起因の逆はありえない、したがって、phenotypeは進化論的動力学でのカゲロウのようなものである。実際、分子的Darwinismの形式的構造は応用統計力学のひとつのケースである。

 

生物学的情報の記法(概念)についてのこれまでの生物学的認識判断では、genotypeへの共通還元としているが、これはエントロピーのJaynes記法(概念)に精確に適合してはいない。 ここでは逆生起因の欠落は無効ではないというものである。

他の道筋として:一方向的生起因性や相関性の一方向的決定があるので、情報はphenotypeとgenotypeとの間のような、G Fの間の演繹(推論)的な関係をのみ曳いているとみる見方がある。これは、system a と system bの間の生起因の関係は、存在論的によって二つが同じであるとして、融合することを否定できないことを意味する。

 

 

 

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朝日記170314特集翻訳Hermann-Pillath 「エントロピー、機能(関数)および進化」(I)

2017-03-14 18:32:48 | 自然科学と工学

朝日記170314特集 翻訳Hermann-Pillath 「エントロピー、機能(関数)および進化」(I)

 

ご案内に返る;

朝日記170315 ピラース Herrman-Pillathのエントロピー論のこと

 (赤いハットの女(ひと)

Translation Communication


翻訳 「エントロピー、機能(関数)および進化:

自然化パース記号論」

Entropy, Function and Evolution: Naturalizing Peircian

Semiosis

カルステン ヘルマン‐ピラース

Carsten Herrmann-Pillath

Entropy 2010, 12, 197-242; doi:10.3390/e12020197

Entropy ISSN 1099-4300

www.mdpi.com/journal/entropy

original paper can be accessed to:

http://www.vcasi.org/sites/default/files/entropy2.p

 

 

Translater ; Yasumasa Arai

Senior Professional Chemical Engineer

Minami-Tukushino,Machida,Tokyo, Japan

E-mail: araraiypol1a@nifty.com

翻訳者 荒井 康全

上席化学工学技士

東京都町田市

 訳者からの要約

Translator’s Summary;

 

This is an outline of Carsten Herrmann-Pillath’s paper :”Entropy, Function and Evolution: Naturalizing Semiosis, Entropy 2010,12,197-242.

He has paid his focus over wide and far aspect from a point of view of Semiotics, which is  realized within a category of System Science Philosophy,  regarding such as artefact and bio-body concern. He has especially concern how it is to be physically related in the terms of information generation and energy throughput on the objects. 

He primarily takes Peirce’s philosophical idea  which is constituting of a triadic framework as Object~Sign~Observation(Manifesting being) and he  extends to lead   his eyes on  informatic mechanism and dynamics interpretation.

 

Entropy is a central term in this paper.  He reviews both fields of Themodynamics and Information Theory.  He has, in this sense, extended a way of  quantitative scale into a state of higher order which is constitutes of  the natural and/or the societal states under the lower order, which are lead by application of Jaynes’ Maximum Entropy Principle and the Peirce’s triadic  framework i.e. (object and sign) with observer.

Brief of paper are  follows:

1. Shannon entropy, as entropy without constraint in relation to the object of taken as information matter.

 

2.  Entropy of Constraint : as functional model with physical constraints caused from physical effect/interaction by any manifest, such as observation(experimenter; interpreter)

3. Substantial Entropy of the system under the  focused : a difference between Shannon entropy  minus Entropy of Constraint.  Jaynes Maximum Entropy Principle says  this difference naturally is to  come to  converge to its maximum value.

4.  Jaynes’ Maximum Entropy Principle says the object system holds the maximum free energy, in another word, active potential(capacity) under its environment such as   field of temperature, field electro-magnetic , catalyst, enzyme.

 Any change from environment causes entropy changes to the object such as physical quantity of the object space, such as cell, plant,etc.

5. A view from human economic side is mostly focused on entropy production caused by constraint enforced by human. This production of value sensed by human, is commonly said as free energy consumption or substantial work energy and it comes to the maximum value by the physical law.

6. Indeed, the consumption of entropy of above item 5 is converged to most ordered leveled state, such as thermal engine efficiency, crystallization formation of molecules. This is termed as  Maximum Entropy Production.

  1. Item 3 above is described in a summary as following;

(Jaynes’ Maximum Entropy Production)=

(Shannon’s Entropy) - (Maximum Entropy  of  Constraints of object)

 

As Pillath main interest, he put on the biological information structure undergoing evolution.  He uses  two of  principle here, which are (1) a triadic thesis of Peirce’s Semiotics and (2) Jaynes Maximum Entropy Principle.

He has  presumed to compose hierarchical level of ‘triadic’ frame bases such as  nested neuronal web network structures of  supervenient/neuronal crossing information passages.

This writer, myself has naturally an interest on the author’s philosophical passage to reach to his idea.  I have reach to recognize that he has  influence by Professor Searle of University of California.  Searle’s philosophical terrain is in combination of Epistemology and Ontology.  Searle’s idea is that the Epistemic knowing constitutes of  observer and sign, and the Ontologic one does of observer and physical object, respectively.

So,Table 1 in this paper,  Pillath  kindly shows  category of functions by  2 x 2 matrix.  This idea is quite meaningful and encouraging scope to our further analytical extending . At this note, I remark as Biological function , it is positioned at the element composed with Epistemic object and Ontological object means.

  Regarding to self-reference paradox, I , as a reader, has honestly very curiosity what he would say. What is supposed who is highest end-observer?  It is yet resoluble. He leaves the first, a nested neuronal web and the second, a communication other- body-being in vicinity are as a rescue out of the paradox.  He positively takes concept ‘qualia’, which is another transcendental being, like as reason of  Immanuel Kant world.  He also suggests recent advances of physics, for instance, Super String Quantum-Gravity theory, and further  hypothetic connection of idea of Parallel universe and Super-venience information order. Though these item is  yet beyond scope of this paper, Jaynes Entropy application under the frame of Peirce’s Triadic Semiotics will be making sense as engineering  scale of  complex of techno-social paradigms.

 

翻訳者からの概要所見: 

本概説はヘルマン‐ピラースの生物記号論の論文の紹介である。かれは、人工体や生体を含む広いシステムでの情報の発生と流れをパースPeirceの三元論である対象~記号~観察(操作主体)に着目し、ここを流れる情報の機構に注目する。情報を物理現象としてその量としてエントロピーに着目して本論文で位置づけたのである。この三元論は(対象~記号)と観察者(実験者)をそれぞれ物理系としてとらえ、カップルした情報機能(関数)モデルである。このためにジェーンズ「Jaynesの最大エントロピー原理」(Maximum Entropy Principle)に着目した。これは、着目するシステムを、二つの量でとらえるもので彼の思考のステップは以下である:

1.無拘束状態non-constraintの理想ランダム信号システムとして、その情報量であるエントロピー「シャノンShannonエントロピー」を考える;

2.観測者(実験者;翻訳者)が実在の物理対象に関係(操作・観測作用)するために、必然的に発生する物理的制約条件physical constraintを機能(関数)モデルfunction modelとして考える。それはエントロピーモデルentropy modelである。

3.上の1. と2.の差が、ここでのシステムの実質エントロピーであり、Jaynesは、この差が自然的に最大になるということを理論的に保証した。最大エントロピー原理である。

4.最大エントロピー原理は、その環境での自由エネルギーの容量もしくは活性ポテンシャルを意味している。制約条件(温度、電磁場、触媒、酵素など)はその環境条件を具体的に供与しているとみることができ、その環境変化に対して情報つまりエントロピーが生成し、その対象空間(細胞、プラントなど)を流通throughputする物理量とみることもできる。

5.一方、実業の産業技術側からみると、制約条件側でのエントロピー生成(上述の2.)がまさに経済価値を生む物理対象であろう。 ここでのエントロピーの消費分を最大にしたい(つまり自由エネルギー源の最大消費である)。結果的に 上記3.での実質エントロピーの差は最小になる。

6.この消費したエントロピー分量が、たとえば熱機関での効率や結晶など物質の構造秩序などに使われ、このエントロピーの最大化を狙うことになる。これが「エントロピー最大生成原理」(Maximizing Entropy Production)とよばれているものである。

7. 上の3.「システムの実質エントロピー」をまとめると次の等式になる;

<Jaynesの最大エントロピー>= <シャノンShannonエントロピー> -< Maximizing Entropy Production by constraints >ということになる。

 

ピラースPillathは、パースPeirceの情報の三元論とJaynesの最大エントロピー原理を使ったのであるが、その研究の主要な目標は, 進化する生体系の情報構造にあった。全体の情報を三元構造のシステムの高度階層化ないし高度nested neuronal化として構造と機構を想定してみている。 

 

