昭和17年(1942)、松尾芭蕉の生誕三百年を記念して、上野公園に建立された八角形で二層屋根のお堂、俳聖殿です。曲線が美しい屋根やひさしは、ヒノキの樹皮を用いて施工される伝統手法の「檜皮葺」です。八角形平面の1層に円形平面の2層を載せた八角重層塔のような建築で、高さ17・57㍍の木造の和風建築です。設計は築地本願寺などを設計した伊東忠太博士で、上の丸い屋根は旅笠、木額「俳聖殿」が顔、下の八角形の庇は簑と衣装、それを支える柱は翁の杖として、芭蕉翁の旅姿をイメージさせる独特の形となっています。堂内には彫刻家長谷川栄作氏制作による芭蕉翁瞑想像の原型を、川崎氏が焼成した伊賀焼の芭蕉翁坐像を安置しています。この芭蕉翁坐像は、毎年10月12日の芭蕉翁の命日に行われる「芭蕉祭」の時に公開されます。 旅の詩人芭蕉の姿と建築を一つのものとして表現した、日本でも類例のない建物として、平成22年(2010)に国重要文化財(建造物)の指定を受けています。
30秒の心象風景29845・公園の奥に~俳聖殿~
https://youtu.be/7u2SzbVubHY