併せ持っている人が少ないのはよくわかる。
たとえば、イチローのような
攻・走・守のいずれにおいても
飛びぬけている選手。
(今シーズンは苦戦だが)
ひとつですら得がたいのに、
複数揃うのが稀なのは当然だ。
天は二物を与えず、とも言う。
しかし、「美人」については
昔から疑問に思っていたことがある。
顔の研究をした人によると、
人間は、すべての点で平均的な顔を
美人と感じるらしい。
つまり、美人とは、ある意味
「最も普通な人」なのだ
という説がある。
平均顔については、この動画が面白い。
だとすると、多くの性質は、
平均値付近が最も現れやすいのだから、
それをたくさん兼ね備えた人の数は
多くなりそうなものだが、
なぜ美人は稀なのだろうか??
というのがその疑問。
最近、この疑問にすっきりと答える(と思える)
説明を、とある人から聞いた。
確率の話なので、少しやっかいだが、
私の理解の範囲で復元してみる。
たとえば、5とおりの目(1から5)がある
サイコロがあるとする。
普通のサイコロはどの目も等しい確率で出るが、
このサイコロは偏っていて、3がいちばん多くでる。
2と4はそれより少なくて、
1と5は一番少ないとする。
つまり、3=普通、が最も出やすく、
1や5=規格はずれ、は出にくいので、
これは個別の性質のモデルになっている。
数字を具体的にしたほうがわかりやすいかもしれないので、
3が出る確率=0.4
2と4が出る確率=0.2
1と5が出る確率=0.1
としてみよう。
これで1から5まで足すと1になっている。
このサイコロを10回振ったときに、
すべて3が出る確率は、0.4の10乗で、
0.0001048576 となる。
一方、たとえば、2や4が10回出る、
たとえば 2224444222 のようなパターンの確率は、
0.2の10乗なので、0.0000001024 と
ずっと小さくなってしまう。
この意味では、3が10回出る確率は
他のパターンが出る確率よりもずっと大きい。
しかし、2か4が10回出るというパターンは
ひととおりではなく、2222222224, 2222222244
など 2の10乗=1024とおりあるので、
それら全体をあわせると、
すべて3が出る確率とちょうど同じになる。
さらに、10回のうち、何回かは3が出て、
その他の回は2か4が出る、というパターンまで含めると、
3が10回出る確率よりも大きな値になってしまう。
(計算すればいいんだけど、ちょっと面倒^^;)
要するに・・・
たとえ個別には最も出やすい値でも、
同じ値が何度も繰り返し出る確率よりは、
それから少しずれたパターン群が出る
確率のほうが大きい、ということだ。
なので、実際にこのサイコロを
10回振ることを繰り返すと、
3が10回=美人が出ることはほとんど無くて、
3を数回+2,4が残り=いわゆる普通の人、
というパターンのほうがたくさん出る。
世の中で美人が生まれる確率が小さいのも、
これと同じようなことだ、という説明だった。
この説明は、美人以外にも使えて、たとえば、
「最も犬らしい犬」に出会うことが稀なのはなぜか?
も説明できている。
プラトンの「イデア」としての
「理想の犬=最も普通の犬」は存在するのだが、
現実にそれと出会うことは極めて稀だ、
ということだ。
長年の疑問が解けて(たぶん)、
ちょっと嬉しかった。
追記:
これは、スロットマシンで、7が揃う確率よりも、
それ以外の雑多なパターン群のどれかが出る確率のほうがずっと大きい、
という話と同じなのだが、スロットマシンの場合は、
各数字が個別に出る確率は等しいのに対して、
この話では、7が出る確率が他の数字より大きい
という設定になっているところが少し違う。
その設定がわたしの確率に関する直観を狂わせて、
なんとなく、7が揃う確率は
かなり大きくなりそうに感じさせる。
でも、実際には、7が揃う確率は確かに増えるのだが、
スロットマシンの列(普通は3列?)
=上の例でサイコロを振る回数
が増えてゆくと、たとえ個別の列で7が出る確率が
他の数字や絵より大きくても、7が揃う確率は、
それに近いパターンのうちのどれかが出る確率よりも
ずっと小さくなってしまう、ということだ。
たとえ「普通」であっても、
「普通を極める」ことは難しいのだ。
追記:
思いついて、「なぜ美人は少ないのか」で検索してみたら、
こちらのブログ記事がヒットした。
同じことを同じ理屈で説明している。
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