日々の寝言~Daily Nonsense~

2位ではだめなんですか?

スパコンの省エネランキングは、
IBM が1位、日本のTSUBAME(東工大)が2位だった。

2位で思い出すのは、今年の流行語
「2位ではだめなんですか?」だ。

これに対して、ノーベル賞受賞者をはじめとする
超一流科学者からは「論外」という反駁?があった。

科学というのは、最初に発見することを競うゲームなので、
2番目に発見しても意味はない。

一流科学者たちは常に世界最先端の争いをしている。
その場において「2位ではだめなんですか」が
愚門であるのは自明だ。

しかし、スパコン開発には科学研究の面のほかに
実用システム構築という面もあるはずだ。

実用システム構築であれば、
世界2位でも十分に役にはたつだろう。

そもそも、TSUBAME の開発者である
松岡教授も言うように
評価用の特定プログラムの実行速度だけが
重要なわけではない。

にもかかわらず「2位ではだめなんですか?」が愚問なのは、
それが、京速コンピュータ開発に内在する
もっと別の議論すべき問題を隠してしまうためだ。

一番根本的な問題は、
全部国産できる技術を養うのか、
それともそれを諦めるのか、だと思う。

京速コンピュータの開発の一つの特徴は、
独自チップの開発と使用だ。一方、TSUBAME2.0は、
Intel と NVDIA のチップを使っている

京速コンピュータが世界1位の速度になったとしても、
独自開発のチップを使っているとすれば、
それを商売にすることは難しそうだ。

チップ自体の性能が10倍も違えば話も違うが、
そんなことはありえないと思う。
逆に、独自開発チップは開発コストがかけられないだけ、
量販チップよりも進化が遅くなるのが普通だ。

そこをあえて頑張るということの意味は、
スパコンを生産できる技術を
国内で維持したいためだと思われる。

これは、国産航空機とか、国産宇宙ロケットとか、
さらに突き詰めれば、国内農業維持と同じ問題だ。

国内の技術を維持する理由は
1)非常時の安全保障
2)トップレベルが高いほど周辺も引き上げられるという効果
3)いずれチャンスがくればそれで商売する可能性を留保する

いずれも不確定要素が多い。

「非常時」はいつかは来るだろうが、いつなのか?
周辺技術はどのくらい引き上げられるのか、
そして、それは商売になるのか?
いつ商売のチャンスがめぐってくるのか?
誰にも答えられそうにはない。

どうせ議論するなら、こういう難しいところを
きちんと突っ込んでほしかった。
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