ところで、Peirceの記号論を使った、その哲学的地平について、筆者は、キャルフォルニア大学の社会哲学者のSearle教授の強い影響を受けているとみる。 Searleは、パースの記号論にヒントを得たと考えられるが、特にA(対象objectと観察者observer)と B(記号signと観察者observer)とのふたつの機能(関数)リンクの発想ヒントはAが存在論OntologyとBが認識論Epidemicsと捕えれば、ふたつの哲学地平の接合にあったとみ、その哲学的意味は新鮮である。 本論では、Table1で、それぞれの論において主体と客体の2x2のマトリクスを表現して、機能(関数)functionsの様態・性質の吟味をしているところは、現代的であり、新鮮である。(荒井 総合知学会誌2015-1)

このなかで 認識論的客体と存在論的客題のマトリクス要素が生物系機能(関数)Biological functionであった。 この論での予想されるパラドックスであるシステムの自己参照性self-reference functionについては、最後に上流にたつ観察者をどうみるか、意気を詰める思いで臨んだのであった。 ここでは人間脳のニューロナルネット(nested sign)を錨anchorとするtriadの集積に解をもとめるという筋、他人のニューロナルネットとのカップリングに答えを求める期待が、記述される。しかし、彼 Pillathは、非常に高いところからの観察者の意思伝達(supervenience)ということを仮説とせざるを得ないとしている。 本論のなかでChaissonの宇宙規模からの分子、細菌、筋肉、動物脳、人間脳に亘るエネルギー密度(erg/g/sec)での一定の傾向や、平行宇宙(parallel universe)などの最近の諸仮説などを紹介し論じ、最後にひとまず、形而上学的な超越性の境界として理性と同格な生体意思のクオリアqualiaを以て、40ページにわたる本エントロピー論を閉じていることを付け加えておきたい。

 ~~~~~~(本文)~~~~~~

概要:生物記号論(biosemitic)の文献ではふたつの緊張がある、それは生物学的プロセスのごく自然な引用と、その記号論上の概念の中心にある‘意味する’範疇との間のものである。 この二つの次元を橋渡しする重要な用語は‘情報(information)’である。著者は、もし 情報とエントロピー(entropy)との間の関係を再考して、これまでのエントロピーと情報への標準的なアプローチとしてのシャノン情報の概念の中心性を低めるならば、この緊張を解決できるということを論じたい。

エントロピーは、記号論semiosisが ひとつの物理的なプロセスとして、それと機能(関数)をもつ物理システムの間での相互生起性を内包すると見ることによって 十分な活躍をするというものである。 最近の目的論的意味論teleosemanticsへの哲学的な成果を容認するならば、機能(関数)は進化過程から発現する。この文脈(context)は、ものごとを生起する作用相互性 称して、標準相互作用であるが、これと 観察の 二元モード(dual mode)として翻訳され得るものとなる。

かくして、ある機能(関数)functionは、パースの三元的記法(概念)Percian triadic notionのなかでは、記号signとその翻訳者interpretorをともなって現れる。  機能(関数)と記号の双対性を認めることにより、われわれの視野内に ギプス/ジェーンズのエントロピー記法(概念)が加わってくる。この絵すがたは、機能(関数)の記法(概念)にともなう基本的な概念の様相を共有することになる。すなわち、パースの記法(概念)とギブス/ジェーンズの記法(概念)の二つの概念は自然学者の存在論であるが、しかし、同時にこれらは、観察者と相対的に存在すると考える。  

 

かくして、記号論のつじつまは、シャノン測度でのエントロピー記法(概念)に限定されるのではなく、熱力学的定義において十分なつじつま(account)をとりつつ、そのうえでのエントロピーの枠組み概念を置くことにした。 その意味で(記号論としての)つじつま(account)をも合わせることを可能にしようとするものである。

このアプローチの中心的な特徴は、機能(関数)進化と最大エントロピ生成のふたつの間の概念上の結合にある。

著者は、記号圏域(semiosphere)の概念が基本的な物理現象として、どのような意味にあるかを明らかにする。 ハイエク(Hayek)の初期の貢献をとりあげるが、結論として、意味論的に巣網化(nested)された機能(関数)において、‘意味(meaninga)’の指示下達性(supervene)をも論じる。この範疇は いわゆる機能(関数)的に自己引用性(self-reference)を可能にする(ある)機能(関数)をもたらすことを論じる。これを前提としないならば、標準的な(数学上の)集合論的な矛盾から、機能上(関数上)の破綻を表明することを意味することになろう。

 

Keywords: information; functions; Jaynes’ approach to entropy; observer relativity;

maximum entropy production; evolution of functions; Peirce’s concept of semiosis;

semiosphere

Even at the purely phenomenological level, entropy is an anthropomorphic concept.

E.T. Jaynes

鍵語: 情報(information);Jaynes エントロピー・アプローチ;観察者相対性;最大エントロピー・プロダクション;機能(関数)の進化(evolution of functions);パース(Peirce)記号概念:記号球圏

 

純粋に現象論的な水準であってさえ、エントロピーは擬人的概念であ。 E.T.Jaynes.

 

 目次

1.導入

1.1     記号は物理的だ! エントロピー

1.2.  Summary of the argument 

  朝日記170314特集翻訳Hermann-Pillath 「エントロピー、機能(関数)および進化」(I)  

 

 2.    因果性、情報およびエントロピー Causality, Information and Entropy

2.1.   生起因果性と情報との間で失われたリンク The missing link between causality and information

2.2.   演繹とJaynesのエントロピー記法(概念)Inference and the Jaynes notion of entropy

 朝日記170314 Hermann-Pillath エントロピー 機能および進化 第2章(因果性、情報、エントロピー) ↓

  

3.    機能(関数)、進化およびエントロピーFunctions, Evolution and Entropy

3.1.   機能(関数)と主観/客観区分Functions and the subjective/objective distinction

 朝日記170314 Hermann-PillathⅢ-1 (第3章第1節)

 

3.2.   進化する機能(関数)と最大エントロピー生成Evolving functions and maximum entropy production

3.3.   内生的なエントロピーと進化Endogenous entropy and evolution

朝日記170314 Hermann-Pillath III-2(第3章第2節と第3節)  

 

4.     エントロピー および 記号論:自然学化パース

Entropy and Semiosis: Naturalizing Peirce

4.1.   固有の機能化(関数化)としての記号論の再構築

Reconstructing semiosis as proper functioning

朝日記170314 Hermann-Pillath IV(第4章) 

 

4.2.   記号圏域でのエネルギー論 Energetics of the semiosphere

4.3.   人類学的原理の記号論的再形式化 A semiotic reformulation of the anthropic principle

 朝日記170314 Hermann-Pillath IV-2 (第4章第2節) 

 

5.     最終のブリック:意味することと 逆説 

6.     結論 

 朝日記170314 Hermann-Pillath V(第5章および第6章)

 

参考文献 ↓

朝日記170314 Hermann-Pillath VI-2 (Literatures and Notes)

朝日記170314 Hermann-Pillath VI (Literatures and Notes)

 

~~~~~~本文 ~~~~~

1.導入

 

1.2     記号は物理的だ! エントロピー

熱力学的なつじつまと情報理論のそれとの間の緊張はこれまで沢山の議論と間違った理解の原因となってきた。この緊張は情報という用語の使用について分散的であったし、また曖昧さがあって異なる科学間あるいはそれ自体のなかで影を投げかけていた。それは、情報informationのシャノン的アプローチと意味論的それとの間で翻訳的な二元論によって起こされたものであった。シャノン・アプローチでは情報は、形式的にエントロピーと同義であるので、エントロピーと意味論的情報の間の概念関係はあまり注意をひかないものであった。[1]

 

意味の解析において、シャノンの情報、したがってエントロピーは不適切であるという逆の結論さえある。[2] ここでの話題は 特別の関心として生物記号論のよう学問規範に向けられる。 ここでは、意味論的機能(関数)と生物学的な機能(関数)との間においての、物理的プロセスを考究する。したがって記号論での基本的なプロセス(記号の発現と変換を通しての意味するものの生成として一般に理解されている)と熱力学的なエントロピー概念との間の関係を考えるのは意味がありそうである。

 

このようなアプローチはエントロピー・コストを見る意味で情報プロセシングを熱力学的に解析するという文献のながれとは異なるものとなる。なぜなら、ここでは情報の発現と進化に焦点を置いているからである(単なる所与の情報をプロセスするという次元ではない)

著者がこれから説明するように、記号論もまた物理プロセスであるということを現実のものとして理解するなら、エントロピーは全体の理論的構築での中核的位置を占める、そして記号の消費は記号利用者の人口層を通過するエネルギー流と関係する。そして、それ故にこそ、記号論は物理的制約条件のもとでの進化の一般プロセスの部分であり、そして塊りである。[4]

それ以上に、すべての記号はそれ自体、物質エネルギーmatterenergyの状態そのものである。 すなわち、著者は以下の有名な言明を保持している:情報は物理的なものである[5–7]、しかし同時に、著者が論議するのはエントロピーとシャノン情報との同一性については、記号論とエントロピの間との関係からこれを理解するには不十分であることを論議する。

