驚異の14連覇を続けている羽生善治王座に挑戦しているのは、
王位戦に引き続き、佐藤康光棋聖。
よくもまあ、これだけ戦いつづけて、お互い飽きないものだ、
と思うが、このところ、佐藤棋聖が毎回趣向を
凝らしていることもあって、
羽生さんも楽しんでいる面があるようだ。
今日の戦いも、見ごたえがあった。
後手の佐藤棋聖が序盤作戦を優位に進めて、
作戦勝ちになったのだが、
そこで、手拍子っぽいミスが出てしまう。
そのミスに対して、羽生王座はじっと辛抱する。
すると、それがさらに相手のミスを誘い、
微差で優位を得た羽生王座は
そのまま流れを手放さずに、
差を広げられないように粘る佐藤棋聖を押し切って勝った。
勝負どころでの判断が明暗を分けた。
優勢を意識した佐藤棋聖は、どう指しても優勢、と思い、
軽い気持ちで手を指したのではないかと思う。
その棋聖が軽視していた、辛い辛抱の一手を羽生王座が指し、
それが動揺を誘ったようだ。
その時点では、まだ形勢は棋聖にあったようだが、
そこで、焦る気持ちが出てしまったのか、
棋聖は攻め急いでしまい、それが逆転につながった。
勝負どころの感覚。
守るところと攻めるところ。
主導権をとるところと相手に手を渡すところ。
その見極めが勝負の分かれ目になる、
ということがはっきりと示されていた。
羽生さんがよく言うように、
少し良くなったくらいのところが一番危ない、
ということも。
微かにに揺れていたはかりが傾きかけたところ、
そこで、勝ちを焦らずに、しっかりと考えて、
微小な優位をじりじりと拡大してゆける力。
それが、羽生さん、あるいは最近の森内さんの強さ、
のような気がする。
日経の中継は、対局室の様子に加えて、
大盤解説の映像まで流すという素晴いものだった。
休日の開催ということもあって、堪能した。
こういう面では、ほんとうに良い時代になったものだ。
それにしても、佐藤さんは、
羽生さんにだけはどうにも分が悪い。
森内名人は、昨年の名人防衛のあたりで
それを克服したようだが、
棋聖の場合はどうもうまくゆかない。
他の人には、めちゃくちゃ勝っているだけに、はっきり目立つ。
本人も、かなり悔しいと思うのだが・・・
それでも、また戦わなくてはならない。
棋士も、好きなことをしているとはいえ、
本当に大変な商売だ。
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