他人にわかりやすく説明する力で、
これまでなんとか世の中を渡ってきて、
特にひどい労苦もなく、大きな挫折もなく、
それなりに面白いこともあったし、
総体として悪くはない人生だったとは思っているのだが、
それでも、輝かしく華やかな他人と引き比べてしまうときなど、
いったい何が足りなかったのだろう?
と思うこともある。
結局、執念というか、
あることにこだわり抜いてゆく部分が
足りなかったのかもしれない。
師について鍛錬し、学ぶことが少なかった、
ということもあると思う。
自分の中の何かが、頑なに、
自分を何者かにしてしまうこと、
から遠ざけたのだ。
何者かになってしまうと、
自分が自分でなくなってしまうような
気がしていた。
どんなに偉い師であっても、
自分とはどこかが違うのだし。
自分を丸のまま、
大きく育てよう、
などと思っていたのかもしれない。
好奇心が強いことと、
比較的淡白な性格と、
苦労したくない怠惰さと、
無駄な労力を嫌う吝嗇さとが、
何か一つのことに賭けることを
許さなかったのかもしれない。
何事かを成し遂げるということは、
そこにかなりの資源を投入し、
リスクを取ることなしには
ありえない、ということがわかってはいても、
そのための、時間をかけた地道な努力が
できなかったのだろう。
そして、結局のところ、それは、
頭でわかることと、実際にできることは
全く違う、ということでもある。
頭でわかった瞬間に、
もうできたような気分になり、
それ以上のことをする気力が湧かなくなる。
頭でわかっただけで、出来たような気分になり、
しかし、実際にやってみると出来なくて
うんざりしてやめてしまう。
そういうことの繰り返し、
だったような気もする。
何者にもならなかった割には、
よくごまかして生きてきたとは思うのだが、
もうちょっとなんとかなったのでは?
と思ってしまうときもあるのだ。
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