ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【読書】2021年読了(41冊)

2022-01-01 23:34:26 | 読書記録
2021年はとても気力が落ちていて、4冊を除き読後メモを怠ってしまいました。
リストくらいは残して旧年の読書を〆めることにします。
…しかしもはや内容を思い出せずしかも年末に〇ックオフにドナドナした子も。
以下読んだ順。

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<感想UP済>世界はありのままに見ることができない(1月)
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<感想UP済>Mind in Motion 身体動作と空間が思考をつくる(1月)
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U理論[エッセンシャル版]
― 人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造する
C・オットー・シャーマー
英治出版 2019/11
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2267

2021/02/12読了
U理論をおさらい。
----------------------
U理論 第二版 過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
C.オットー・シャーマー
英治出版 2017/12
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2247

2021/02/読了
U理論をおさらい+拡充。
----------------------
場から未来を描き出す 対話を育む「スクライビング」5つの実践
ケルビー・バード C・オットー・シャーマー
英治出版
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2279

2021/02/読了
U理論をおさらい+拡充。
----------------------
<感想UP済>コルヌトピア(2月)
----------------------
アフェクトゥス 生の外側に触れる
西井 凉子 箭内 匡
京都大学学術出版会 
https://www.kyoto-up.or.jp/books/9784814003082.html

2021/02/14読了
この本は、ページを、章を、読み進めるのがとても楽しかった。
アフェクト…「相互に作用・影響しあう関係」あるいは情動をテーマとして、
日本画家、人類学、科学(AI分野)、哲学、の論客が各章を担っているのであるが、
予定調和的な一貫性では構成されておらず、しかしうっすらと通底する
トーンか何かでふわりと全体がひとつの書籍として成立していた。
あれだ、倒木のウロを覗いたら地衣類と藻類が複数種集ったコロニーが
きらきらしてたみたいな感じ。
----------------------
ミーティングのデザイン
ケビン・M・ホフマン
ビー・エヌ・エヌ新社 2018/09
http://www.bnn.co.jp/books/9468/

2021/02/25読了
細かいところは覚えていないが、なるほどと思った記憶はあるので、
割と実践的だったのではないだろうか。
あてはめやすい組織は限られるかもしれない。
----------------------
デザインリサーチの教科書
木浦 幹雄
ビー・エヌ・エヌ新社 2020/11
http://www.bnn.co.jp/books/10700/

2021/02/26読了
必要なことが一通り平易に説明されているので、チームの新規参加者には
読ませてもいいかもと思った。
----------------------
ブリッツスケーリング BLITZSCALING
 苦難を乗り越え、圧倒的な成果を出す武器を共有しよう
リード・ホフマン
日経BP 2020/02
https://shop.nikkeibp.co.jp/front/commodity/0000/P88590/

2021/02/27読了
5種類のネットワーク効果というフレーミングと「小さいスケールから始めて
着実に成長することは望めない」というのが新鮮かつ"やっぱりそうか"の感。
これを国内大手がCVで実現するのはほぼ不可能ではないだろうか。
----------------------
世界「新」経済戦争 なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのか
川口マーン惠美
KADOKAWA 2020/07
https://www.kadokawa.co.jp/product/321907000263/

2021/02/某日
仕事に必要だったので通読。
----------------------
自動運転・MaaSビジネスの法務
戸嶋浩二
中央経済社
https://www.biz-book.jp/books/detail/978-4-502-34611-8

2021/02/某日
仕事に必要だったので通読。
----------------------
モビリティ・エコノミクス ブロックチェーンが拓く新たな経済圏
深尾三四郎 クリス・バリンジャー
日経BP日本経済新聞出版本部 2020/10
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32365

2021/02/2X
仕事に必要だったので通読。
そうかもしれない。そうでないかもしれない。
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101デザインメソッド 革新的な製品・サービスを生む「アイデアの道具箱」
ヴィジェイ・クーマー
英治出版

2021/03/某日
仕事に必要だったのでざっと目を通しました。ツールボックス。
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脳と森から学ぶ日本の未来 “共生進化”を考える 新刊
稲本 正
WAVE出版 2020/08
https://www.wave-publishers.co.jp/pickup/p03/

