
ネイルアート

の体験入学に行ってきました

約束の時間

の少し前に到着

したので

ドキドキしながら

進まない

デジタル時計

をジッと

見つめ

はやる心を押さえようと

必死でした

その時はついに来ました
約束の時間

です
大きな不安と



ちいさな期待


を胸にゆっくりとスクールに歩き出します
「へえ~っ」

白色を基調とした大きな建物がそびえ立ち

鏡が建ち並ぶ

僕の生活からは縁遠い世界が


心臓をギュッと鷲掴みにします

「すう~っ」
新鮮な空気が肺を満たし

腹の底の何かを引っ掴むと

「はぁ~っ」

足元に食らいついた


心の中の呪縛を解き放ち

力を込めて扉を押し開いた

キョトーンとしている僕に


ズキズキと興味という名前の視線が

突き刺さる


まるで

場違いな物体が舞い降りたかのように…

「あの~う」
鏡の間の通路から

女の声がした
「ネイルアート


の体験を予約した者ですけど…」
僕は

恥ずかしそうに言うと

「少々

御待ち下さい」
スーツに身を包んだ女は奥に消えて

変わりに

男が二人現われた
「ようこそ」
爽やかに

僕に声を掛けると

椅子に腰掛ける様に促す

「ネイルアートの体験は初めてですか

」
アンケート用紙を差し出し

僕は書き込みながら質問に答えた
「他にはどんな所行かれました

」
とか
「どうして体験を受けようと思ったんですか

」
とか
「ネイルアート

に興味あるんですか

」
とか・・・
色々とされた質問に答え

アンケート用紙も隙間無く書き込むと
「それでは

体験の方に移らせていただきます」
席を立ち

別の部屋に移動した
心臓が痛い位

早鐘を打つ
パーテーションを横切り

やはり

白を基調とした部屋に

棚があり


機材と机と椅子が綺麗に並べられ

生徒さんと思われる


女の人が一生懸命

創作活動をしている
「はじめまして」
軟らかい口調と素敵な笑顔をした

女性が現われた

「はじめまして

こんにちは」
僕も挨拶をした
「もう

説明の方は受けられましたか


」
椅子にどうぞと手を差し延べてきた
「はい

」
僕は

椅子に座り返事をする
「他に体験とかは・・・


」
「いえ

初めてです」

「そうですか


」
機材をテーブルの上に置いた
「それでは

手を

」
差し出した手を

軟らかく握ると

慣れた手つきで液体をコットンに湿らせ


爪を綺麗に拭き

ベースのマニキュアを塗り
ペンでポツン・ポツンと爪の上に点を落としてゆく

何が出来るのかなぁ

とジィ~と見ていると

可愛い一輪の花が爪の上に咲くではないか
「へえ~っ」

驚きの声を発すると


先生はマニキュアを取り出して花の上に塗り付けた

キラキラ

と花の周りが光出した
「綺麗ですね」

「そうですね

女の子


はみんなキラキラ

が好きですからね」
僕の問いに先生は答えてくれた
「じゃあ

先生も好きなのですか

」
「はい

大好きですよ」

アートが完成した所にもう一度


マニキュアを塗って

完成である


「上手いですネェ

」
感嘆の声を上げ尊敬のまなざしで先生を見つめると


「そんなこと無いですよ

やっていくうちに慣れますよ」
優しく言うと

スカルプの付いた指の形をした模型を僕にさしだす



「やってみましょうか


」
「はい

」
僕は模型を持ち

恐る恐る


ぺんで

スカルプに点を落とす
先生の書いた

お手本を参考にアートしてみた
花を描き

葉っぱを描き

キラキラ

を付けて

マニキュアを塗って

完成
・・・・・・・・・・


「以外に

いい感じですね」
「ありがとうございます」
先生は褒めてくれたが



かなり

グテン

グテン



です
「どうでしたか


」
「かなり楽しかったし

勉強

になりました

ありがとうございます」

僕は立ち上がり

何度も会釈をした


凄い事に

生徒さんは一度も僕の顔を確認するべく振り向かなかった

かなりの集中力だ
さすが

試験前

熱気がちがう

最後に先程の男の人に声を掛けられ

何か説明を受けたが


何を言われたか

もう


覚えてない



楽しい

時間

を過ごせた事に感謝し

僕はスクールをでた
たまには

違う空気を吸うのもいいもんだ

活力と熱気を分けて貰い

まだまだ

頑張るゾと心に誓った