この点をはっきりするために、著者は à la Bunge [8].の科学的存在論をベースとした意味の中で存在論の演習を要求する。

著者はいま彼のシュレーディンガーSchroedinger[9]の提案を取り上げて、いわゆる生命を定義して、かれは、初期時点で、ひとつのプロセスとして エネルギーを獲得して、継続的に低いエントロピの状態を再生産し、そのかわり環境へ高いエントロピーを排出するものとして提案した。著者はこの提案には、あるものがこの絵から失われていると考える、すなわち、そのなにかは、変換を事実のものとして理解するための情報の役割が欠落していることである。これについてはCorning[10] さらに [11–12]を、本論では参考にしている。

これらはパース的転移と似ていて、結局、三元的記号である:記号(輸送体)~対象体~翻訳者の関係[13]であり、いわゆる記号と対象体の二元的関係ではない。

 

この比較をすること、翻訳者の存在が重要であるという視点へ向かわせる。

著者はその翻訳者の物理的、または、より一般的、自然学的つじつま性accountを説明する。この件についてはすでに生物記号論文献において行き渡っている考えである。

翻訳者を機能(関数)と等しくすることによって達することになる。

物理システムにおいて、機能(関数)の付いているものと関数の付いていないものとは基本的に異なることを論議する。さらもこのことはエントロピーと記号について、パースの記法(概念)と関係することを許すものである。なぜなら記号の生成と消費はエネルギーの流れとエントロピの変化を基本的に含む物理的生起プロセスであるからである。

エントロピーの翻訳を合理的ステップとする:著者はJaunes’ [16]のエントロピの‘擬人的anthropomorphic’概念を導入翻訳する。ここでは、サールSearleの意味でのひとつの観察者相対大きさmagnitude[17]を、機能(関数)大きさmagnitudeへ翻訳するもんである。

これが、記号論の翻訳を助ける:著者はパースの翻訳者を、進化された機能(関数)と等しいものする、さらに記号sign(としての乗り物vehicle)と対象objectとの関係をパースのアブダクションとして翻訳し、これをJaynesの推論として形式的に指定し、かくして、記号学を自然学化にいたらしめる。 つまりシャノンのアプローチを超越的にして、記号論とエントロピの概念的統合を構築する。

この思考通路はすでにSalthe[18]によって敷かれている。彼は、原理として、観察者は人間システムhumansystemを超えて延長し、パース記号論の一般化へと達する。

もし、パース記号論を自然学化するなら、この重要な帰着は、情報informationが、もはや物理プロセス側に立脚せず、多くの概念化におけるように、物理現象としての記号の構造を継承している。これを実施するにおいて、著者は分析哲学における最近の展開、とくに目的的記号論[19]に依存する。目的的記号論の筋において、進化的に発現する機能(関数)の内包概念で説明する。

 

 

この内包性embeddednessは、指示下達superconvenienceの集約還元化reduction、もしくは関係として理解されうる。著者の論議は、機能(関数)をともなう物理的システムのサブ集合からの意味の発現を示す特殊な解を与えるものである。これらの機能(関数)は相互にインターロックした機能(関数)、および無限に巣網nestedされた機能(関数)の双方の意味において自己参照的なものであるものとした。

 

そこで、終わりに、著者はクオリアqualiaの問題を再考する。多くのひとたちはクオリアqualiaは、記号論への純粋に物理的なアプローチの限界を明示することして論議してきた。それは 物理的とメンタルの現象の間でひきおこされる楔(くさび)の関係に置かれた。

 

しかしながら、同時にもし、記号論の概念が少なくとも生物学へ拡張されるならば、この位置は物へのメンタルな容量に帰属してきて、初期のvitalism, panpychismなど[20]へのアプローチと比較される。(確かに、この位置は、オリジナルのパースに対応しているかもしれない。かれは 心理‐物理一元論(非物質主義者)の位置を保持していた[113])。

著者はクオリアqualiaに関するべつの見解を提供する。 クオリアは、自己参照的システムにおける矛盾への反省であることを示している。この反省は存在論的な意味のなかで、物理的なものとして残っているものである。

この議論はハイエクHayekが一番はじめに提供したものであるが、当時ほとんど関心を呼ばないものであった[22]。

全体の論議は高度に抽象的である。しかしながら、人間社会と経済システムにおいての記号論的概念を適用するためには、直接的に相応しいものである。

したがって著者のサイバー記号論的枠組みでのエントロピーの役割についての再考については ジョージスキュー‐ローゲン Georgescu-Roegenとの継続を支援するものであり、したがってエコロロジー経済学での純粋な環境的な関心に焦点へ絞られていくことになる。 エントロピーと情報の相性のよさそうな概念化は経済でのエントロピの再言明を与えることができる、しかしこれはまだ小さく、これに関して厳密な系統に至っていない。

 

Entropy 2010, 12

200

1.2. Summary of the argument

この論文はつぎのように進む。第2節では、生物学的情報の記法(概念)に固有のむずかしさについて簡単な議論からはじまる。これは情報の流れと 因果(原因)の流れとについての混乱から来るものである。これらの困難さはパースの観点への移行を予感させる。

シャノン情報にともなう問題を抽出して、著者はJaynesの推論文脈の議論を継続する。この概念はエントロピーの定義において、観測者(実験者)の中心的な役割りを明示的に認識させるものである。

かくして、著者はエントロピーのJaynesの記法(概念)の文脈上での区別の意味をさらに明らかにでる。Saltheは、内部者internalistと外部者externalistの視座との間の区別をしているがJaynesのエントロピーの区分はこれに対応している。観測者相対エントロピーの概念を関数相対エントロピーfunctional relative entropyの概念と等しくすることによって直裁的に進められる。

基本的には、このことは、著者が機能(関数)と観察の双方に対して、進化論的認識論の一般枠組みを応用することを意味している。つまり、機能(関数)と観察のふたつの概念を一体化することになるのである。

これに基づいて。著者はJaynes推論の概念、つまり最大エントロピー原理Maximum Entoropy Principleが存在論的に翻訳され得て、この原理が、進化進行中の機能(関数)と対象システムとの間の関係を記述するものとして位置づける。

この関係においては、対象システムはミクロレベルの状態にあるという前提のもとで、機能(関数)は、マクロレベルの制約条件であるとして段階的に適用される。

進化論的な文脈では、このことは、これらの制約条件のもとで観測されたシステムが、ひとつの最大エントロピー生産状態にあることを内意するものである。Jaynesの推論記法(概念)の自然学化のこれらのステップは、対象システムもまた、機能(関数)である場合と考えるとことで完結する。

 

このことから、重要な結論が導かれる。それは、進化する機能(関数)はより低いエントロピーの状態を代表するのではなく、実際には、エントロピーを増大する物理的メカニズムである。すなわち機能(関数)的進化は、第二法則に直接的に対応するものである。

このことにおける物理的な相関性は、生命の理論において、ロツカ原理Lotka’s principleが中心的な役割りをする。すなわち生命システムでのエネルギー流束energy fluxの最大化である。

かくして、進化にはふたつのプロセスがあることを知覚する、ひとつは増大する観測者独立のプロセスと観測者に相対的なエントロピーのプロセスとして概念化することになる。 この機能(関数)の差異は、こ対象システムにおける制約条件constraintsの複雑性が増大していくことを反映するものである。

この制約条件はふたつのエントロピーの間のギャップを定義するものであり、Layzer, Brooks and Wiley, およびSalthe によって概念化がすすめられている。

 

4.1節で、著者はこの論文の主要な目標に到達するための概念装置を用いる。称してパース記号論Peircian semiosisの自然学化である。これは直裁的であり、その対象をその対象システムと等しいとし、その記号をその機能(関数)上の効果と等しいとし、そしてその翻訳者をその内包的な機能(関数)とするものである。

この関係は翻訳者が進化していくので、力学的(動的)である。かくして、パース記法(概念)であるアブダクションabductionは、容易に推論に関するJaynesの案になじむものとなる。遺伝情報の問題の討論をこの論文で導入するが、遺伝情報の課題がパース三元系の再構築で解決することができる。記号論の自然学化を完結するためのつぎのステップは、記号のエネルギー論を定義するところにある。

Entropy 2010, 12

201

ひとつの可能性のあるアプローチとしてChaisssonの測度をとりあげる。これは物理対象objectsを自由エネルギー密度速度free energy rate densityの測度してとらえるものである。 これを通じて、ひとつの物理現象として記号圏域を知覚することをゆるすものである。著者は擬人的原理anthropic principleの記号論版としてのスケッチを示すことにして、この章を締めくくる。これはDeutschによって提供された進化に関数議論の筋を採用するものである。これによって、パースの‘Firstness’の記法(概念)について新しい展望をゆるすことになる。

本論は、クオリアqualiaの簡単な考察をもって結論とする。Hayekの提案の筋に沿って、著者は、クオリアはひとつの機能(関数)であることを論じる。この機能(関数)は自己参照性物理システムを可能とするものである。この場合、この自己参照性物理システムは、自己参照性self-referentialの逆説を解決するための機能(関数)群をともなう。クオリアは、自然選好的に選択にされる。このことは、クオリアは精神的‘mental’範疇として何ら別個の存在地位を持つものではなく、記号論semiosisへの自然学的アプローチにおいてシステマティックな場所を占めるものとしている。