2021/03/07読了
編まれている論理に共感できる予感がしたので手に取りました。
一部は共感でき、一部は疑問を持ち…でした。
論理に至る素材の引用が豊富で勉強になります。
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虐殺器官
伊藤計劃
早川書房 2012/04
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000003096/

2021/03/15読了
これかなり以前に買ったのちなかなか読了できなかった一冊。
「ハイ・ライズのトラウマが再びか?」と思ったけれど読了できました。
最終的にはとても面白かった。(ネタばれるから詳細は書かない)
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ビジネスモデル・ナビゲーター
オリヴァー・ガスマン カロリン・フランケンバーガー ミハエラ・チック
翔泳社 2016/10

2021/03/某日
仕事に必要だったのでざっと目を通しました。
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MORE from LESS(モア・フロム・レス)資本主義は脱物資化する
アンドリュー・マカフィー
日本経済新聞出版本部 2020/09
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/17688

2021/04/10読了
読んだときは割と面白かった気がするのですが、あまり印象に残っていません。
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手の倫理
伊藤 亜紗
講談社 2020/10
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000345814

2021/04/17読了
伊藤亜紗さんの読み解きはいつも丁寧である。丁寧だけどくどくない。
侵襲的・一方向的「さわる」とは異なる「ふれる」のこと。
境界の認知そのものだけれど機械的機能とは違う、めくるめく世界。
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物流DXネットワーク
鈴木邦成 中村康久
NTT出版 2020/03
https://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002513.html

2021/04/17読了
仕事に必要だったのでざっと目を通しました。
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サブスクリプション 「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
ティエン・ツォ ゲイブ・ワイザート
ダイヤモンド社 2018/10
https://www.diamond.co.jp/book/9784478105528.html

2021/05/02読了
そうですね。そうなのでしょう。
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職場の「感情」論
相原孝夫
日経BP日本経済新聞出版本部 2021/03
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32377

2021/05/23読了
例えば英治出版さんの本を多く読んでいるような方々(アーリーアダプター的な)
でなく、職場でふつうに正面から感情を扱う時代が来たのか…と感慨深く手に取った。
人事部や育成担当はこれをどう扱うのだろうか。
----------------------
コンピューターは人のように話せるか? 話すこと・聞くことの科学
トレヴァー・コックス
白揚社 2020/10
http://www.hakuyo-sha.co.jp/science/nowyouretalking/

2021/06/12読了
これ、面白かった。人の会話音声の再現・創造にまつわる苦難と課題がいろいろ。
----------------------
インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学
ゲーリー・ウィルソン
DU BOOKS
https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK274

2021/06/13読了
もう少し幅広い動画視聴を指すのかと思ったら、タイトルの文字通りの
コンテンツが対象だった。依存症の実情を豊富なインタビューを取り混ぜて
提示。率直すぎてちょっと…と思う部分もままあり。
こういう分野は傍目には揶揄されがちだけど、こりゃ深刻。
----------------------
<感想UP済>次世代モビリティの経済学(6月)
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測りすぎ なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
ジェリー・Z.ミュラー
みすず書房 2019/04
https://www.msz.co.jp/book/detail/08793.html

2021/07/10読了
期待通りの内容。
測れないものを測れると思う(というか測れることにしちゃう)ところから
いろいろズレ始める。
読み終わったこの本、
本棚で「組織の罠」と「ブルシットジョブ」の間に配置してみた。
----------------------
中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図
湯 進
日経BP日本経済新聞出版本部
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32404

2021/07/11読了
仕事に必要だったので通読。ううむ。いろいろヤバイ。
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「ユーザーフレンドリー」全史 世界と人間を変えてきた「使いやすいモノ」の法則
クリフ・クアン ロバート・ファブリカント
双葉社 2020/10
https://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/978-4-575-31577-6/smp.html

2021/07/18読了
デザインシンキング全盛の現在に至る「ユーザーフレンドリー」という概念の
発生からの歴史を総覧できる。1日にして成ってない。けどもう戻れない・戻らない。
----------------------
SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略
宮本道人 難波優輝 大澤博隆
早川書房 2021/06
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014852/

