三月 一日(金)晴 春鰯少しレモンをかけて食む(春鰯)
三月 二日(土)晴 雛あられ袋開ければこぼれ落つ(雛あられ)
三月 三日(日)曇(雛祭) 蛤のお椀狭しとお吸い物(蛤)
三月 四日(月)曇 菱餅の三色真似てゼリー菓子(菱餅)
三月 五日(火)晴 干し鰈淡白な味もまた旨し(干し鰈)
三月 六日(水)晴 蛍烏賊茹でられ透けて刺身鉢(蛍烏賊)
三月 七日(木)曇 壷焼の蓋の堅さに潮薫る(壷焼)
三月 八日(金)晴 芹を摘む遠きふるさと空かなた(芹)
三月 九日(土)晴 雲丹の乗る回転寿司の皿二枚(雲丹)
三月 十日(日)晴 ひじき煮て母に味より薄味に(ひじき)
三月一一日(月)晴 甘海苔をサラダの乗せて朝餉時(海苔)
三月一二日(火)晴 若鮎を焼く炉辺より威勢よく(若鮎)
三月一三日(水)晴 山椒の芽かかさぬ七味唐辛子(山椒の芽)
三月一四日(木)曇 たらの芽の棘の苦味を風味とす(たらの芽)
三月一五日(金)晴 つくしんぼ食べても柔く節伸びる(つくしんぼ)
三月一六日(土)晴 木の芽和烏賊に混ぜては旨みます(木の芽和)
三月一七日(日)晴 桜蝦干しても淡くピンク色(桜蝦)
三月一八日(月)曇 夕餉まで海雲で一杯夫の席(海雲もずく)
三月一九日(火)晴 濁酒のお猪口ちいさく茶碗酒(濁酒)
三月二十日(水)曇(春分の日) 粒餡をたっぷり塗れば彼岸餅(彼岸餅)
三月二一日(木)晴 伊予柑を剥く間も惜しく夫忙し(伊予柑)
三月二二日(金)曇 草餅の団子を買えば曇り空(草餅)
三月二三日(土)晴 公魚をからりと揚げて塩で食む(公魚)
三月二四日(日)晴 しらうおの黒き瞳の泳ぐ鉢(しらうお)
三月二五日(月)曇 桃花の茶中国からの茶に浮かぶ(桃の花)
三月二六日(火)晴 夕暮れて鶯餅のティータイム(鶯餅)
三月二七日(水)雨 キッチンに春菜を刻む音かろし(春菜)
三月二八日(木)晴/曇 蕗を煮てカフェのマスター夕仕度(蕗)
三月二九日(金)曇 雨過ぎて桜の乗ったパンケーキ(桜)
三月三十日(土)曇 花見酒散り初む芝へ腰おろす(花見酒)
三月三一日(月)晴(目黒川吟行会) 桜餅出店に売られ花祭り(桜餅)
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