日々の寝言~Daily Nonsense~

バッハの想い出

インベンションを
おさらいしているついでに、
改めてバッハのことを
あれこれと調べていて、
ふと、そういえば、
奥さんが書いた伝記があったはず、
と探したら、Kindle Unlimited
にあったので読んでみた。

バッハの二人目の妻である
アンナ・マグダレーナ・バッハが
書いた(という形をとった)伝記で、
バッハへの思慕+崇敬の思いや
当時の生活が活き活きと
描かれていてとても楽しめた。

私が読んだ、
プロジェクト・グーテンベルグの版
(服部龍太郎訳)では、
巻末に、小林秀雄さんの感想文と、
遠山一行さんの解説がついていて、
小林秀雄さんは、小林さんらしからず
「比類のない名著」と、べた褒めである。

遠山一行さんの解説も
高く評価しているが、その中で、
実際の作者が、アンナ・マグダレーナ
ではなく、米国の小説家の
エッサー・メイネルという
女流作家である(らしい)、
ということが明かされている。

まぁ、そうだよなぁ・・・

文学には素人だが、
いくらなんでも
1760年頃の女性が、ここまで
赤裸々に自分の想いを書く
というのはちょっと考えにくく、
もちろん、小林秀雄さんも
その点については、
「出典につき、疑わしい点がある
という説もあるそうだが、」
と一言触れてはいる。

しかし、その一方で、
お二人が言うように、
よくできていて、楽しめて、
バッハが聴きたくなる
というのは間違いがない。

作中にはいろいろな
バッハの作品が登場するのだが、
それが、どの曲なのかが
有名な曲以外はわからないのが
ちょっと残念だった。

脚注ででも補っておいて
いただけると良かったと思う。

特に、夫人が歌ったという
「春のカンタータ」や、
バッハが病の床で作ったという
「われいま神の御前に歩みゆく」
などは(本当にあるのなら)
聴いてみたいのだが、
上記の日本語では
なかなか検索がヒットしない。

他の人の訳もあるようで、
そちらには書かれているのだろうか?
あるいは、英語?の原文にあたれば
わかるかもしれない。

それにしても、1723年から1742年まで
およそ20年にわたって13人の子をなした
(Wikipedia)、というのもすごい。

作品にも見てきたかのように
描かれているように、
愛情の溢れる家庭だったのだろう。

バッハは、彼女のキーボードの
練習のために、有名な
「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」
を作っていて、とても有名な
メヌエット(作曲はバッハではないらしい)や、
ゴールドベルク変奏曲のアリアの
原型なども入っている。

今でも、ピアノ初心者のバッハ入門の
教材としても使われているようだ。


そういえば、映画もあった。

> アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記
> (公開題「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」)

確か、高崎映画祭で観て、
感動して? DVD を買ったはず、
と思って探したら見つかった。

しかし、DVD の解説によると、
どうやら、この伝記とは無関係で、
バッハの音楽の演奏の様子を
当時の姿に忠実に再現している
ということのようだ。

この伝記小説については、
「20世紀の偽書」と
一刀両断である(悲)。

せっかくだから、
こちらも見返してみようかなぁ。
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