2021/08/07読了
基礎技術に近い分野により有効な気がする。
けど物語(≒サーヴィスが使われる環境や人の様子)を置いて
バックキャストしてくとしたら、
ユーザセントリックのアプローチと重なる部分もあるだろうから、
「インテルの製品開発を支えるSFプロトタイピング」からひと世代回って
進化してるのかな。
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誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論 増補・改訂版
D. A. ノーマン
新曜社 2015/04
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b455574.html

2021/08/某日
仕事に必要だったので通読。
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「利他」とは何か
中島岳志 若松英輔 國分功一郎 磯崎憲一郎 伊藤亜紗
集英社 2021/03
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1058-c/

2021/08/08読了
「利他」の定義の話なのかもしれない。自己犠牲とは少し違うのだ。
----------------------
都市を終わらせる 「人新世」時代の精神、社会、自然
村澤 真保呂
ナカニシヤ出版 2021/07
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b587333.html

2021/08/22読了
「脱都市」というテーマに惹かれる。いまなお錬成の途上にある思想をみた思い。
引き続き注視したい。
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結ぶ・編む・組む・織る・繍う 絵を見てわかる糸の手仕事
石井照子 多田牧子 山村明子
建帛社 2014/08

2021/08/某日
手にとって、見て、満足。ライブラリーに並べた。
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ネオ・ヒューマン 究極の自由を得る未来
ピーター・スコット・モーガン
東洋経済新報社
https://str.toyokeizai.net/books/9784492046906/

2021/09/19読了
身体拡張、サイボーグ化、トランスヒューマニズム、といった文脈を思い描いて
手に取ったのですが。そしてそういう要素のリアルなところが盛り込まれているの
ですが。それ以上に、これ、ピーター・スコット・モーガン氏の人生における
闘いの歴史、自伝でした。
他者から傷つけられる場面に痛みがあります。そこから(相手を傷つけるのでなく)
新たな立ち位置を創る戦いに諦めの文字がない。
----------------------
「墓じまい」で心の荷を下ろす 「無縁墓」社会をどう生きるか
島田 裕巳
詩想社新書 詩想社 2021/09
https://www.shisosha.com/shimada03.html

2021/09/25読了
お墓って大問題です。仏壇も。
受け継ぎ手がいないとき、位牌も含めてどうするのだ。
#墓石やさんは墓じまい対応メニューがまだ整ってないんだよなぁ。石売るのが商売だし。
#(納骨してくれたのはありがたかったけど)。
#一度収めたお骨を取り出して散骨するのもなぁ。難しい。
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目に見えない微生物の世界 あらゆるところにたくさんいる!
エレーヌ・ラッジカク ダミアン・ラヴェルダン
日本微生物生態学会
河出書房新社 2018/05
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309279329/

2021/10/某日
不思議な微生物の世界。絵本。
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図解でわかるカーボンニュートラル 脱炭素を実現するクリーンエネルギーシステム
エネルギー総合工学研究所
技術評論社 2021/09
https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-12269-0

2021/11/03読了
仕事に必要だったので通読。
----------------------
たぐい vol.4
〈特集1〉人間の世界を超える人類学
〈特集2〉異種への生成変化
奥野 克巳 近藤 祉秋 共編
亜紀書房
https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1037

2021/11/07読了
淡路島に旅に帯同、往路は気が向かず、復路で一気に読了。
鳴門の渦潮と里山田畑の光景に洗われた後の感覚とはとても合ったのだ。
----------------------
行動を変えるデザイン 心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する
StephenWendel
出版社:オライリー・ジャパン 2020/06
https://www.oreilly.co.jp/books/9784873119144/

2021/11/23読了
行動・習慣を変容させるデザインのしかた。
----------------------
森の思想が人類を救う
梅原猛
小学館 2014/07
https://www.shogakukan.co.jp/books/09460070

2021/12/04読了
いったい何年前から積読だっただろうか。
読もうと思ったきっかけは11月の「民藝の100年」展と「柚木沙弥郎」展。
縄文文化/アイヌ文化への視点。
----------------------
植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース
日本植物病理学会
講談社 ブルーバックス 2019/03
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000321211

2021/12/15読了
物質の組成方面はあまり得意でないので前半ちょっと読むの辛いのだけれど、
ときどき重大なオモシロ事項が書かれているので油断できない。
----------------------

