井筒俊彦の遺作となった論文。 確かに、これは、 大乗起信論を題材にしているが、 仏教の本ではなく、 井筒哲学の本、その集大成の 第一巻になるはずだった本だ。 存在とは何か? 人間とは何か? 意識とは何か? 本質とは何か? 覚者とはどのような者か? 言語・思考はどのように機能するのか? これらの問いにむけて、 古今東西の文献を自ら読み込み、 研鑽を重ねたその集大成は、 第一巻で頓挫してしまう。 なんという悲劇。 そこにはなにか、 人間が触れてはいけない 境地があったのだろうか・・・