食べたスイカの種をペッと飛ばした。その日はお行儀の悪いことを、
ためらうことなくできるほど快晴で、さわやかな日曜日の昼過ぎだった。
駅から近くを条件に選んだ、そのアパートはJR宇都宮線の沿線で、
駅から少し歩くと畑が散在していた。
用意して頂いた、そのアパートの部屋は、二階の西側で、隣は畑だった。
見かける老夫婦が、自家用に栽培しているのだろう。畑は一部しか使用
してなく、マンションでも建てたら、安定した収入になるだろうにと、勝手
に思っていた。
アパートの住人が、お行儀悪く種を飛ばしたスイカは生長した。畑にいく
つものスイカの花が咲き実がなった。スイカの生長は早い。実が大きく
なりだしたら、老夫婦が手入れをしだし、大きなスイカになった。
どれもそろそろ食べごろだなと思っていた。お行儀の悪いことをする私は、
考えることもお行儀が悪い。このスイカ種を蒔いた(ペッと飛ばした)のは
私だ。などと考えていた。でもある日スイカは老夫婦に収穫されていた。
おしまい。