【ロンドンからのお客様】
昨日(26日)、高台寺玉半旅館からの、
電話依頼を受けて、きょうは、ルンルン鼻歌まじり。
朝9時30分のお迎えです。
きょうのタクシーは、都タクシーを利用します。
お客様は、ロンドンからお見えのご夫婦です。
奥様は、18歳・・・じゃない、
奥様は、魔女・・・じゃない、
奥様は、クリスティナ・ファットーリ様。
英語の名前じゃないな、と思ったので、
聞いてみると、家系は、イタリア出身だと言います。
(オーソーレ・ミーロー) と、
わけのわからん歌を腹で、歌います。
さて、荷物をトランクに、積み終わったところで、
前日に用意した、日程表を見せる。
やや、ご不満の様子。
「We'd like to see more the rock garden.」
(ロック・ガーデンをもっと、見てみたい。)
という。
それは、かまわないが、
どんなロック・ガーデンのことだろう?
と、訝しげに思いつつ、
イエス、イエス。ロックガーデン。
レッツラゴー、ゴーゴー。と、安請け合い。
なんて、ええかげんな、ガイドだろう。
と、自分で、自分を蔑む。
午前9時30分。何はともあれ、
宿の人たちが、見送る中
高台寺、下川原通を出発です。
行き先は、二条城。
(なるほど、ここの庭には、作事奉行、
小堀遠州の、作庭した、
ロック・ガーデンが、確かにある。)
二条城には、我らが
都・タクシーの運転手さんの、
専用駐車スペースが、ある。
自分が、運転手でないから、
ずっと、クーラーを、かけていてもらえる。
こんな暑い日には、助かる。
ここで、タクシーの運転手さんから、要望です。
「お客さん、観光でしたら、
貸し切り料金で、頼みます。」
「えー?そんなの、
今更、言ってもらってもぉ。」
そうです。私は、5000円を越えたメーターは
半額になるというタクシーを選んで乗ったのです。
京都のタクシーは、本当に安いです。
朝から、夕方まで、実に、7時間も乗って、
支払いは、11430円でした。そりゃ、そう
言いたくなりますよね。貸切料金にしてくれってね。
因みに、貸切料金は、
1時間当たり、3320円です。
まともに、料金を支払えば、
7.5×3320=24900
24900円。
タクシーは、この後、2度乗り換え、
それぞれが、800円と、900円。
タクシー代合計は、13130円、
車付きガイド、
1日3万円の売り込みは、今も有効のようである。
午後3時半に、タクシーは、帰って行きました。
都タクシーの乗務員さんが、
「堪忍してくれ。」
と、音を上げてしまったので。
ゴタは、鬼の客。ああいやだ。
みなさん、こんな悪い客にならないようにね!
でも、それでも、
今度、奈良・大阪・神戸と周遊する観光が、あるときに、
また呼んでくれ、と言うので、お名刺いただきました。
二条城、二の丸御殿にて。
大広間、大政奉還の様子を、人形で、再現しています。
「What are these dolls for ?」
(何これ?)
「 They depict the proclamation of the Return of Political Rule to the Emperor.」
(これは、大政奉還の様子です。)
「Shogun and his subordinates,right?」
(将軍と、配下ね?)
「Yes.they are.」
(はーい。)
「Oh, Page boys ! 」
(小姓もいるわ。)
「Yes. And look at the panels beside Shogun.
There is another room behind the panels
where the guards hid themselves to protect
Shogun in case anything happened.」
( そうです。将軍の横のふすま戸をご覧下さい。
その裏に部屋があって、
護衛の武士が、身を隠していました。)
【黒書院】
黒書院へ、向かいます。歩くたびに、
廊下が、キュキュと、きしみます。
我らがお客様、大喜びです。
なぜなら、お客様のガイドブックには、
そのように、解説されていましたので。
つまり、
As a safeguards against treachery,
Ieyasu had the interior fitted with 'nightingale'
floors.
(背信行為からの、警備手段として、
家康は、「うぐいす張り」の廊下をしつらえました。)
えっ? なぜ、知っているかって?
同じガイドブックを、持っているからだ。
曰く、敵を知り、己を知らば、百戦危うからず。
とは、言うものの、いつも怪しげな、案内のゴタ。
みなさま、lonely planet社の
「Japan」
は、必携ですぞ。
たいていの、外国人観光客が持っているのは、
このガイドブックであります。
しかも、彼らは、このガイドブックを、
聖書のように、信頼しておいでです。
これに違う案内をすれば、すぐに、
「Oh, That is different
from what I 've read so far.」
(あら、読んだのと、違うわね。)
という手裏剣が、飛んで来ますよ。
手裏剣は、あの青い表紙のガイドブックから、飛んでくる。
ヾ(@^▽^@)ノ
白書院を出て、外の廊下を右手に進みます。
再度、入ったところに、牡丹の絵。白い牡丹です。
「Standing, she looks like a tree peony,
sitting,like a peony and walking, like a lily.」
(立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。)
という諺があると、説明。
しかも、タイミングよく(悪く?)、奥方が、
こちらを振り向いたときに、言ったものだから、
「Like you ! 」
(あなたのように。)
と、修飾語尾を付け足した。
何にも出ませんでした。
【金閣寺にて】
入ろうとすると、呼び止められました。
「ちょっと、入場券を見せてください。」
お客様、お札をしまい込んでいました。
「Sorry. I didn't know this was the ticket.」
(すみません。これって、入場券だったのね。)
「Yes. and doubles as a talisman.」
(そうです。護符も兼ねてます。)
「Wonderful.」
(いいわね。)
金閣寺が見えました。
(さあ、説明開始!)