 

トップへもどる→http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/863d5faa6a3cd92c44d1a01ca253e147 

 

ご案内に返る;

朝日記170315 ピラース Herrman-Pillathのエントロピー論のこと

 

 

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朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 3)

2017-03-12 16:09:14 | 自然科学と工学

 

 朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 3)

 参考文献です。

~~~~

なお

(続き 1)は 以下をクリックしてください ↓

朝日記170311ヘルマンーピラース論文の概説 「エントロピー、機能(関数)および進化:自然化パース記号論」

(続き 2)は 以下をクリックしてください ↓

朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 2)

  参考文献

1.No.7660 Entropy, Function and Evolution: Naturalizing Peircian Semiosis

Carsten Herrmann-Pillath

Entropy 2010, 12, 197-242; doi:10.3390/e12020197

http://www.vcasi.org/sites/default/files/entropy2.pdf

 

 

2.No.7680 on Charles Sanders PeirceNorbert Wiener

Philosophy of information

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Philosophy_of_information

 

3.No.7680Charles Sanders Peirce

(1839-1914)

http://www.informationphilosopher.com/solutions/philosophers/peirce/

 

4. No.7680 Norbert Wiener

(1894-1964)

http://www.informationphilosopher.com/solutions/scientists/wiener/

 

5.No.7590  John Searle

https://en.wikipedia.org/wiki/John_Searle

Biological naturalism

https://en.wikipedia.org/wiki/Biological_naturalism

 

6.荒井康全 システム思考における目的論理と社会倫理についてV

制度(論)からみたシステムの多元的目的論理 総合知学会誌 vol.20151

総合知学会

 

7.No.7650 Jaynes Principle of maximum entropy

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Principle_of_maximum_entropy

The principle was first expounded by E. T. Jaynes in two papers in 1957[1][2] where he emphasized a natural correspondence between statistical mechanics and information theory.

1957年にJaynesによって統計力学と情報理論の間の自然な対応が拡張された原理である。

 

8.最大エントロピー原理 - Wikipedia

最大エントロピー原理 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%94%E3%83%BC%E5%8E%9F%E7%90%86

 

9.PDF版印刷用

https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%89%B9%E5%88%A5:%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF&bookcmd=download&collection_id=abd5cf3b1f164cbdee85dc775b2203e1fadc2d66&writer=rdf2latex&return_to=%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%94%E3%83%BC%E5%8E%9F%E7%90%86

 

↑(No.7650 Jaynes 補助説明として)

10.No.7650

Maximum entropy probability distribution

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Maximum_entropy_probability_distribution

 

11.Calculus of variations

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Calculus_of_variations

 

No.7650

12.Lagrange multiplier

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Lagrange_multiplier

see example3 there.

 

13.No.7650

Entropy (information theory)

From Wikipedia, the free encyclopedia

  (Redirected from Information entropy)

https://en.wikipedia.org/wiki/Entropy_(information_theory)

 

14.No.7690  Jaynesの論文

sfb.tex 5/18/1998.

THE SECOND LAW AS PHYSICAL FACT

AND AS HUMAN INFERENCE

E. T. Jaynes

Wayman Crow Professor of Physics

Washington University

St. Louis MO 63130, U.S.A.

http://bayes.wustl.edu/etj/articles/second.law.pdf#search=%27http%3A%2F%2Fbayes.wustl.edu%2Fetj%2Farticles%2Fsecond+law.pdf%2F%27

 

 

15。No.7690 Probability Theory:

The Logic of Science

By E. T. Jaynes

Wayman Crow Professor of Physics Washington University

St. Louis, MO 63130, U. S. A. Dedicated

http://bayes.wustl.edu/etj/prob/book.pdf#search=%27http%3A%2F%2Fbayes.wustl.edu%2Fetj%2Farticles%2Fsecond.law.pdf%2F%28accessed+12+November2009%29%27

Copyright  c 1995 by Edwin T. Jaynes.

 

 

16.No.7700  Lotka’s principle

Maximum power principle

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Maximum_power_principle

 

17.Maximum power transfer theorem

From Wikipedia, the free encyclopedia

  (Redirected from Maximum power theorem)

https://en.wikipedia.org/wiki/Maximum_power_transfer_theorem

 

 

18.No.7640 Eric Chaisson

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Eric_Chaisson

"Energy Rate Density as a Complexity Metric and Evolutionary Driver," Complexity, v 16, p 27, 2011; DOI: 10.1002/cplx.20323.

 

19."Energy Rate Density. II. Probing Further a New Complexity Metric,"

Complexity, v 17, p 44, 2011.

 

20.No.7670

Many-worlds interpretation

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Many-worlds_interpretation

 

21.No.7660

The Fabric of Reality

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Fabric_of_Reality

22.No.7620  supervenience 付随性

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%98%E9%9A%8F%E6%80%A7

 (Japanese)

23.https://en.wikipedia.org/wiki/Supervenience

(English)

 

24.No.7710

Supervenience

First published Mon Jul 25, 2005; substantive revision Wed Nov 2, 2011

https://plato.stanford.edu/entries/supervenience/

 

25.From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Supervenience

 

26.No.7710  String Theory

https://en.wikipedia.org/wiki/String_theory

27.弦理論

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E7%90%86%E8%AB%96

 

28.No.7660  Ontogeny

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Main_Page

 

以上

 

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朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 2)

2017-03-12 15:47:07 | 自然科学と工学

 朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 2)

 ここでは

 1.2 論議のまとめSummary of the argument です。

