永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

ビギナーズミラクルそしてモンスター

2013-10-21 | アオリイカ
シイラの後、数回出かけてみたがやはり不調だった。

釣れなくはないが、昨年の50杯にはほど遠い。








輪島の海が不調なのかと珠洲方面へ出かけてみたが大して変わらない。

地元の釣り師、漁師さんたちの話からも今年の不調は本物らしい。

原因は分からないが、皆さんの話を総合してみるとどうも今年は青物が多いらしく、イカたちが逃げて散っているのだとか。

師匠つーさんも青物の噂を聞いて越前も喰いが渋くなったという。

確かに、夕方まだ明るいうちはレッドペッパーを投げてみると反応があり、フクラギの1~2匹はヒットしたりするのだ。

しかし、なんとか釣る方法はないものか?

時間帯を考えてみる。

これまでの数回の釣行を振り返ってみれば、明るいうちはまず釣れないが、確実に釣れる時間帯があるのに気が付いた。

昨年は10月の終盤、夜なら大抵は釣れたのだが、今年はそうはいかない。

夕方から暗くなってからの2時間程度、今年はその時間帯に絞られるように思えた。

今年のイカ釣りのピークは恐らく19日の満月前後、その辺りの夕方からの数時間、ここが狙いだと思えた。





14日、さいたまから友人の後藤さん一行がやって来てイカ釣りをしたいというので夕方を狙って出かけた。

天気はよく、夕日が綺麗だった。

明るいうちに釣りは初めてだという堀内さんにロッドの握り方、リールの操作、シャクリ方をレクチャー、まずはキャストの練習をしてもらう。


夕まづめ、レッドペッパーを投げると案の定、フクラギがヒットした。




明るいうちは全くイカはヒットしなかったが、予想通り暗くなると舞台の幕が上がったように釣れはじめた。




先ずは後藤さん。

続いてまた後藤さん。



そのうち、堀内さんにも。彼はまだ遠くにエギを飛ばせないが、近くの中層にいるやつにタイミングよくヒットしたようだった。



暫くすると堀内さんにいいサイズが来た。



日頃システムエンジニアの仕事をやっていて温和な性格で普段物静かな彼だが、少年のような顔になっちまうのだ。


私も負けずに。



胴長20センチオーバー、いいサイズだった。


背後には満月に向かう明るい月が出ていた。

その後もヒットは続き楽しい夜となった。

今期初の活況、イカ祭りであった。

まだ釣れる雰囲気だったが、8時に納竿。

彼らがさいたまに帰る時間になったのだ。



一年ぶりのクーラー満杯状態、後藤さんの笑顔。






友人たちがやって来て、彼らがイカを釣りあげ、釣りを楽しむ。その屈託のない笑顔を見るのは私の楽しみである。

しかし、タイミングというものがある。

後藤さんたちの前、大阪の友人貴彦さん、奈良からのべんさんは一緒に出かけたが釣ることが出来なかった。

べんさんなどは彼が帰った夜、後藤さんたちとのイカ釣り祭りとなったのだ。このタイミングの悪さ、申し訳ない気持ちが後を引く。


ともあれ、この夜は私の予想通りの釣りになったのだし、満月に向かって釣れる海になってきたことは確かだった。






その数日後、18日。

ほぼ満月の夜。

与呂見村の寺(龍昌寺)の娘ふう(風)ちゃんと友人の息子ソウル、若者たち二人と出かけた。

ソウルは愚息麦の友人でもあり、昨年からイカ釣りを始め、今は釣り師の端くれになっているが、風ちゃんは勿論釣りなんて初めてである。

赤ちゃんの頃から馴染みの彼女である。今、大学を終えて実家に戻り休憩中だが、是非イカ釣りをやってみたいという。

夜に備え、明るいうちにリールの使い方、シャクリ、キャストを教え、練習してもらうが、生憎海は荒れ気味で横風も強かった。

練習もままならない状況で本番はさぞ難しいだろうと思ったが、なんとなく風ちゃんがでっかいのを釣りそうな予感もあった。


さて、暗くなって本番である。

想像通り、風ちゃんはキャストに苦労しているようだった。ルアーは足元に落ちたり、真上に飛んだり。

しかし、最初の一匹目を釣ったのは風ちゃんだった。それも案外いいサイズ。




そしてまた風ちゃん。これもいいサイズ。




ソウルもヒットさせるがどういうわけかみんな小さい。リリースサイズばかりだ。


風ちゃんはルアーを遠くに飛ばせないが、先日の堀内さんと同じく近くにいるやつにタイミングが合うようだった。

しきりに20センチクラスをヒットさせた。

この状況は十分ビギナーズラックだが、彼女はさらにそれを越えた。


「みーおじ~、釣れちゃった、重いよ~」と彼女。「みーおじ」とは村の子供たちの私への呼び名である。

見ると驚いた。必死に持ったロッドのぐんなり曲がった先にこれまでとレベルが違うサイズがぶら下がっているではないか。

おそらく胴長25センチ。堂々たる魚体である。

よく抜き上げたものだ。聞いてみると彼女は学生時代握力はナンバーワンだったらしい。流石与呂見の子である。



しかしだ、手慣れた釣り師でも25センチはなかなか釣れない。

まさにビギナーズミラクルである。



暫くして、私にも25センチが来てなんとか経験者の面目を保つ。25センチは私にとっても今年の新記録なんである。



数投後、もうひとつ25センチ。


(写真を撮ろうとした瞬間、墨を噴射!帽子が現代アートになっちまった。)


