日々の寝言~Daily Nonsense~

羽生善治 百年インタビュー

百年先まで残したい言葉を記録する^^;
百年インタビュー。

BSの番組らしいが、
羽生名人の回がNHK総合でも放送された。

1時間以上のかなり長いインタビューで、
現代将棋について、
羽生将棋の強さの秘密、
羽生名人のこれまでの軌跡、そして
将棋と羽生の今後、と
盛りだくさんの内容だった。

印象に残った言葉はいろいろあったが、
その多くは、他のインタビュー記事や
著書などでも目にしていたもので、
それほど新しいことは無かった。

そんな中、羽生自身が最も印象に残っている一局として、
1990年の竜王戦第4局のことが語られた。

羽生は、1989年に4-3(1持将棋)で
初代の島竜王を破って
初のタイトルを奪取。
若干19歳で竜王位に就いた。

そのときのことを、
「なんだか釣合っていないような感じ」
と語っていた。

その翌年、挑戦者に名乗り出たのは谷川浩司。
まぎれもなく最強の挑戦者だ。

羽生は出だしから3連敗し、
迎えた第4局にはなんとか勝ったものの、
第5局に敗れて1-4での失冠となる。

ちなみに、羽生善治データベース「玲瓏」
によると、初タイトルの竜王位以来、
羽生が無冠になったのはこの年の後半だけで、
翌年3月には棋王を奪取している。

この竜王戦について、
将棋をやっていて、初めて何かを失った戦い、
と語っていた。

谷川さんが、すごく早い局面から
詰みまで読みきろうとしていたので驚いた、
ということも言っていた。

この対局を通じて、
羽生は将棋の難しさや
奥深さを痛感したという。

そして、そのことは、その後の羽生の将棋に
すごく大きな影響を与えたようだ。

この話を聴いて、渡辺竜王の
最初の防衛戦のことを連想した。

2004年に20歳で森内から4-3で竜王を奪取した
渡辺への最初の挑戦者は木村一基だった。

この年、羽生は不調で、郷田と丸山に敗れて、
挑戦者決定のための決勝トーナメントにも
出場できていない。

木村自身が初タイトル戦であり、
精神的な問題もあったと思うが、
渡辺竜王は、充実期を迎えつつあった
木村を全く相手にせず、
4-0であっさりと防衛してしまう。

今から思うと、このことは、
渡辺竜王にとっては、かなり大きな
不幸だったのかもしれない。

谷川が羽生にしたように、
この年に羽生が挑戦者になり、
渡辺を木っ端微塵にするべきだったのだ。

その後も羽生の竜王挑戦は無く、
渡辺は佐藤康光を連破して通算4期とした。

竜王になり、結婚もして、子供もできて、
連覇して、家も建てて・・・

慢心するなと言っても、
それは無理なことだろう。
しないほうがおかしい。

こうして渡辺は、初防衛からの
3年間を空費した。

20代前半の3年間。

もしも、最初の防衛戦で羽生が渡辺を破っていれば、
精進の度合いは大きく違っていただろう。

佐藤康光との戦いは激闘だったし、
渡辺も学ぶところは大だったと思うが、
やはり、羽生とは違う。

それに、佐藤の対局過多による疲弊もあって、
0-2からの劇的な第3局を制した渡辺は
当初の予想をひっくりかえして防衛してしまう。

その時点での最高峰と戦い、敗れる
ことに意味があったはずなのに。

そして、今期の竜王戦で
渡辺はやっと羽生と正面から対峙している。

今月の将棋世界のインタビューを読むと、
ここにきて渡辺は自分の将棋に
自信を失いつつあるようだ。

B1での戦いにおいて、
特に後手番で、ほとんどチャンス無く
負かされてしまうことが何度かあったという。

4チャンスくらいあれば
勝てるんですけど・・・

空費した3年間は大きかったが、
ここで敗れて出直しとなれば、
まだ取り返す時間は十分にありそうだ。

それとも、将棋の神様は、
渡辺に、あくまでも自力で
このもやもやから脱出することを望むのか。

運命の第3局は、来週の木曜日からだ。

2連勝した羽生は、後手番でもあり、
普通なら、何か新しい工夫を試す機会だ。

しかし、本気で4-0を狙うなら、
冒険はしないかもしれない。

いかにも羽生らしく、
「いつもどおりに」指すのか、
それとも・・・

どんな面白い将棋が見られるのか、
期待が膨らむ。
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