<2021年よみかけ>
あとちょっとで読み終えられるのに…至らず。

新 基礎情報学 機械をこえる生命
西垣通/NTT出版 2021/06
https://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002518.html

オープンダイアローグ 私たちはこうしている
森川 すいめい/医学書院 2021/09
https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/110628



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【読書】次世代モビリティの経済学

2021-06-27 21:58:37 | 読書記録
雑なワタシが、だいたいおおざっぱに認識しているモビリティ領域の
ビジネスの方向感や障壁についてのあれこれが、経済学という枠組みと
それが備えるフレームを以てきれいに論説されている印象。

なるほど、こういう仕切り線を入れるとクリアになるのか。

「モビリティサービスの定義と特徴」は、モビリティ領域のビジネスを
考える上で当然の事項であり、しかし、こうして定義づけされることで
新しい視点、実際には取りこぼしていた視点を得ることができる。

扱う「モビリティサービス」は主に人の移動にフォーカス(物流でなく)。

序盤、モビリティ領域での経済活動には、エネルギー資源と環境課題への
効果が期待されている状況が語られる。Society5.0然りスマートシティ然り。

そう、時に過剰に感じられるくらい、期待されているこの領域。
しかし期待値に応えられる時期は大変に遠く、それに至る短くない期間の
投資をどう説明を付ければよいものか。
そういう問いがあって本書を手に取った。

「モニタリング機能」の側面で語られるデータ収集・利用に際しての
データポータビリティの辺りに、スマートシティに向かう過渡期にある
モビリティサービスの実現障壁が立ち現れている。

-----
次世代モビリティの経済学 マーケットデザインによる制度設計
高原勇 /栗野盛光 著
日経BP日本経済新聞出版本部 2021/06
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/13496

「コレダ!」な解はやはりないのだった。
そりゃそうですね。あれば誰かがもうやっている。

(2021.6.27)


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【読書】コルヌトピア

2021-02-24 01:30:44 | 読書記録
冒頭、情景が身体に染み入りにくい。
文章の滑らかさが私には足りなかったのか、それとも、
「植物の認識」というヒトの言語ではない領域に近づけた表現を
意図していたからなのか。

AIを対にして言語を学習させていくと、いつかヒトのことばを
介さない独自のことばを生み出してヒトに理解できない会話を
し始めるのだと、いつだったか読んだ。その感覚に近い。

植物についての仮説が魅力的。
意識のようなのがあるけれど、ヒトと異なって統合されない感じが
それっぽい気がして、腑に落ちる。

森は物質で繋がる(菌根や共生菌をつなぐのは代謝の連鎖、物質の移動。
人間の脳内でシナプスの間は物質が繋いでいるのと似てる)から、
ネットワークそのものだし。
物質の移動はエネルギーの偏在だし。

この世界観で長くものがたりを綴ってほしいな。

自然林と「庭」の違いの表現も。面白かった。

主要人物3人とも繊細でピュア。植物っぽい。
-----
コルヌトピア
津久井五月
早川書房
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014560/

(2021.2.23)

千葉市美術館に向かう出掛け、長く総武線に乗るからと、
道連れに何となく積読から選んだ本は、植物が内包する何かを指していて
田中一村の描くそれとシンクロ。
本はいつだって読まれたいときに私を呼ぶのだ。


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【読書】Mind in Motion 身体動作と空間が思考をつくる

2021-01-03 21:37:06 | 読書記録
少し前に読了/感想投稿した「世界はありのままに見ることができない」を
8割がた読んだ辺りでこれを手にして、暫く並行して読んでいたら、
どちらがどちらの内容だか混乱してきた。
結論へのプロセスで取り上げる題材や「省略」という視点が通じている。

こちらの本は抽象的思考がいかに空間と身体動作に依っているかを
それこそたいへんに多くの、事例を積み重ねて示していく。
そうして終盤では認知デザインに言及する。

事例は、文化人類学における観察、認知科学の実験、
歴史的論説あるいは遺物に関する推定、
日常の空間と動作に関する光景の科学的説明、アート、
表現形式の数多の類型、カテゴリー、定義、
空間・時間・行動の描かれ方 等々々々々々。