~~~~~~なお、

(続き 1)は 以下をクリックしてください ↓

朝日記170311ヘルマンーピラース論文の概説 「エントロピー、機能(関数)および進化:自然化パース記号論」

(続き 3)は ↓

朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 3)

 ~~~~~~

Entropy 2010, 12

200

1.2. Summary of the argument

この論文はつぎのように進む。第2節では、生物学的情報の記法(概念)に固有のむずかしさについて簡単な議論からはじまる。

 これは情報の流れと 因果(原因)の流れとについての混乱から来るものである。これらの困難さはパースの観点への移行を予感させる。

 

Figure 2. (a): Elementary form of a function; (b): Autocatalysis. 

シャノン情報にともなう問題を抽出して、著者はJaynesの推論文脈の議論を継続する。この概念はエントロピーの定義において、観測者(実験者)の中心的な役割りを明示的に認識させるものである。

かくして、著者はエントロピーのJaynesの記法(概念)の文脈上での区別の意味をさらに明らかにでる。Saltheは、内部者internalistと外部者externalistの視座との間の区別をしているがJaynesのエントロピーの区分はこれに対応している。

 

 

Figure 6. MaxEnt as inference

 測者相対エントロピーobserver relative entropyの概念を関数相対エントロピーfunctional relative entropyの概念と等しくすることによって直裁的に進められる。

基本的には、このことは、著者が機能(関数)と観察の双方に対して、進化の存在論的認識への一般性のある枠組みを応用することを意味している。つまり、機能(関数)と観察のふたつの概念を一体化することになるのである。

Table 1.  機能(関数)タイプ Types of functions.

 

 

Judgemen(判断)       →

 

Entity(実体)

Epistemically subjective

認識論的主体的

Epistemically objective

認識論的客体的

Ontologically subjective

存在論的主体的

Semantic function

意味論的機能(関数)

Technological function

技術論的機能(関数)

Ontologically objective

存在論的客体的

Mental function

精神的機能(関数)

Biological function

 生物学的機能(関数)

 

これに基づいて。著者はJaynes推論の概念、つまり最大エントロピー原理Maximum Entoropy Principleが存在論的に翻訳され得て、この原理が、進化進行中の機能(関数)と対象システムとの間の関係を記述するものとして位置づける。

この関係においては、対象システムはミクロレベルの状態にあるという前提のもとで、機能(関数)は、マクロレベルの制約条件であるとして段階的に適用される進化論的な文脈では、これらの制約条件のもとで観測されたシステムが、ひとつの最大エントロピー生産状態にあることを内意するものである。Jaynesの推論記法(概念)の自然学化のこれらのステップは、対象システムもまた、機能(関数)である場合と考えるとことで完結する。

 

 

Figure 13. Semiosphere and entropies

 このことから、重要な結論が導かれる。それは、進化する機能(関数)はより低いエントロピーの状態を代表するのではなく、実際には、エントロピーを増大する物理的メカニズムである。すなわち機能(関数)的進化は、第二法則に直接的に対応するものである。

このことにおける物理的な相関性は、生命の理論において、ロツカ原理Lotka’s principleが中心的な役割りをする。すなわち生命システムでのエネルギー流束energy fluxの最大化である。

かくして、進化にはふたつのプロセスがあることを知覚する、ひとつは増大する観測者独立のエントロピーのプロセスと観測者に相対的なエントロピーのプロセスとして概念化することになる。 この機能(関数)の差異は、この対象システムにおける制約条件constraintsの複雑性が増大していくことを反映するものである。

この制約条件はふたつのエントロピーの間のギャップを定義するものであり、Layzer, Brooks and Wiley, およびSalthe によって概念化がすすめられている。 

4.1節で、著者はこの論文の主要な目標に到達するための概念装置を用いる。称してパース記号論Peircian semiosisの自然学化である。

 

Figure 5. Functional selectivity and the Micro/Macro distinction

 これは直裁的であり、その対象objectをその対象システムobject systemと等しいとし、その記号signをその機能(関数)function上の効果と等しいとし、そしてその翻訳者observerをその内包的な機能(関数)functionとするものである。

この関係は翻訳者が進化していくので、力学的(動的)である。かくして、パース記法(概念)であるアブダクションabductionは、容易に推論に関するJaynesの案になじむものとなる。遺伝情報の問題の討論をこの論文で導入するが、遺伝情報の課題がパース三元系の再構築で解決することができる。記号論の自然学化を完結するためのつぎのステップは、記号のエネルギー論を定義するところにある。

ひとつの可能性のあるアプローチとしてChaisssonの測度をとりあげる。これは物理対象objectsを自由エネルギー密度速度free energy rate densityの測度してとらえるものである。

 これを通じて、ひとつの物理現象として記号圏域を知覚することをゆるすものである。著者は擬人的原理anthropic principleの記号論版としてのスケッチを示すことにして、この章を締めくくる。これはDeutschによって提供された進化に関数議論の筋を採用するも

 

 

Figure 12. Evolution of free energy rate intensity (exemplary, after Chaisson [81][1]).

本論は、クオリアqualiaの簡単な考察をもって結論とする。Hayekの提案の筋に沿って、著者は、クオリアはひとつの機能(関数)であることを論じる。この機能(関数)は自己参照性物理システムを可能とするものである。この場合、この自己参照性物理システムは、自己参照性self-referentialの逆説を解決するための機能(関数)群をともなう。クオリアは、自然選好的に選択にされる。このことは、クオリアは精神的‘mental’範疇として何ら別個の存在地位を持つものではなく、記号論semiosisへの自然学的アプローチにおいてシステマティックな場所を占めるものとしている。

 2. 因果性、情報およびエントロピー Causality, Information and Entropy

2.1. 生起因果性と情報との間で失われたリンク The missing link between causality and information

2.2. 演繹とJaynesのエントロピー記法(概念)Inference and the Jaynes notion of entropy

(省略)

3. 機能(関数)、進化およびエントロピーFunctions, Evolution and Entropy

3.1.  機能(関数)と主観/客観区分Functions and the subjective/objective distinction

3.2. 進化する機能(関数)と最大エントロピー生成Evolving functions and maximum entropy production

3.3.  内生的なエントロピーと進化Endogenous entropy and evolution

(省略)

4. エントロピー および 記号論:自然学化パース

Entropy and Semiosis: Naturalizing Peirce

4.1. 固有の機能化(関数化)としての記号論の再構築

Reconstructing semiosis as proper functioning

4.2.  記号圏域でのエネルギー論 Energetics of the semiosphere

4.3.  人類学的原理の記号論的再形式化 A semiotic reformulation of the anthropic principle

(省略)

5. 最終のブリック:意味することと 逆説

(省略)

6.結論

本論文では、著者は記号論への自然学的なアプローチの構築を提唱してきた。この記号学は基本的にはエントロピーの記法(概念)をひとつの中心概念として成り立つことを意味している。

論の収束点は世界が基本的な事実としてランダム性を厳しく採用しているという思考の試みに置かれる。このことはパースのいわゆる” Tychism“とよばれるものに相当しでいる。これに同調しない点は 記号論の記法(概念)が擬人的含意があるという点にある。この記号論は’mental’の範疇についての存在論的仮説に帰着するであろう。

この演習のための基礎をクリアにするふたつのアイデアがある。ひとつは特殊な種類の物理的な原因として機能(関数)を見なすものであり、これは一般進化パラダイムと結びついていて、パースの思考での中心でもある。その進化論は、その選択論の機能(関数)説明するために必要ではないが、 巣網化機能(関数)nested functionsの発現を説明するために必要とするものである。

 ふたつの概念の間には重要な橋がある、これは観測者相対性observer relativityの記法(概念)である。この記法(概念)は、擬人主義のどのような可能な傾向にたいして概念上の「下剤」的解決を与える役割をもつ。 これは記号論の意味を明らかにするのみでなく、エントロピーの概念のもつある側面をも明らかにしてえくれて有用である。

この概念的ブレンディングのひとつの主要な結果は、著者が、エントロピーの概念のJaynes推論の自然学的な翻訳を提供することができることである。

もし、著者が進化している機能(関数)の進行をもって、擬人的観察者‘anthropomorphic’ observerを置き換えるならば、基本的には、進化的認識論の一般化に引き続き、著者はつぎの結論を置くことがでえきる;機能(関数)進化は、機能(関数)と対象システム(object system)の関係で終着する。この場合、機能(関数)はマクロレベルでの対象システムの制約条件(constraints)を反映し、さらにこのマクロレベルの対象システムはミクロレベルでの最大エントロピーmaximum entropy状態に対応するものである。 

さらに、自然学的枠組みにおいて、Jaynes推論の解釈として、対象システムobject systemが、また最大エントロピー生産maximum entropy productionであることを表明することを含んでいる。このことにより、機能(関数)の進化は第二法則に属していることになる。

ひとたび、この枠組みが確立し、もしひとが機能(関数)と翻訳者との間の等式を認知するなら、記号学の自然学化を完結するのは比較的直裁である。

著者は記号圏域の記法(概念)を特に追跡してその拡張を論じてきた。記号論の自然学化については、エントロピーと進化への最近のアプローチとして、たとえばChaisson’s approachのようなものとの概念的な結合を確立することをゆるす。 

 著者は、このアプローチがエントロピーのクロス学域cross-disciplinaryの記法(概念)の実質的な適用に非常に有用であると考える。最も有望な分野は経済学であり、ここではこれまでエントロピーの概念がエネルギー・フローと環境問題の解析にもっとも関係があるからである。これについてはジョージスキュ‐ローゲンGeorgescu-Roegen[23][2]を参照されたい。かれらは偶然にも、ボルツマン・エントロピーについて深刻な概念上の困難さを経験した。これについては著者のアプローチではこの困難さを避けることができている。

批判的考察は極度に抽象性の高いレベルにほとんどが集中する、ここでは経験的な意味でほとんど意味のない記法(概念)を提供している、さらにメンタルな現象としてみられる人間の創造性のうえに築かれる革新のような基盤的な経済的プロセスを分析するためにはどうみても 彼らの考察が不適切であることが呈されている。

 記号圏域の記法(概念)は物理学と経済学との間の新しい橋を造ることを援けることができる。 これは経済的な相互作用力を調整する記号として、記号そのものが機能(関数)作用することを考える。これは経済システムの文脈で、人間人工物human artefactsの進化に着点をおくことを意味している(関連するアプローチとしては、パース記号論以外にまだ見当たらない。著者の[123][3]をみよ)。

技術的人工物technological artefactsの分析は研究上の伝統はあるが、今日、経済学において失われている(初期のアプローチとしては[124]をみよ)、ごく最近のものとして再発見として扱われている(たとえば [125])。自然化したパース記号論は合成を提供することができる。

 ~~~~~~続き2 終わり~~~~

(続き 1)へは 以下をクリックしてください ↓

朝日記170311ヘルマンーピラース論文の概説 「エントロピー、機能(関数)および進化:自然化パース記号論」

(続き 3)へは ↓

朝日記170311 ヘルマン‐ピラース論文の概説(続き 3)



[1] 16. Jaynes, E.T. Gibbs vs. Boltzmann Entropies. Amer. J. Phys. 1965, 33, 391–398.

[2] 23. Georgescu-Roegen, N. The Entropy Law and the Economic Process; Harvard University Press:

Cambridge, MA, USA, 1971.

[3] 123. Herrmann-Pillath, C. The Economics of Identity and Creativity. A Cultural Science Approach; University of Queensland Press: Brisbane, Australia, 2010.

 

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朝日記1701127左脳と右脳から生ずる哲学~ 私の生きる価値についてと、今日の絵

2017-01-26 21:25:01 | 自然科学と工学

 

朝日記1701127左脳と右脳から生ずる哲学~ 私の生きる価値についてと、今日の絵

きょうは以下のことを徒然ことして考えます。

今日の絵は三つです;

(存在了解じゃ!)

(Assertive主張)

(トンネルがある景色)

(存在了解じゃ!)

