日々の寝言~Daily Nonsense~

柄谷行人「世界史の構造」

なかなか難航していて
まだ半分くらいしか読めていないのだが、
冒頭の「序文」に要旨がまとめられている。

> 本書は、(生産様式ではなく)
> 交換様式から社会構成体の歴史を
> 見直すことによって、
> 現在の資本=ネーション=国家を越える
> 展望を開こうとする企てである。

さらに「序説 交換様式論」で
より詳しい概要が述べられる。

そこで交換様式として論じられるのは
A)贈与-お返し(互酬)
B)略取-保護
C)商品交換
であり、そのいずれの交換様式が
ドミナントであるかによって
社会が分類して論じられる。

社会の分類としては、
1)ミニ世界システム(互酬がドミナント)
2)世界=帝国(略奪-保護がドミナント)
3)近代世界システム(資本=ネーション=国家)
 (商品交換がドミナント)
が取り上げられ、それぞれが深堀される。

1)はモースが贈与論で、
3)はマルクスが資本論で
それぞれ論じた社会である。

さらに、A)からC)の交換様式を
越える交換様式として
D)商品交換の上の互酬的交換
とそれがドミナントとなる
未来について語られる。

このように、概要から
深堀りへと丁寧に壁を塗り固めるように
論が進んでゆくため、
内容は繰り返しも多く、
読むのが結構しんどいのだが、
しかし、その苦労に見合った
価値は十分にあると思う。

つまり、ここで論じられ、用いられる
交換様式に着目するという方法の
射程はとても広いと思われる。

ハラリさんの「サピエンス全史」とは
補完的な関係になっているので、
併せて読むとさらに面白い。

次の記事では、その一例を
書いてみようと思う。
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