いや、今年は数が少ないがサイズはいいらしい。

確かに、この磯にはデカイやつが潜んでいるのだ。


しかし、ソウルは相変わらず小さいのしか釣れない。

場所を替わってみたりしたのだがやはり駄目だった。

彼がデカイのを釣り上げ、その写真を撮るまで帰るまいと粘ったが

全体にアタリがなくなり、最後に彼が釣ったのを潮時にした。



こういうことは釣りにはよくあること。

寂しそうな背中だったが、悄気るなソウル、この寂しき経験を背中に重ねて一人前の釣り師になっていくのだ。










さて、明くる日(19日)満月の夜である。

久しぶりに一人で出かけた。

海は凪ぎ、曇り空でボンヤリのお月さんだった。

恐らく凪のせいだと思うが、前夜ほどは釣れなかった。


しかし、でっかいヒットがひとつ。

その重さと強い引きといったらなかった。

なかなか浮いて来ない。グングンググンとスペシメンが何度も大きくお辞儀する。強烈な生体反応だ。

寄せるのに腕の筋肉が痛くなった。

そして、足元に来た魚体は間違いなく昨夜の胴長25センチを超えていた。

やったぞ、モンスターだ!!心臓が高鳴った。


しかし、玉網を持って来ていない、抜き上げるしかなかった。

寄せる波のタイミングで抜き上げにかかったその瞬間、

フックの掛かりが浅かったのだろう、持ち上げる重さに耐え切れず

スコン!とルアーは外れ、虚しく宙を飛んだ。

「あんりゃ!!!」思わず誰もいない海に叫んじまった。

イカは喜色満面、あざ笑うようにゆっくりと海へ帰って行ったのだ。

この喪失感、・・・・腰が抜けちまった。


実はこの磯でモンスター級を逃したのは二度目。

やつらを釣り上げるに、まだ修行が足りないとみえる。

ここには確かにモンスターがいる。

待ってろよ、

きっとそのうち釣り上げてやるわい。


凪のとき、活性は弱くなり、釣れる時間帯も短くなるようだ。

8時になるとサッパリとアタリはなくなってしまった。






そして、20日。

降りしきる雨の中、こんな日に行くなんて呆れてものが言えんという連合いを尻目にまたまた出かけた。

海が呼んでいるのである。モンスターが呼んでいるのである。

もう誰が何と言おうが、雨が降ろうが槍が降ろうが行くんである。


磯に立つとヘッドライトの中、小降りになった雨が踊るように海面に降り注いでいた。

誰もいない静かな海だった。こんな日に釣りをするアホはいないんである。


そんな海の正面へフルキャストの第一投だった。

ルアーが着底したのを確認して、そっと引いてみるともわっとしたイカの存在感。

ちょっと間を置いて合わせると、ルアーが動かない。根掛かりだ。

ルアーのロスト覚悟で思い切り引いてみるとゆっくりと動くではないか。

イカだった。それも相当デカイ。

ジィー!!ジィー!!とドラグが唸り逆転する。

先日の25センチでは鳴らなかったドラグだ。

