日々の寝言~Daily Nonsense~

百億の昼と千億の夜

萩尾望都のコミックのほうが有名のようだが、
原作の文庫を何十年かぶりに再読した。

最初に読んだときと感想はあまり変わらなかった。
全く成長が無いなぁ・・・

スケールの壮大さには圧倒される他ないのだが、
内容のほうは今一つピンとこない。

作者のあしゅらおうへの思い入れの強さはよくわかるし、
確かにあしゅらおうはかっこいいのだが、
読みにくい戦いのシーンが長くて、
宗教論、文明論としては厚みが無い感じ。

最初のほうのプラトンのあたりは
よかったのだが・・・

たとえば、J. P. ホーガンの
「星を継ぐ者」などのほうが
ワクワク感が強かったと思う。

日本SF界の傑作のひとつではあると思うが、
もうちょっとなんとかならなかったのだろうか?

 * * *

よく指摘されたことだと思うが、
小松左京の「果てしなき流れの果てに」
とテーマ的にはよく似ている。

どちらも、文明(「果てしなき」のほうでは「知」だが)
を育てる実験をする神(「百億」のほうではそこに滅亡を仕込む)と、
それに反抗する者との戦いの話だ。

「百億の昼と千億の夜」は1967年。
「果てしなき流れの果てに」は1966年。
書かれたのもほとんど同時期だ。

何か因縁話がありそうな感じ。

クラークの「幼年期の終り」が1953年なので、
どちらも影響を受けただけ、かもしれないが・・・
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