あまりにも多岐に行ったり来たりするので、ワタシの脆弱な脳みそでは
脳内整理がとうてい追いつかず、取っ散らかってしまった。面白いけど。

「空間についての二つの根本的事実である近接性と重力」(P210)が、
抽象的意味、ひいては表現に及ぼしている影響の解説は、
日常的に既知な事象を論理に立てつけていてスリリングである。
そうそう、その手のプチ"スリリング"が本書のあちこちにきらきらと
散りばめられていましたよ。

-----
Mind in Motion 身体動作と空間が思考をつくる
バーバラ・トヴェルスキー 著
森北出版 2020/11
https://www.morikita.co.jp/books/book/3483

デザインは情報を省略すること。
情報の省略は進化プロセスそのものであるとしたら、
デザインとは生命活動そのものではないか?

「私たちがつくり、私たちをとりまく空間形態とパターンからは、
多くの情報が発せられる」(P322)
…歌舞伎は記号の森って、渡辺保先生が書いてたのを思い出した。

(2021.1.3)


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【読書】世界はありのままに見ることができない

2021-01-01 17:59:32 | 読書記録
私が視覚で捉えているそれは、ほんとうにその姿かたちで存在するのか、
そうでないとしたら対象物を視覚で感知した情報を他者とおおむね共有
できるのはなぜか。
共同幻想か。
そもそもそれは、存在するのか。

反転や回転した図像の類比が可能なのはなぜか。

ミラーニューロンは…。

デスクトップアイコンが…。

著者は「ITP(知覚のインターフェース理論)」を提示する。

視覚と認知の話、だと思っていたら、
いや、それは確かに、逸脱はしていないのだが、しかし、

「観察したら存在する」おや?量子論?そっち行くの?

「空間の一定領域に詰め込める情報の量が」…"ホログラフィック原理"
んんん…!?

「データ圧縮とエラー訂正」おおおお。

「思うにこの試みに成功すれば、生物と非生物の区別が、実在の本質に
関する洞察に基づくのではなく、自分たちの持つ時空インターフェースの
限界の産物であることが判明するかもしれない」(本文P196)…!!!

時空は、データ構造。

面白い。

「コンシャスリアリズム(意識的実在主義)」を提示する。

しかし、この後あたりから難解さに付いてくのが辛くなってくる。

最終章では「客観的世界とは何か?」の問いと、
神経活動と意識の間のミッシングリンクに立ち入っている。
著者が主張する「ITP」と「コンシャスリアリズム」は従来の考えを
リフレーミングするものだという。
…たぶん面白そうなのだが、私は一読では飲み込み切れなかった。

-----
世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか
ドナルド・ホフマン
青土社 2020/09
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3474

年末読書記録棚卸の続き、読みかけ本Finish。歳またぎ。

(2021.1.1 読了)



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【読書】プライバシー・パラドックス

2021-01-01 13:36:39 | 読書記録
これを読んでいる途中、業務で個人情報保護法について調べる機会があり。
プライバシー保護と個人情報保護法は、思った以上に別々だった。
私は専門家ではないし、あくまで私の感覚でいうと、ですが。
いわゆる法で定義されるところの「個人情報」が晒されたり覗き見られたり
すること自体ではなく、その先のプライバシーの侵犯こそが問題なのに。
データを活用する側(私の業務はそれ)もされる側(これもワタシ)にも
手間がやたらかかる割にちゃんとプライバシーが守られていくのか確証が薄い。
国内制度と議論、エネルギーのかけかたが間違ってないか?

閑話休題。

意外と手に馴染む縦長のB5変形。
ブルーのインクで穏やかに綴られるコラムはキーテーマを重ねていく。
多く取り込まれている引用の先に、おそらくより深い知が横たわっている。

だから、読んでいくと、軽い散歩に出たつもりが、
いつの間にか深い森に入り込んでいたような錯覚を覚える。

論点の森。

本書139頁からの引用:
 「プライバシーの死」は肯定できるのか?これが本書の当初から念頭に
 あった問いである。勢いづくポスト・プライバシー論の背景には、人間
 という概念のアップデートを迫り、人間はテクノロジーと合体すべきだと
 謳うトランス・ヒューマニズム」の世界観が横たわっている。