その度にロッド、スペシメンがハゲシク首を振った。

どのくらい時間がかかったか、右腕の筋肉が悲鳴を上げそうになり、

そいつはゆっくりと海面に姿を現した。

思った通りモンスター級だった。

昨夜のやつか!!一瞬昨夜のことが脳裏をよぎった。

どうあっても昨夜の二の舞は避けたかった。


慎重に寄せる。慎重に。

左手で玉網をたぐり寄せ、引き延ばし、足元の海面に差し伸ばす。

そうなのだ、今日は玉網を持って来たのだった。

直径40センチの玉網にやつの巨体は入り切らないくらいだし、やつはこの期に及んでもジェット噴射で逃げようとする。

なかなかうまく入ってくれない。

焦る。バレるなよ。

なんとか身体半分入ったところで強引に玉網を持ち上げ身体全体を収めたが、その瞬間、玉網の柄が重さに折れちまった。

あんららーー!!

焦りまくるが、なんとか折れた柄(折れたがかろうじて繋がっていた)をゆっくりと引きあげランディングに成功したのだった。


ヒットからランディングまでほんの数分だったろうが、長い時間だった。


煙草に火をつけ、磯の上に横たわった巨体を座って暫く眺めた。




(折れた玉網の柄)


こいつは親イカではない。今年生まれた新子のモンスターなのだ。




しかし、不思議である。

昨夜逃げられ、今夜再びモンスターに出会うとは。


「お前、昨日のやつなのか?」と聞いてみたが

やつはそのでっかい目で私を見返すだけだった。




帰って計ってみると胴長30センチだった。うっひゃ~~!!




勿論、釣りを始めてからの自己記録である。


確かに今年の海はイカは少ない。

だが、釣れないことはないのだ。

数は少ないが、デカイやつが潜んでいる。

そいつを狙おう。



沢山釣るのも楽しいが

こんな釣りも面白いし、かえって学ぶことは多いし、やりがいがあるのかもしれない。



ちなみにヒットルアーはヤマシタエギ王Qの旧タイプ。エギングを始めた頃によく使ったあのエギである。
それも羽根が片方取れていてボロボロのオレンジである。
私は基本的にエギ王Qの旧タイプが好きである。なんだか私の釣りのリズムに合っているような気がするんである。

ロッドは師匠つーさんの奨めでブリーデンスペシメン90ディープである。
中古を手に入れたのだが、操作性、感度、バランス、どれもいい感じ、この深い磯に適合し気に入っている。




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12 コメント

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Unknown (かずひこ)
2013-10-21 16:25:52
でかぁ~い!!
すっごい重たそうですね。

根掛かりだと思ったらイカだったって解ったときに、その重さでアドレナリンがぶんぶん出そうですね☆
羨ましい!!

