主人と本気で別れようと
思ってた
義父母の言いなり
しかも
一緒に暮らしてみると
モラハラ系と分かった
寺の跡継ぎと甘やかされ
少しでも不機嫌になると
『大丈夫、大丈夫
お前は悪くない
みんな相手が悪い
馬鹿なんだよ』
すべて
自分の思いのままになると
育てられた
大黒さん
子供の頃は
女番長と呼ばれたくらい
気が強く
弱い人間ではなかった
主人の様な男が大嫌いで
子供を産んで強くなった
(元の自分に戻った)
大黒さんは
『喜んで義父母に
(主人)をお返します』と言ってのけた
結婚する時に
親戚から
『嫁は黙ってろ
黙っていれば
全ておさまる』
と言われたのも良くなかった
静かな嫁を演じ過ぎ
『私達の言うなり』と
思わせたのも
失敗だった
だが、
別れてしまえば
関係ない…
まだ仕事もしていたし
子供1人くらい
育てる自信はあった
………が
なんと
お腹に次女がいた
主人と寺から出る事にし
暫く義父母と離れたが
長男を産んで
長女が幼稚園入園なので
家を造ることを条件に
寺に入った
それからも
色々あった…
跡継ぎと期待した
長男が
重度障害児とわかり
主人は自暴自棄になった
手に負えなかった…
総代に
『我慢しろ
お前が寺を出たら
この寺は終わる』
強くとめられ
泣きながら耐えたこともあった
『俺は分かっている
1番勝手なのは
あのばあさんだ
あいつは(主人)
1番悪い所が似てしまった』
大黒さんは
寺が嫁を呼ぶと信じている
大黒さんが呼ばれた意味…
主人を叩き直し
世間一般の住職にする
『寺に恥をかかせるな
何でも1番を取れ』
『この辺では私が1番頭が良い』
『誰も私にかなわない』
『私は皇太后』
『誰も私に足を向けて
寝られない』
馬鹿な事を言い続けて
馬鹿な跡継ぎを育てた
寺のお布施はあげる
お客さんの話を聞かず
自慢話ばかりする
『みんな私の話を聞いて
喜んでるの』
周りからは
嫌われても
『みんな私をやっかんでいる』
としか思わない
愚かな人間…
このままでは
寺が終わってしまう
大黒さんが呼ばれたのは
そこである
元の姿に戻そう…
檀家さんの話を聞き
共に亡くなった方を偲び
共に泣く
檀家さんの悩みを聞き
気分良く帰っていただく
少しずつだが
昔に戻りつつある
義父母の良い所は真似をし
悪い所は真似しない
大黒さんが目指す寺…
それは
子孫
そして
檀家さんが
いつまでも
笑い続け
互いに助け合う寺
《昔の寺》である
日々
奮闘している………