永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

またしても。

2014-05-05 | メバル


このところ絵本の仕事にかかっていて、なかなか釣りに出られなかった。

しかし、この時期は私の経験では尺が狙えるいい時期である。行かないわけにはいかぬ。

それで途中の仕事を置いて2度ばかり出かけたが、いいのがさっぱり来なかった。

周囲の釣り師たちの今年は釣れないという噂も聞いている。

本当にそうなのか?

釣れなかった2度の釣行はいずれも凪ぎに近い状況だった。

もともと凪でいいのが釣れたためしがない。

一度、荒れた海でやってみないと分からない。

そう思っていた。


数日前、金沢の友人夫妻から遊びに来たいという連絡があった。

ならば、彼らにメバルの刺身を食わせてやろうと来訪の前日、天気予報を見るとタイミングよく海は荒れるという。

雨が降るわけでもなく、南風(追い風)であり、波だけが荒れるらしい。

これはチャンスである。

ポイントは前回、前々回、釣れなかったところである。

釣り座に立って見ると久しぶりに海は荒れ、眼下の海面はサラシが渦巻いていた。2.5メートルの波といったところ。

メバル釣りには荒れ過ぎだが、凪よりましに違いない。


先ずはプラグをつけ、追い風に乗せてフルキャスト。

大きく広がるサラシのさらに向こうへ着水させたい。

ゆっくり引いて、サラシとの境目あたりが怪しいエリア、気を入れて引く。

しかし、数投やってアタリなし。

ならば仕方ない、フロートリグに替えてフルキャスト。

単体ジグヘッドではサラシのさらに向こうまで飛んでくれない。

プラグよりゆっくりと引く。


数投目、リグがサラシに入った辺りで小さく当って来た。

暫し引くのを止めて、違和感が持続しているのを確認して合わせると乗った。

まあまあの引き。一気に浮かせ引き寄せ、抜き上げる。

26センチ。




次のキャストも同じところで当って来た。

乗ったものの、半分引き寄せたあたりでバレちまった。

入れ食いか、と思ったが、それは早とちり。


20分後、違う方向でガツンときた。一瞬間を置き、思い切り合わせると重い手応え。しっかりと針が食い込んだ。

ゴリ巻いて浮かせるが、なかなか浮いて来ない。

PEスペシャル93Houri-Islandの穂先がしなる。いい感じ。

浮かせたあとは慎重に寄せる。

ライトを付け、足元まで来たのを確認して抜き上げる。

28センチだった。



久しぶりのデカメバルの手応え。

入れ食いではないが、やはり前回とは違うのだ。

期待できるぞ、と心は弾む。



しかし、その後、パタッとアタリは消えてしまった。

レンジを変えたり、プラグでやったり、方向を変えたり、思いつくことはやってみるのだが、サッパリ当らない。

が、そこで帰る気にはなれなかった。

時折、煙草に火を付けながら、アテもなくひたすらキャストを続けた。



空を見上げれば、満天の星々。高いところに北斗七星がくっきりと輝き、

水平線の上の細い三日月の赤い光が海面に反射して筋を作っていた。


時計を見るとアタリが消えて2時間が経過していた。

サラシのエリアがさらに広がり、海は増々荒れて来たようだった。

そろそろ潮時か、と思えた。


リグを点検し、ラストの一投を気持ちを入れてフルキャストした。

しかし、アタリなし。同じである。

じゃあ、ラストのラストの一投を追加である。

しかし、さらにアタリなし。


じゃあ、ラストのラストのまたラスト、泣いても笑っても最後の一投だと、腰を入れてさらにフルキャスト。

惜しむように、ゆっくりと引く。

と、サラシの中で、コンと来た。

引くのを停める。

と、そーっと吸い込むような、イカのアタリのような、妙な感触。

そこでゴンと合わせる。

手応えあり!!ロッドに重さが乗った。

ロッドを頭の上に差し上げ、ゴリゴリと巻くが、これまたなかなか浮いて来ない。ここが面白いところ。

なんとか浮いたところで、魚がサラシの白い水面を滑ってくるのを確認しながら慎重に寄せた。

抜き上げると、ぐんなりと重く、魚体は尺クラスに違いなかった。




正月に尺クラスを立て続けに4つ上げたが、いずれも29.5センチで尺にはついに至らず、

今度こそ尺かもしれぬと期待したのだが、

計ってみると、うっひゃ~~~!!




またしても、29.5センチなのであった。


その後、さらに30分粘ってみるが、再びさっぱりとアタリなく、

波が足場まで上がって来るようになり、危険を感じ慌てて撤退したのだった。


帰り道、29.5センチだったことが我ながら妙に可笑しかった。

たった三匹の釣果だが、なんとか友人に刺身を馳走できそうだし、

この日は荒れ過ぎだったが、ともかく「荒れ」がキーワードということが少なからず確認できたわけで

心は軽かった。


振り返ると赤い月は水平線に沈んでいた。




(ひとりの時は自分の記念写真が撮れないが、今回、リモコンシャッターを試みてみた。しかし、なんか決まらない。)





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