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Unknown (ゴウ)
2013-10-21 18:44:38
読ませて頂きました。♪

そしておめでとうございます!(*^▽^*)
僕は秋の胴長30U+339Dオーバーは、去年初めて遭遇しました。

ただし、自分が釣ったイカののすぐ後をゆらゆらと、追っかけて来たのでした。

まだ、釣りあげては無いです。…(笑)


今これ読んで、体がウズウズです。


きめました! 今から行ってきまーす!♪♪♪



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かずひこさん (ゴロスケ)
2013-10-22 01:25:01
イカの場合、根掛かりがヒットだったというのよくあるよな。デカイやつほどそんな感じ。根掛かりとヒットでは真逆の出来事だから、二倍嬉しかったりね。

まあ、重たいちゅうか、この強烈は生命反応が釣りの醍醐味だよな。
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ゴウさん (ゴロスケ)
2013-10-22 01:32:49
ほんとゆらゆらと来るんだよな。鋭いジェット噴射しながら。

小生の勘では、今期は数は少ないけど、デカイのがいます。そして、今がチャンスだと思う。

恐らく明日は仕事があるんだろうけど、今、という行動力、いいね。

モンスター釣れるの祈っております。



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Unknown (つー)
2013-10-22 04:22:49
すげぇですね。それ釣りたくてやってるんですがなかなか来てくれません。
青物が回ってた間沖に避難して成長したんかもしれませんね。それがショアに差して来ている。行きたいなぁ。
ふうちゃんもあり得んですね。ものすごい迫力写真です。
ロッド、90deepにしたんですね。そのサイズ狙うならぴったりです。江崎さんらしいし。触った事ないんで今度振らせて下さい。
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Unknown (ダイ)
2013-10-22 09:51:56
うわあデカいですねえ。
これ釣りたいです。通わねば。
やる気でてきましたよー!
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つー師匠 (ゴロスケ)
2013-10-23 11:13:15
なんかタイミングがバッチリだったみたい。でも昨日の今日、第一投だったから驚いたよ。
こんなことがあるんだよなあ。ドラマが繋がっているとでもいおうか、なにか縁のような、不思議だよな。
成る程、つーさんの言うように、青物がいるから沖ででかくなり、でかくなったら青物の子供たちなんて天敵ではなくなって、餌の沢山いる岸に近づいてくる。そう考えればつじつまが合うし、我々にとっては好都合だよな。今年は11月に入っても釣れそうな感じがあるよ。デカイやつがウロウロしてそうだ。
風ちゃん、あり得ん。驚いた。
初心者は本人が何がなんだか分からんままに釣り師たちの思い込みを越えた釣りになって、慣れた釣り師たちの死角にいるでっかいイカが反応するのかもしれないな。
初心者には学ぶこと多いよ。
ロッドは85ディープを買おうと思ってまずオークションで捜したら、85はなくて90があったんだ。それも25000円と安かった。しかし85とは違うのだろうとブリーデンのホームページを読んでみると、中身はそう違わない。ちょっと長いだけの印象だった。操作性は幾分悪くなるだろうけど、長いのは基本嫌いじゃないし、ともあれこいつを買っておこうと。
実際使ってみると以前のカラマレッティとは世界が違って面白いし、しゃくり易いし、感度もいいし、柔らかそうでいてとても強い。とても気に入っているよ。きっとつーさんも気に入ると思うよ。
昨夜、荒れていてイカ釣りを諦めスズキ釣りになり、このロッドでやったが、とてもやり易かったな。4バラシの3つ。ひとつはヒラだったよ。
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ダイさん (ゴロスケ)
2013-10-23 11:17:21
あれからシイラ釣れましぇん。

今年はデカイのいそうです。

ダイさんならきっと釣れます。
すんごいのが。

通って下さい。
小生ももっとでかいの狙います。
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Unknown (とも)
2013-10-23 12:51:08
すごーい!おっきー!!!

かっこいいー!
格好も素敵だし。

さすがです!
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ともちゃん (ゴロスケ)
2013-10-24 11:35:44
なんかラッキーだったよ。
でも不思議な感じがした。
前日取り逃がし、次の日またそのサイズ。同じやつでないにしてもただの偶然とは思えないものがあったな。
ユングの言う意味ある偶然の一致「共時性」じゃないかとね。

つーさんと違い小生はまだ初心者の域だよ。シャクリもヘタクソだし、イカのこともよく分かっとらん。
まだまだだな。
これから。
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