勇み足、というか、勇み声で、始める。
「一層は、法水院で、平安様式の寝殿造り。
二層は、潮音洞といい、観音像御安置の場。
三層は、ああで、こうで、こうなんですよ。」
と、英語での説明をがんばります。
同じく、英語で、うなずきの返事が、返ります。
(何か、おかしいな)、
と振り返ると、よその外国人です。
(あらら、まあ、ゴタのお客様はどこ?)
見渡せば、ご主人は、一番奥で、写真撮影に、忙しそうです。
(えーと、奥様は、どこかしらん?)
と、また、見渡すと、
こちらは、入り口近くで、
これまた、写真をカシャカシャ。
ここは、ご夫婦で、
一緒に立ったところを、写すのが、定番なのに。
ひとり、ボケー、としていると、
「すみません。シャッターを押して
いただけますか?」
「はい、いいですよ。」
ひとつが、終われば、またひとつ。
私ゃ、写真屋か!もう、いや。
【竜安寺にて】
お客様の、第一希望の、石庭に、やって参りました。
ベランダに、座って、しばし、瞑想に、ふけりましょう。
ああ、でも、きょうの、この暑さといったら、
とても、瞑想に、入る気分じゃありません。
南側の庭の、暑いこと、そそくさと、
北側のベランダに、移りました。
定番説明の、つくばいが、あります。
The Chinese character put upper,
assorted with the square pool in the center,
can be read as "ware" which means
"I "
in English.
Then, the square part that is
representative of a mouth and the right part
form another Chinese character meaning
"only ".
And the more other letter meaning
" satisfaction "
consists of the center square and down part.
And finally, the center pool,
coupling with the left letter
makes a meaning of
" know ".
Altogether,they read as
"I only know the satisfaction."
And this teaching is derived
from a Buddhist holly sutra .
(上の漢字と真ん中の四角で、
われ、つまり、英語で、私 と読めるのです。
そして、四角の部分は、口というのを
言い表していまして、右の部分と併せて、’唯’
の意味です。
次に、さらに、満足という意味の字が、
真ん中の’口’と、下の部分で、構成されます。
最後に、真ん中の’口’は、左の字と、
ペアで、’知る’という意味の漢字になります。
結局、全体で、我、唯、足るを知る。と読めるのです。
そしてこの教えは、仏典から、来ているのです。)
お客様、大きく、うなずかれました。
ヾ(@^▽^@)ノ
【仁和寺にて】
はじめ、天龍寺を予定していましたが、
竜安寺の近くに、見学出来る寺院は、ありますか?
という、ご夫妻のリクエストにお応えして、
そして、乗務員さんのおすすめもあって、
ここ、御室の、仁和寺に、やって来ました。
発願は、光孝天皇。
これが、仁和2年(886年)だったことから、
仁和寺と称する、とか。
天皇は、寺の竣工を見ずに崩御。
その意志を継いだ宇多天皇が、
仁和4年(888年)寺を創建し、開基となる。
寺は、始め西山御願寺と名乗ったが、
後に、光孝天皇在位の年号を取って、仁和寺とした。
御室の八重桜は、有名ですが、残念ながら、
今の季節、ただの、低木です。
ヾ(@^▽^@)ノ
まず、御室御殿に入ります。
開基である宇多天皇を始め、
代々天皇が、執務を執った門跡寺院の御殿です。
御殿の廊下を、進んでいった中程に、
お抹茶が、頂ける部屋が、ありました。
「Would you like to try it ? 」
(いかがですか?)
「We will.」
(そうしますわ。)
畳の上に座るか、テーブルで、頂くか?
どっちが、いいかと、係の人が、尋ねます。
テーブルが、いいと、おっしゃいます。
500円也。
旦那様が、お支払い下さいました。
ありがとうございます。
お菓子を見て、
「Any suitable timing
that we eat this sweets?」
(これは、いつ食べるのだ?)
「Oh, unlike tea or coffee you have in Europe ,
the powdered green tea we are going to have is
tasted a little bitter because of no sugar.
This sweets serves as a kind of sugar
separately set outside.
So eat first so that
the bitter tea goes well in your mouth.」
(そちらのお国の紅茶や、コーヒーと違って、
お抹茶は、お砂糖を入れないので、苦いです。
お菓子は、お砂糖代わり。
苦いお茶と、合うように、今、お口にどうぞ。)
お茶が来ました。クルクルと、茶器を手のひらで、
回転させて、お客様の前に出されました。
「 Why is it? Is she casting
a spell or anything ?」
(何かの、おまじないかね?)
「 Not at all. She's turning the cup so that
she could serve it with its front faced on you.
It's a polite way of serving the tee.
At a tea ceremony, it is a matter of course. 」
(違うんです。器の正面が、あなたの方に、
向くように、回したのです。丁寧なお給仕ですよ。
茶道では、当たり前のことです。)
床の間の、掛け軸を、じっと、ご覧でした。
漢文でしたので、ゴタも読めません。
でも、サービス精神だけは、
旺盛なので、無理して、解説を施した。
漢字は、10ほどありました。その中に、
「茶」の字と、「友」の字が、あったので、
『お茶は、友達。』
と、書いてあります。
とまた、ええ加減な、ガイドをしてしまいました。
(^_-)☆
お客様は、庭が、お気に入りのご様子でした。
少し歩いては、「ワンダフォー」、
また少し歩いては、「ビュータフォー」、
「スプレンディド」、 「ワァオー」。
じっと、立ち止まって、動きません。
ガイドは、もう、話すネタが、尽きています。
こちらも、一緒に、ただ、ッボケーっと、立っているだけ。
まあ、喜んでもらえれば、いいのだ。
と、自分に言い聞かす。