トランス・ヒューマニズムは、一神教的価値観を背景とした神格化への
希求を孕んでいると、以前に読んだ幾つかの書籍で語られていたっけ。

また一方にデータ資源論。デジタル世界によるリアルな私への浸食のこと。

デジタルの処理スピードに追い付かない人間の判断。契約行為の増大。

ありのままが記録され、記憶の改変という緩衝材が無効化する世界(狂うぞ)。

等々。

ああ、この辺の話、読んでいると意外と体感覚に来るなぁ。
私の思慮による制御が効かない、痛みだか痒みだかが、
私の外側で増幅された強烈さをもって、私の裡に来るのだ。むずむず。

何故だろう。
考えるに、管理や取引の対象は、固定的なもの・あるいは固定されたもの、
景色でいえばスナップショット、環境変化に応じて千変万化するものではない。
デジタルツインな私は、私のいつかのスナップショットであって、
変化する私そのものではない。ゆえ。

デジタルの枠に置かれるのは、"その"デジタルの定義に基づく制度の中に
拘束されることだから、本文にあるように中世的・過去の枠組みに戻らされる
感覚はある意味当然のことかも知れない。

技術が進んで、デジタルへの反映がタイムラグなしかつ100%全体に近づいたら
それは確かに私自身だと許容できるのか。でもそれを
私自身がみるのは(私はわりとメタ認知をする方だと思うけど)きついかな。

-----
プライバシー・パラドックス データ監視社会と「わたし」の再発明
武邑 光裕 著
黒鳥社 2020/11
https://blkswn.tokyo/

参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000052157.html

年末読書記録棚卸の続き、読みかけ本Finish。歳またぎ。

(2021.1.1 読了)


「歳またぎ」が最初の変換で「都市マタギ」と出て、これはこれで(笑)。

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【読書】サービスデザイン本 5冊

2021-01-01 00:24:46 | 読書記録
-----
ビジネスで活かすサービスデザイン 顧客体験を最大化するための実践ガイド
ビー・エヌ・エヌ新社 2016/09
http://www.bnn.co.jp/books/8280/
(2020.8.29読了)

THIS IS SERVICE DESIGN THINKING.
Basics - Tools - Cases 領域横断的アプローチによるビジネスモデルの設計
ビー・エヌ・エヌ新社 2013/07
http://www.bnn.co.jp/books/3929/
(2020.8.30読了)

『デザイニング・フォー・サービス』
“デザイン行為”を再定義する16の課題と未来への提言
サウザンブックス社 2019/05
http://thousandsofbooks.jp/project/designing-for-service/
(2020.9.6読了)

これからのマーケティングに役立つ、サービス・デザイン入門
商品開発・サービスに革新を巻き起こす、顧客目線のビジネス戦略
ビー・エヌ・エヌ新社 2015/10 絶版
(2020.9.12読了)

サービスデザイン  ユーザーエクスペリエンスから事業戦略をデザインする
丸善出版 2014/04
https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/?book_no=294788
(2020.9.13読了)
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8-9月におさらいを兼ねてまとめ読みしたサービスデザイン関連本。
「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING.」「デザイニング・フォー・
サービス」がボリュームあり。いずれも厚さ2.5cm超。
「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING.」はさらっと俯瞰する感じ、
「デザイニング・フォー・サービス」は情報厚く読み物として面白い。
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年末読書記録棚卸。おおつごもりを過ぎ新年時間帯に投稿。


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【読書】土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技

2021-01-01 00:10:26 | 読書記録
木々の根や菌根ネットワーク、
より大きくは水脈。

繋がっているから、どこかを傷つけたら全体が機能しなくなる。
部分や表層だけを保全するだけでは全体を維持できない。

おおきな知を受け取るのと同時に、
行間の、文字に顕れていない、切なるねがいが胸に来る。

もっと多くの人が知るようになるといいな。だから、
ちょこちょこと語りましょう。僅かでも知っていることを。わたしたちも。

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土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技 新刊
高田宏臣 著
建築資料研究社 2020/06
https://www.kskpub.com/book/b509625.html

年末読書記録棚卸。おおつごもりを過ぎ新年時間帯に至って投稿。

(2020.11.29 読了)


