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【歌舞伎】歌舞伎座 八月納涼歌舞伎 第一部・第二部・第三部 2019年8月

2019-08-10 22:41:16 | 歌舞伎
八月納涼歌舞伎
歌舞伎座
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実験いっぱい。青葉いっぱい。
 
◆第一部
 
一、伽羅先代萩 御殿/床下  
 
七之助さんの政岡は、飯炊きのでの2回の毒見の、ただならない緊張感が
印象に残る。常に子の死の可能性があるのだな。
 
嘆きは、でかしゃったの表向きの方が少し強いかなと序盤は思ったけど、
最後には泣かされました。エナジーで押し切ったかな。
 
幸四郎さん。八汐と弾正の2役、兄妹なわけだし、なるほど感。
 
七之助さんの政岡と児太郎さんの沖の井。
こういうの見れるようになったんだなぁ。これから暫く楽しみだな。
千松を勘太郎さん、鶴千代を長三郎さんていう布陣もまた楽しみの種。
 
二、闇梅百物語
 
顔の見えない骸骨は幸四郎さん。
あやかしいろいろ、舞う舞う。
 
◆第二部 
 
東海道中膝栗毛:
 
納涼歌舞伎だし、幸四郎さん猿之助さんの弥次喜多だし、
笑いとチャレンジ(お試し?)を楽しむ2時間。
次々世代(10~20代くらい)オールスターキャストじゃないか?
応援しちゃう。
上演2日目とは思えない、途切れないテンポはおそらく
集中力のたまもの。みんな真剣だと思う。
 
弥次喜多のアウトラインを知ってないと面白さ減だろうし、
楽屋オチ、さまざまな名場面の引用、などなど、
観客は試されているのかもしれない。
 
一見ハードル低そうで実は初見の人を連れていくのが
ためらわれるのであった。
(実は、連れてってと言われたので、第一部にしました)。
 
お隣の席のご婦人がたが「最近の若い人は演技は上手いけど
歌舞伎は・・なんですって」とか言ってた。
世に江戸の名残はもうないし(今、懐古されてるのは逆輸入的
視点よね)、私だって昭和の歌舞伎は観てないし。
いいんじゃないの。変わっていくの。
 
「歌舞伎とは何か」っていう問いを観客にも提示してるよね。
 
虎之介さんの猫爪艶之丞の絶叫は伝説になると思う。 
 
◆第三部 
 
新版 雪之丞変化:
 
映像をふんだんに。
むしろ映像との共演も含めた一人Ⅹ役を大胆に。
 
これは、ある種の"身体拡張"だ。
舞台が拡張する。役者が拡張する。時間が拡張する。
 
玉三郎さんは若々しい青年で、七之助さんや中車さんは
人生の先輩格の位置。
枠組みのはっきりした古典ならまだしも、今回の演目で
これを貫いて素直に観させたのはすごいことなんだと思う。
 
鈴虫、元気で透明で、いいね。
 
(2019.8.10、2019.8.11)

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