永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

私のアオリイカ開幕

2013-09-21 | アオリイカ

実に半年ぶりの釣りである。

このブログはそれ以上のブランクになっちまった。

春から夏にかけて奈良、松山、大分と立て続けに展覧会があり仕事に没頭した。

仕事に没頭すれば釣りが遠ざかり、釣りに没頭すれば友人たちが心配するほど仕事が遠ざかる。

どうもこのあたり、うまくバランスがとれない性格らしい。


この盆休みに福井のつーさんが久しぶりに家族友人たちと遊びにやって来た。

釣りを初めて10年になるが、切っ掛けはつーさんとの出会いだった。

彼は今、釣り雑誌に記事を書き、かのブリーデンのスタッフにもなって、釣り師としての活躍ぶりはめざましい。

それは釣り弟子として嬉しくも誇らしくもあり、そんな彼と釣りの話をしていると、暫く眠っていた釣りへの想いは刺激されムクムクと蘇って来るのであって

昨シーズン、イカロッドを折ったこともあり、彼の奨めでブリーデンのイカロッド、スペシメントを買っちまったのだった。(ついでにメバルロッド、93PEスペシャル、ホウリーアイランドも。うっひゃ~~。)

新しい釣り道具、特にロッドは嬉しいものだ。

釣りの大先輩、故開高健先生の言葉「大人と子供の違いは高価なオモチャを持っているかどうかだ」がちらと頭をよぎる。

いいではないか、私は大人なのだ。稼いだお金は楽しいことに使うのだ。




というわけで、リールの整備をし、エギも揃えて準備万端イカシーズンの到来を心待ちにしていたのだが、9月初めにまた大阪で展覧会があり

今、やっとそれも終わり、遅ればせながら小生のイカ釣りの開幕となったのだ。

19日は中秋の満月、開幕にはもってこいの夜だった。

心ははやり、まだ明るいうちにポイントに到着。明るいうちにスペシメントの振り心地、感触を確かめたいということもあった。

エギ3.5号をつけてやってみる。

新しいロッドを試すのは楽しい。心ワクワク弾むのだ。

昨年まで使っていたカラマレッティより柔らかく粘りがある感じか。

このところ激しくシャクルことはあまりなく、どちらかというと大人しいシャクリになってきたが、それにはピッタリのような気がした。

でも、このロッドにピタッと合うシャクリが分からない。手に馴染むにはまだ時間がかかりそうだ。



数投やってみるが、釣れる気配はなかった。

この夏、シュノーケリングで例年になく多くのアオリイカの子供たちを見かけた。

漁師さんも今年はイカが多いのではないかと言っていた。

だから今年のイカ釣りは期待したし、今が新子の数釣りの時期である。

それもこのポイントは輪島の一級ポイント、釣れないはずはなかった。

しかし、釣れないんであった。


実はメジャーポイントだけあって、先客が二人いた。

その二人とも釣れている気配はなく、一人は早々に帰っていったのだ。

残ったおじさんは帰る気配もなく、聞いてみると満月の夜を待っているようだった。


ともあれ、夜に期待し、のんびりと待つことにした。


そのうち日は落ちて水平線に沈んだ。





日はゆっくりと水平線に近づき、やがて一気に沈むのだ。

いつ見ても、荘厳な美しさである。

日が沈んで暫くすると、背後の山の端にまん丸お月さんが顔を出した。


暗くなりはじめた頃、おじさんにヒットした。

やはりな、と思う。

いないわけがない。

と、私のロッドにもイカの重さが。

胴長13センチ、小さいが今年初のアオリイカである。



底だった。

次も底ベタでヒットした。こいつは15センチ。



この時期のやつは中層で釣れる筈だが、活性がないのか底でしか掛からない。

おじさんに聞いても底だという。

しかしと思い、時折表層や中層を狙っても掛からない。

ひたすら底を狙う。


着水後、カウント40。

始めのシャクリは大きく、暫く待って小さくパンパンパンとしゃくる。次はリズムや回数を変えてやってみる。その繰り返し。


昨シーズンの終わり頃、ワンキャストワンヒットが5時間も続いた。

それを思い出すが、虚しい限り。

でも、ぼつぼつと来る。





数匹続いたと思うと暫く間があく。


時々空を見上げてまん丸お月さんを眺める。

雲一つない空にあっけらかんと浮かんでいた。

中秋の名月である。

深夜、磯の上で何やらやっているおじさん二人を見て笑っているようだ。

見上げる度にその位置が移動し

真上に来るとライトが要らないほど明るかった。



延々と磯に立ちロッドを振った。

嗚呼、楽しい夜である。

おじさんも帰ろうとしない。



豊かで濃い私の時間である。


「永遠に幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。」


とは中国の古い諺である。




結局20杯ほど。大した釣果ではない。

しかし、おかずには充分だ。





おじさんは輪島の北間さん。お世話になりました。またどこかで会いましょう。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