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【読書】ブルシット・ジョブ

2021-01-01 00:00:31 | 読書記録
多少のサイズある組織にいて、
"まじめ"な人たちが、役割にはめ込まれて、時間に余裕があると、
どうでもい仕事を創ってしまう、というのを山ほどみてきて、さらに
創られた仕事を後継者はやめられなくて巻き添え食ってうががが…という
経験は少なからずだったから、そういうことを書いてある本かと思った。

ちょっと違った。

そんなちょろいスケールの話じゃなかった。

まじか。

上記のようなのに近い事例もないことはないけれど、
取り上げられる事例は、想像を超えた状況なのである。

わたしたちは思った以上にバカなのか。
組織というものの弊害なのか?
なにがどう組み合わさってこんなクレバスみたいなものが生成されて
そこに嵌った人が壊れていくのだろう。

読了したけど、解放された感じはあんまりないなぁ。

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ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論
クリス・ティマーマンス クリス・ロアーク、ロドリゴ・アブダラ 著
岩波書店 2020/07
https://www.iwanami.co.jp/book/b515760.html

年末読書記録棚卸。おおつごもりに投稿。(あ、零時過ぎた)

(2020.10.18 読了)


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【読書】タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源

2020-12-31 23:49:56 | 読書記録
怪作というか名著というか。

タコの知能について書かれているのだけれど、
当然、言語を操る系ではくて、身体全体で
知覚し表現し反応するその様は興味深いことこの上ない。

著者はあふれる愛をもって彼らを観察し様子を記す。

語らずに存在の様子で微細な感情の変化を示す子供の心を手繰る
カウンセラーのようなのだ。そうしてこのカウンセラーは
子供(実際はタコ)の心を自分の言語に置き換えたりしない。
ただあるままをみてとって、記している。

擬人化の誘惑をうまく避けている。

タコは人ではないから、考えているのか、物理的反応に
過ぎないのかは分からないのだ。

ただ、読めば読むほど、人が「考える」ということの根本は
タコとあまり変わらないのかもしれないと思われてくる。
反応の積み重ねなのだ。不思議なことだ。でも地続きの事象だ。
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タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源
ピーター・ゴドフリー・スミス 著
みすず書房 2018/11
https://www.msz.co.jp/book/detail/08757.html

年末読書記録棚卸。おおつごもりに投稿。

(2020.10.2 読了)


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【読書】三体2 黒暗森林 上・下

2020-12-31 23:48:24 | 読書記録
コロナの在宅勤務で目と頭が疲れて読書が手に着きにくかった中、
この上下だけは一気読みできてしまったのだった。

スケールどんどこ拡大。
時空超えてます。

終盤の破壊力の表現は、発想は、秀逸。

壁面者の行く末もそれぞれ。

ちょっと史書の雰囲気も。

まだ「2」なのだ。
どこまでいくのだろう。

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三体2 黒暗森林
劉慈欣 著
早川書房 2020/06
上 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014550/
下 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014554/

偽りを思考できない彼らと、智子による細部に至る監視。
肌感覚に訴えて来る気がするのは勘繰り過ぎだろうか。

年末読書記録棚卸。おおつごもりに投稿。

(2020.9.20 読了)


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【読書】自動車新常態 CASE/MaaSの新たな覇者

2020-11-24 00:09:23 | 読書記録
コロナの影響を織り込んだ、自動車産業の最新動向と予測。
コロナの衝撃直後の回復(意外と落ちてない)を示しつつも、
中長期的な厳しさをグローバルも俯瞰しつつ提示。

サービスシフトが金融資産の面に表れているのが興味深い。
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自動車新常態 CASE/MaaSの新たな覇者
中西孝樹 著
日経BP日本経済新聞出版本部
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32362

改めて、テスラ、強いですね。
メーカは完全に現行事業やディーラー構成と切り離した出島で
外部化して手掛けないと対抗が大変なのではなかろうか。
でも独立したとたんに、今までの販路が使えなくなる、というか
既存販路を使ったらディーラー再構築の課題に戻ってしまいますね…。

(2020.11.22)