 

 

 

徒然こと 私の社会的価値について考える

一人の人間の脳機能で左脳と右脳がある。仮説は人により機能の優位があるとする。

左脳支配か右脳の支配か。

これを評価判定するテストがある。これには、以下のひとつのメンタルな実験を採用

してみる。

http://jp.vonvon.me/quiz/r/1/2/v_12q3zieskgkzbnp59?utm_campaign=share&utm_source=facebook&share_ts=okdwyw&utm_medium=organic&_vv_from=n-r7l.jp.vonvon.me&method=share

(Assertive主張)

 

 

 

はたして、私は100%右脳支配人間であった。

ところで、左脳派と右脳派とはなにかを考えてみりう;

左脳派はepistemic 認識5論派 自由意志と客観概念~真理を知る権利→理念をもつ意志(理性)と検証(実験からの経験)→生きようとする意味を客観(経験)と理念の葛藤(ギャップ)からmindを起こそうとする→そういうmindを起こす脳(左脳)。

 右脳派はontologucal →身の回りの存在を素朴認める→ 存在了解~自分が外の対象にたいする観察から→現象の知覚~それを現に意識している自分(現存在)~その状態での現象としての存在(実存)*

(ここから二つのルートに分かれる);

(a)ルート; ~これに実存* ~アングロ・アメリカン的プラグマティズム(合目的了解形成)→問題の現実的解決を目指す(instrumentalism)~すぐ役に立つことよしとする→そういうmindを起こす脳(左脳)

 もう一つのルート 

(b)ルート 上のこれに実存*→Post 構造主義→脱価値→人間価値への追及 しかしながら その根拠としての共有するproductを生みだす苦悩(ひとはパンのみに生きるに非ず)→高貴にしても、生きる直接の役の模索→人間社会としては生きる意味を見出す困難に遭遇→文明の衰退の道→そういうmindをもった脳(右脳)。

 哲学的二つの地平となります。

 右脳と左脳の理念は、カップル(対)つまり二元論としてとらえることになる。西洋近代の思考モデルともいえる。対のうち、活動としてどちらかが強い。個人によって異なる。右脳支配とみれば認識論。左脳支配とみれば実存論となる。私はそう、理解します。

私は 右脳100%となった。(a)の現実派で効用(財)を求めるのは下手であるが、(b)の人間価値→文化→(不幸にして自分効用を生まない)→(幸いにしてすこし利他主義で働く)→社会に貢献する分がある。→社会的に右脳派として、社会的存在価値あり。もう一つのルート 
右脳と左脳の理念は、全体として二元論となる。 (トンネルがある景色)

 

 

 

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朝日記161017 STAP細胞の特許のこと、優れた発想は‘ロングテール’現象となる今日の絵

2016-10-17 13:15:27 | 自然科学と工学

 

朝日記161017 STAP細胞の特許のこと、優れた発想は‘ロングテール’現象となる今日の絵

みなさん こんにちは。一日あめです。ラジオ体操は自分の部屋でしました。

今日の絵は以下4つです。 畏友安部忠彦さんからのテーマ 「優雅な女性たち 1」です。

(柘榴Pomegranate)

(端倪すべからぬGoya hommage, La sabbat des sorcier)

(女たちの会Klimt hommage, Frauenrinnen)

(サンゴ売り Jacob Zuchi hommage, Peche des coraux)

 

追記

朝日記に紹介しました小保方さんたちのSTAP細胞の特許申請書は、以下から直接ご覧になれます。ご関心あれば、是非ご覧ください。(2016/10/19荒井追記)

Generating pluripotent cells de novo
WO 2013163296 A1

 https://www.google.co.jp/patents/WO2013163296A1?cl=en&hl=ja

~~~~~

 

 (柘榴Pomegranate)

徒然こと 1 Lock-Out

ひょっと、はがきを投函することで、鍵も、携帯も、小銭ももたずに家を出ましたら、その間に家人も出かけてしまい、締め出しをくらいました。出かける家内とすれ違ったのでいそいでその方向に追いかけましたが、見失いました。 こういうときは如何に過ごすか、あまりよい知恵はでません。 知り合いの門を叩くのも間が抜けを晒すことで避けました。

歩いて行ける距離の図書館も、スケッチによい公園も思い描きますが、何の用意もないということは、うごう動きはいまひとつ、鈍くなります。 ガレージの車でしんばらく座りました。すぐうとうとしましたが、いつまでもこうしていられぬとターミナル駅のショッピングセンターにある本屋ですごすことにしました。トランプ候補の本や、これからの日本など結局 3冊くらい斜め読みしました。眼鏡はたまたま、部屋がけのものであったので好都合でした。帰りも道草気味のルートをえらび、知り合いの婦人に声かけられてたりして、結局、3時間余あまりをすごしました。 家には、家内がすでにかえっていました。最初の車のなかの微睡のあいだに、すでに帰っていたようでした。Lock-outでした。

(Goya, La sabbat des sorcier)

 (Klimt hommage, Frauenrinnen)

 

徒然こと Ⅱ STAP細胞の特許のこと

半導体の包括的な特許をもち、世界中の関連特許をワッチングし、新しい特許がでるとその制作プロセスをリエンジニアリングで分析し、自分の特許に抵触しないか、抵触していれば知的所有権からの使用契約をするという専用の会社があります。そして、彼らは、一般に、日本の会社は特許戦略に甘いという説明に、耳かたむけます。

今朝のNHKラジオ第一615分ごろの番組で、微細加工研究所の所長の湯之上隆氏の弁です。 このひとが日立製作所の技術者のころたくさんの特許をもっていましたが、あるときに反省します。自分の特許が鋭利ではあるが、すべて侵害防御用特許である、いくらでも他の方法がうまれる。それに対して、世の中には包括的な網で抑える戦略的な特許がることを知った、そしていまの会社に転職します。ちょっと興味がわきネットでこのひとを探りました。

 

微細加工研究所の湯之上隆所長が、STAP騒動時の寄稿をめぐり朝日新聞を批判

https://news.nifty.com/article/item/neta/12111-25852/

 

 意外であったのは、このひとがSTAP細胞に焦点を当てて、小保方晴子さんの研究成果疑義の件の報道の顛末

があったあと、米独が、特許申請を続けている状況に着目します。大げさなTVインタービューなどの狂騒をつくりだした朝日新聞との間のやり取りを公開しています。メディアの‘瞬間湯沸かし’的な情動とそのあとの‘冷めた湯’で済んだこと、無関心のさま、さらに投稿者にたする見下した反論など、その顛末を書いていました。 あまり、詳しくはありませんが、ネットは以下にその動きを紹介しています。

~~~

STAP細胞の特許出願、米ハーバード大学が世界各国で…今後20年間、権利独占も

http://biz-journal.jp/2016/05/post_15184.html2016.05.21ジャーナリズム

Business Journal  > ジャーナリズム  > STAP特許出願、米ハーバード大学

~~~~

私の思考連鎖反応で、2014年の東大ネット早起き同盟でのなかまと まもなく冷静に内容が語れるときがくるとであろうというの会話のやり取りをおもいだしました。 

研究の虚偽の報告の嫌疑がかけられ、有能な研究者が命を落とし、さらに刑事訴訟までに至ったが、結果は全くの冤罪でした。

幹細胞が小保方氏の研究室にあったことで、騒いでいました。それの正当性を説明する機会もなく、懲戒免職に近い状態で、科学の世界から放逐されました。 生化学系の実験検証というのは、他の理化学の実験とは簡単な比較ができない特殊性があるということを、理化学研究所の筋から聞いたことがあります。

  以下は、その当時20144月の朝日記を掲載します。

小保方氏らは、STAP細胞の特許で、体細胞に幹細胞を加えた条件下でのSTAP細胞発生についての請求範囲の特許申請をしています。細かい顛末は、わかりませんが、この特許が、氏らの名誉を挽回し、もしかしたら、輝かしき栄光のもとに歴史的勘バックする根拠になるのではないかと、敢えてご紹介します。また、原特許をお読みになられることをお薦めします。早起き同盟の、碩学の弁理士中山秀明さんが、その当時教えて下さったものであることを明記します。

 

 朝日記140412 事実を知ることの試みと 今日の絵

http://blog.goo.ne.jp/go…/e/e248841bb5dda3864e1e46da2b4a9459

 

朝日記140413 事実を知ることの試み(その2) と今日の絵

http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/d9ea6f455c337b0c1e493ed4a0d1396e

 

~~~~

上の朝日記に紹介しました小保方さんたちのSTAP細胞の特許申請書は、以下から直接ご覧になれます。ご関心あれば、是非ご覧ください。(2016/10/19荒井追記)

