将棋とコンピューター

渡辺竜王とボナンザが戦ったときに、
将来、コンピューターが人間に勝つようになっても、
人間対人間の勝負の面白さはあまり変わらないのでは、と思った。

それはそうだと思うのだが、
でも、やっぱり、観ている横から、
「あ、羽生さん間違えました」
「あ、今度は佐藤さんが、間違えました」
などとコンピュータに言われるのは、
勝負の興を削ぐかもしれない、と思う。
まあ、見なけりゃいいんだけど。

逆に、「ここではほんとうはこちらが正解ですが、
この手は局面を複雑化して逆転を狙った勝負手です」
などと後づけで解説してくれれば、
勝負の駆け引きを、より深く味わえるようになる
のかもしれない・・・

それよりも、変化として一番大きいのは、
プロが教えることの価値が下がる、
ということかもしれない。

コンピュータが、
「ここは悪手で、こう指すのがよかった」
と教えてくれるようになるわけで、
機械に教わるのは嫌だ、という人は
もちろんいるだろうが、
でも、全体としてみれば、
プロが教える価値は減ってしまうように思う。

でも、これについても、逆に、それほど強くない人でも、
コンピュータの助けを借りれば指導ができるわけで、
説明のうまい人、つまり「教え上手な人」
の価値が上がるのかもしれない。

プロもコンピュータを相手に研究する人が増えて、
将棋自体がかなり変わってゆく可能性がある。

ここがどれくらい変わるかは、重要かもしれない。

チェスがどうだったのかはわからないのだが、
新しい定跡などは出てきているのだろうか？
ここについて、あまり変化が無ければ、
全体としてもそんなに変わらないような気もする。

ゲームとしての将棋の奥深さが試される。
もしも、全然違うゲームになってしまったりすると、
昔の棋譜にはほとんど価値が無くなってしまうかもしれない。

というわけで、コンピュータが人間よりも強くなったときに、
その影響がどう及ぶのかは、よくわからない。

10年後にどうなっているのか、
楽しみのような、怖いような。