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【読書】最軽量のマネジメント

2020-11-23 23:59:13 | 読書記録
これは、部長職~経営層に読んでほしいなぁ。

透明化とフラット化はいいと思うし、
局所的にはそれで進められるけれど、
いわゆる能力主義というか、
客観的な(という名目の)アウトプットに基づいた評価制度との
(実際のところの)かみ合わなさや当事者不納得の塗り込めなどが
あったりして、1企業全体にわたっては完遂し難いような予感がする。

サイボウズさんは、評価制度コミで実行しているから
ちゃんと回せているということかな。
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最軽量のマネジメント
山田 理 著
サイボウズ
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/books/2019/08/post.html

(2020.11.22)

購入から1年経ってた。


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【読書】合成テクノロジーが世界をつくり変える

2020-09-28 07:51:44 | 読書記録
冒頭のオヒョウを釣り上げる場面からヒトの科学技術ベースの営みが
染みわたっている地球環境に視野をパンと広げさせる。
ミクロとマクロを行ったり来たりは、この本の基調かもしれない。

列挙される合成テクノロジーとして、
ナノ素材、分子製造、DNA編集と人工生物、管理された移転、
都市がもたらす生物の変化、
温暖化対策としての太陽放射管理と二酸化炭素除去、
など。

各々の技術動向と倫理的側面での議論状況。
各分野で著名な書籍の引用に分かるように、
これ1冊読むと、各方面の書籍(門外漢でも読めるくらいの)を
それぞれ一通り読んだくらいの情報が得られる。

一方でポストナチュラルにおける「エコモダン」思考を引いて、
技術を取り込んでいく上での論点を提示している。

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合成テクノロジーが世界をつくり変える 生命・物質・地球の未来と人類の選択
クリストファー・プレストン 著
インターシフト 2020/07

「「自然」という幻想」は私も読んで、管理することへのコミットは
理解できたけれど。
管理するとはすなわち、管理範囲というスコープの中で整合性を保つこと。
とすると「ノヴァセン」で思ったような、整合の限界が推察される。
"管理者"の視界から外れているところもあまさず繋がっているから、
管理の枠外から管理を転覆するような何かの伝播は常に起こりうるのではないか。
自然由来のウィルスが都市に到達したのと少し似ている。

(2020.9.27)

20200928追記
一晩寝て起きて思い浮かんだ。
整合可能な対象を特定してその枠の内側を管理するとき、枠内の代謝で
排出されるものが枠を通じて外とやりとりされる(細胞と同じだ)。
枠内が平衡なうちは生命は続く。代謝が実行可能なのは外側が排出物を
処理可能な環境が必須となる。
ゆえに、枠=都市(人工的環境)とすれば、都市内の代謝による排出物が、
都市外の環境で許容可能(地球由来の循環に吸収可能)な限り、
都市の生命は保たれるはずだから、その量を算定できればその範囲で
人工環境は維持し続けられるかな。外の環境を管理するというのは
無茶な気がするから。算定値の精度は問題だけど。いまのCO2排出削減の
目標値と似た感じか。信憑性議論ありつつも実行のベースにはなりうる
のではないか。

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【読書】プロトタイプシティ 深センと世界的イノベーション

2020-08-23 22:22:34 | 読書記録
深センを中心に置きつつ、
予測不可能ないま、プロトタイピングを漸進的に行うことによってしか
実現しえない「非連続的価値創造」を、
そこに至った背景、それが実現されうるに至った技術進化や情勢、
グローバルトレンドなど多面的アプローチで立体化している。

「非連続的価値創造」でしか成し得ないということ以外、
何かに答えを出しているわけではない。
著者の方々は特定の答えはないことが分かっているのだろう。
ただ、今現在、最適なポジションや成熟と変化のバランスを達成して
いるのが深センということだと思う。

だから、その構成要素や背景は、
深セン(と巨大プラットフォーマたち)をリバースエンジニアリングして
抽出されたとも見える。

第四章の対談(の型式を採った考察)、
「次のプロトタイプシティ」がとても興味深い。

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プロトタイプシティ 深センと世界的イノベーション
高須正和 高口康太 澤田翔 藤岡淳一 伊藤亜聖 山形浩生 著
KADOKAWA 2020/07
https://www.kadokawa.co.jp/product/321810000028/

(2020.8.23)


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