Generating pluripotent cells de novo
WO 2013163296 A1

 https://www.google.co.jp/patents/WO2013163296A1?cl=en&hl=ja

~~~~~

人間のすぐれた洞察的結果からの形成されれる知見は、 優れているほど、周囲からは受け入れられにくいのでフラクタル数学での、あの「べき乗法則」的な‘ロング・テール’ をもつ現象であるという思いが、ふと脳裡にはしりました。当然といえば当然です。

 (Jacob Zuchi hommage, Peche des coraux)

 

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 朝日記160811 エアコンをいつ止めるかの話題と今日の音楽絵画と絵画

2016-08-11 10:53:21 | 自然科学と工学

 朝日記160811 エアコンをいつ止めるかの話題と今日の音楽絵画と絵画

 

おはようございます。

音楽絵画はアーカイヴ Early spring journey早春の真鶴です。

絵は 野の孤独、 函館のおもいで ひぐまの思いで の3点です。

徒然ことは エアコンについて  ちょっと出かけるときに、止めていくべきかです。

音楽絵画はアーカイヴ Early spring journey早春の真鶴

https://www.youtube.com/watch?v=9OWDhKBweCk&index=173&list=ULYW9mTVx1gEo

 https://www.youtube.com/watch?v=9OWDhKBweCk

 

 

(Feldeinsamkeit 野の孤独)

 

徒然こと エアコンについて

早起き同盟の友人N氏から、つぎの投げかけがありました。外出して室内に誰もいなくなる状態になってもエアコンを動かし続けるのと、エアコンを止めるのと、どちらが電気を消費しないのかという問題を考えていますが、エアコンを止めた場合、室内の気温と外気温とが同じくらいになるほど長時間不在になるのなら、止めておくのが得で、ちょっとの外出なら動かし続けるのが特なような気がしてきましたが、どうなのでしょうか。

 私の応答
おもしろい視点の問題ですね。飛行機が巡航中は、空気の摩擦抵抗分のエネルギーチャージで済みますね。飛行機は、離陸からこの巡航レベルまでに加速につかう運動エネルギーを初期にあたえなければなりません。同様に空調も、おなじメカニズムになると思います。空調というエンジンの初期稼働の運動エネルギーと部屋からの放熱エネルギーの比の問題になります。空調の機械の進歩で運転立ち上げの効率もあるかもしれません。invertorなどは各エネルギー負荷レベルでの機械効率を最適化しているようですね。いまのinvertor電球もそういう原理を使っていると聞いています。昔は、蛍光灯を小まめに点灯をすることが美徳でしたが、実は効果が逆であったようです。初期立ち上げのエネルギーと放熱エネルギーを具体的にデータとして知れば、簡単な非定常時間一次微分方程式(with熱sinking項)で 遊べますね。むかし 佐藤恒三さんという応用数学の先生がお風呂の蓋の効用を計算され、数学セミナーという雑誌に投稿されたことをふとおもいだしました。非で似たはなしですが、むかし第九のコーラスの指導の先生が、雨の中を走ってきて、途中で雨宿りをするのと、走ってしまうのとどっちがよろしいかと投げかけられ 一同を笑わせたそんな情景も思い出しました。
(函館のおもいで)
 
 
(ひぐまのおもいで)
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朝日記150618 ユトリロ・ヴァドロン展と脳科学シンポ きょうの絵

2015-06-18 06:34:15 | 自然科学と工学

朝日記150618 ユトリロ・ヴァドロン展と脳科学シンポ きょうの絵

 

おはようございます。
雨の朝で、体操は家ですることにします。

徒然こと 1 ユトリロ・バドロン展のことなど
きのうは、朝 損保ジャパンの東郷青児美術館でのユトリロ・ヴァドロン企画展に行ってきました。そのあと有楽町の東京フォーラムでの大阪大学の脳科学の公開シンポに周りました。
企画展の方は、ユトリロの母のヴァドロンの線描のタッチがおもしろく 迫力がありました。瞬間 自分の系統のひとだなあとアフィニティを見出しました。夢中で鉛筆を走らせていました。途中でまた鉛筆を借り換えました。 図録も買いましたが、これでなんにちかスケッチして遊べます。 現地で描いたものを線でたどりながら輪郭を整えたり、自分のものとして好きに彩色するのもたのしいものです。
それにしても、この美術館へのアプローチははじめて訪ねるものには 迷路のなかに入ってしまったパニックになりそうです。西口でのコンコースに電光案内があり、ここへの案内だけが灯いていない。しかし、掲示が残っていることが迷いに加担します。 さすがに、到着して、文句をいう先が適当とはおもいませんが、会社の上につたえるようにと案内係りに苦情をいれました。(さて、つたわるかどうか)

午後の阪大のシンポ「人間力・社会力の脳科学 脳の長所を伸ばし、脳の弱点を補強する最新技術」でした。この辺の状況の「土地勘」をそれとなく知っておきたいという動機です。最近の測定技術・データ処理技術の高度化で 脳機能と構造関係が具体的に見えていました。
その参照モデルになっているのは、情報システム・モデルであることをあらためて知ります。fNMRで、in vivo(生きている状態)で人間の行動と脳内ネットの活性点がとらえられることで 脳科学者はいま広大な荒野を一車千里で走っている進歩感をもっているのではないかなと微笑ましくはありました。
ひとつ 瞑想的な状態と活動的な状態での脳内マップがマトリクスで層別的なゾーンとしてあらわれ これに対する形相・関係が観察されていました。 多分、あるインプットに対する分布パターン応答というかたちで、サイバネティックス的な巨大な情報システム技術として展開していくことであろうとおもいました。
ポスターセッションのところで、脳認知科学とカントの認識論哲学(特に判断力批判)について、あるいは、Scientific Objectivity(脳科学を研究する価値性・目的性)について、あなた方科学者はどういう問題意識をもつかと質問しました。予想とおり、困惑した表情でしたが、ふと昔の自分を見る既視感がのこりました。(アンケートで回答希望の質問としてのこしてきました)

日中、大雨で 高層ビルからみる下界は雨のモイストで視界は遮断され、電車はゆっくり運転になっていました。
車中、哲学思考や美術想念をするには よろしい環境でした。 
ひるに食した、サバの味噌煮定食はよろしかったです。

徒然こと2 今日の絵は 音楽絵画二つです。

No.257 雨の日にて
https://www.youtube.com/watch?v=Niq22_7r1k0

No.256 夏の週末のこと

https://www.youtube.com/watch?v=D-JJ_QdQ0Iw

 

 

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朝日記150415 「次の満月の夜には」(相川啓太)と今日の絵

2015-04-15 09:30:55 | 自然科学と工学

朝日記150415 「次の満月の夜には」(相川啓太)と今日の絵

みなさんおはようございます。

徒然こと  「次の満月の夜には」(相川啓太)と今日の絵


唐突に 説明もなく、keywordsをならべ失礼します。

二酸化炭素、 サンゴ。 ポリプ(コンクリート集合住宅)、 刺胞動物、  褐藻菌 、 炭酸カルシウム、  炭素10の-3%量、  カルシウム10の0乗%量、 遺伝子操作、 サンゴ変異体、 タンパク質合成抑制酵素、  海水・大気溶存化学平衡、 大気中二酸化炭素成分減少、 光合成資源不足、 アカオニオオヒトデが救世主、? ・・・・

これは、第二回日経「星新一賞グランプリ作品「次の満月の夜には」 相川啓太   日経広告2015/3/25掲載からのものです。感ずるところがあってスクラップでのこしておいたものです。 きのうは雨でもあり、ちょうどTシャツ制作作業も一段落し手が空いたのでこれを手にとりました。字数でA4 10枚程度の短編です。そのなかのkeywordsをひろったのが上のものです。 
(つくし野セントラルパークの桜)

*サンゴというのは炭酸カルシウムの小胞体の集合構造(ポリプ)です。このコンクリート体を主役の微小生物体が増殖過程で形成する。この形成の速度となるのは 細胞内の酵素反応速度と小胞体ポリプの表面形態らしい。これをなんらかの方法で手をくわえるとポリプが増産されると考えた。微生物のDNA解読と操作でサンゴ変異体を発明できた。これによってサンゴの海が復活した。ところが その増殖の勢いがついてしまって、結局 大気中の二酸化炭素までも稀薄にしてしまったというものです。サンゴは個液平衡で液中に炭酸はのこるが、気液平衡に比し、平衡移動速度としては遅く、その意味で、炭素の固定化意味します。
この小説では、あの憎いアカオニヒトデがサンゴを食べ、炭酸カルシウムを分解してくれる救世主というところで一見めでたしです。ところが・・・と、最後の落ちがありますが・・・。だいたいこういう筋です。カルシウムは海水に10の0乗%オーダー、炭素は10の-2%オーダーでしかも地球の表面近傍にあるようです。

*これまで個人的な傾向としてSFにはほとんど関心を示してきませんでした。昨年のSTAP細胞なども弱酸性溶液、振動操作でできるなど、 それだけの記述としては、レモンをたべて縄跳びするとできちゃうんだということで、さてこれはどんな社会的なインパクトがあるかを思いめぐらしたこともありました。
今回のこの作者の相川さんは かなりしっかりした科学知識の素養のもとに、ひとつの仮想実験をしていると理解して敬服します。
(小保方さんと比較しているわけではありません。念のため)

*ポリプの空間サイズ、形態がサンゴ生成のための律速(支配する反応過程)とすると、ゼオライト触媒のような立体構造の分子設計を行わせるような遺伝子操作も発想としてはでてきます。(ゼオライトは福島の放射性元素の除去でも着目されました。その後は調べていません)

