実母は
大黒さんの指を心配する
『あまり草むしりすると
曲がるわよ』
歳をとると
田舎の人の指は
曲がってしまう
母も少し曲がっている
『大丈夫
指を伸ばしたりマッサージすれば
曲がらないって』
『そういえば姉ちゃんも
仕事でよく指を使った後
揉んでたっけ…』
自分の少し曲がった指を揉み始めた
突然やめた
『こんなことしたって
膵臓癌になってれば
意味ないわよね』
伯母は今年いっぱいの命
膵臓癌で余命宣告を受けている
働き者で可哀想なくらい…
朝から晩まで
リポビタンDを飲みながら働き続けた
指が曲がるのを嫌い
『自分の体は自分で治すのよ』
何時も指を揉んでいた
指は曲がらず綺麗だったが
見えない身体の中に
自分では治せない病気があった
分かった時には
余命5ケ月まだ70歳前半…
姉を尊敬し
姉のすべてを信じていたのに
最期があまりにも惨めすぎる
母は『姉ちゃんの馬鹿』と
泣きながら言い続ける
3人姉妹で仲が良いが
良すぎても難しい…
と大黒さんは思う
大黒さんの兄弟くらい
冷めた関係のが楽で良いかも…
と考えながら
病気になった姉への
悲しみ、恨み、切なさを
ハイハイ😔と
聞いてあげていた