*話はとびます。ネットでスタンフォード大学のMuseum of Philosophyというのにつきあっています。ここでの記述はしっかりしていて、ピアによって定期的に見直されています。ここで 認識論(Epistemic)と目的論(Objectivity)というkeywordsで検索します。 そのものはでてきませんでしたが、Scientific Objectivity(科学的目的性)という項目にはいりました。特にObjectivityを日本語では如何に訳すかにいまでも思案していますが、とりあえず目的性(客観性)と併記しています。
*なぜそうなったかは、弓矢と標的の関係で標的に当てたいという価値意識(目的性)とその存在を如何に認識(客観性)するかという思弁と経験とが裏表ではり付いているような概念であるように思えたからです。
*これはこれとして、哲学の世界でも科学の目的性として 普遍的認識目的と、実用的効用目的が併存して意味してきたことを解説しています。 特に20世紀は後者が前者を圧倒してきたとし、前者は実質的に形骸化されてきたこと。 その陥穽が地球環境問題として、高い次元での叡智への空白になって現れているというものです。 ここでは、パラダイム転換の哲学者トーマス・クーンやファイアアーベントが注目されていました。
*話はながくなりましたが、そんなことで科学技術の進歩に対してのObjectivityにすくなからず関心があったところ 考え抜かれた思考のSFのもつ意味に気が付いたとも言えます。ギリシャ時代の哲人が、世界のなりたちやあり方について形而上学(第一哲学)をもってして、第一級の神話を創ったことも思いをいたします。
以上です。

(介護予防月間ポスター応募作品1)

以上

 

 

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朝日記150223  「私の話は嘘である」ということを数学は証明できるかというお話と きょうの絵

2015-02-23 12:04:23 | 自然科学と工学

朝日記150223  「私の話は嘘である」ということを数学は証明できるかというお話と きょうの絵

おはようございます。
昨夜来の雨で 早朝霧がはっていましたが
陽があがり はるの明るさお感じます。
きょうは 気温も14℃まであがると報じています。
ラジオ体操は家で行いました。
このちょっとした運動をしている間に きょうやるべきことが意識のなかでかたちになってくることを知ります。
散歩などもそうですね。 フットワークの軽さが大切だなあとおもいます。 

きょうの徒然ことは 少々理屈っぽいです。適当に飛ばしてください。

(「聖書の女性」とならぶ私)


徒然こと 1
岩波文庫のゲーデル 不完全性定理にこの一週間集中しました。 解説からよみましたが、この解説はやはりすぐれものでした。本文は60ページそこそこですがメンタルなバリアをクリアしてくれました。

数学的論理が完全でない、つまり真の知に至らないということが 本質的に人間の思考態度がどう変わるのかに興味があります。
アマゾンに書評のなかに、フォン・ノイマンのシカゴ大学での講演について 引用しているのがありました。公理論的形式主義、直観主義、論理主義の三つの数学のながれがあるようですが、認識論的につきつめてみると カントのアンチノミーの状態から一歩も出ていないことを知ります。
たとえば 「これから私がいうことは嘘である」ということが数学的に証明できるかという問題です。
自分自身を含めて集合論的あるいは算術論的に命題をかんがえると、数学的形式としては証明がなりたつ(不完全性定理)が、内容的には成り立たない、「健全性」soundnessがなくなる。
これは、自分自身を含めることの哲学上の問題にひきもどされます。

徒然こと 2(また書きます)
上の書評を再度ながめ、その評者(tokuちゃん)への感謝のコメントを書いたので以下に掲載します。
~~~~~
ジョン・フォン・ノイマンの講演『数学者』(1946年、シカゴ大学)がゲーデルをどう評価し、その後の数学をどう評価しているのか, July 9, 2012
By tokuちゃん
レビュー対象商品: ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫) (文庫)
http://www.amazon.co.jp/review/R1OX7GGIM5PGRK?_encoding=UTF8&ASIN=4003394410&cdMSG=addedToThread&cdPage=&newContentID=Mx1ZGIZIIU5FHDN&newContentNum=1&ref_=cm_cr_pr_cmt#CustomerDiscussionsNRPB
~~~~~
ゲーデルの定理が認識論(Epistemology)に回帰する点についてですので 冗長ですが、メモ代わりに置きますのでお許しください。

徒然こと 3 「評者(tokuちゃん)への感謝のコメント」
~~~
Your initial post: Feb 23, 2015 10:49:25 AM JST
あらいやすまさ says:

~~~~ 本文
*フォン・ノイマンのシカゴでの講演録は ゲーデルの不完全性定理が 人間知(認識哲学)への関わりについて 彼がどのように考えていたかがわかり 大変 貴重なものであるとおもいます。 御紹介をまず感謝します。 特に ブラウワーの直観主義(Intuitivism)は そのままカントのアンチノミーに帰ることを意味していているとおもいました。 純粋知(数学知)のなかに自分の意識(思弁)をもちこむことができるかの命題になります。
*カントは その詳細は省きますが、「時間」と「空間」の概念を主観へのとりこみによって 思考対象に対して自分との境界線を引きます。これは ものごとを知るのは 人間の自由意志であるということを選択することになります。 自由意志がなにによって作動するかは 証明できない、なぜならそれが自由というものであるかとします。しかし説明としては 「超越的感性」というa prioriに人間にはたらく直観を前提とします。仮説ですから否定も肯定もできない。カント哲学では肯定の選択をし アンチノミーを解消します。 *応用数学で、たとえば インクの一滴が盆の水に落としたときの物理は拡散という現象で拡散の微分方程式で記述します。式の対象領域は水ですが、インク一滴を落とすというのは 人間の意志の問題で 数学的には初期条件といわれ これがともなって微分方程式の問題が閉じた形式となり完結します。 境界条件(および初期条件)こそは人間の内的な問題意識(対象をモデルとして考える)であり、これを「直観」として 人間が、問題の境界をあたえるという意味になります。 
*そうすると、ノイマンの意味するところは、このままカントの認識哲学に帰る、つまり不完全性定理によって 基本的に人間知(認識構造)に変わるところはない(軽微としますか)ということであろうとおもいました。 (ここでカントが前面にでましたが、考えるフレームとして いったんカントを「土俵」におくという意味としてご理解ください)
おもしろいことに この本の歴史舞台に登場するクロネッカーやカントール、ブラウワー、そしてヒルベルトにしても* ドイツの傑出した数学者の心底に ふかくカントへの尊敬と造詣の念があったようです。 したがって 不完全性定理という数学論理からの認識論上の危機感は 弱かったのではないかと推察します。
(イギリス人のラッセルは その雰囲気に違和感をもったことをゲーデルやアインシュタインらとプリンストンで共にした滞在のなかでもったようですが)。
*ところで、上で、(軽微としますか)の部分は 慎重に考えなければならないかもしれません。 なぜなら カントの「純粋理性批判」のなかでの経験からの知(認識)とはべつに、純粋知として認識判断する理性を置きます。その存在仮説としてもっとも信頼性をおいていたのが幾何学と代数学など数学的論理であったからです。それが 「不完全」であることに発して、どうであるのかという問題が残る。そういうことに思いを致します。 
*彼は 数学的認識と力学的認識とをあげて 前者を純粋思弁的であるとしましたが、ゲーデルの定理が、後者の力学的認識(経験認識)とのつながりを結果として明示したということであろうかと思います。
*ゲーデルの定理からの哲学(認識)問題回帰として 現代が最大の焦点をおかなければならないのはなにか。私は、「アルゴリズム論理」の登場であるとおもいます。 これは 上にあげた 数学的認識と力学的認識のまさに結合体であります。 コンピュータと情報通信によって 数学公理に証明されていなくても モデリング仮説によって それが(思考)あるいは(現象的な経験認識)が計算可能とするアルゴリズムによるシミュレーションです。 これが自然科学はもとより社会科学を テクノロジー(工学技術)として 存在化を迫る。(テクノロジーの存在が怪物的な巨大になります)そして概念から理念へと人間を強要してくることであろうと考えます。
*そういう情報革命的なことが すでに進行して 急激な拡大をしているとみることができます。(電車や通行でスマホを手にする姿を想像してみましょう)そのような視点からの人間知の境界線とはなにかの問題に強い興味を持ちます。

いずれにしても すぐれたブックレビューをいただいたと感謝するものです。
徒然ごとおわり

ご参考

Amasonでのこの本への私の書評(第1回)は以下でご覧になれます;

1.    ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫) ... 著者: ゲーデル

Amasonでの私の書評全体は以下でご覧になれます;

あらいやすまさ

https://www.amazon.co.jp/gp/profile/A3DSZOL2KF5FVI/ref=pe_1162082_175797672_cm_rv_eml_rv0_pf

 (目下 以下全14件です)

 

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