私の大好きな昭和ヒトケタといえば
市川雷蔵ですが。(笑)
今日はそっちではなくて
近代建築のお話です。
興味がある方はお付き合い下さいませ。
行ってまいりました。
市政会館見学会
市政会館って何処?
ですよねー。
私も最近その存在に気付きました。
市政会館は
日比谷公会堂と一つの建物として
日比谷公園の中に建っています。
日比谷公会堂は何となく?
ご存知の方も多いかと。
LIVEや音楽会、講演会などが催される多目的ホール。
その日比谷公会堂と中で繋がらないながらも
ひとつの棟になっています。
市政会館、日比谷公会堂とも歴史は古く
竣工は昭和4年。
設計者は佐藤功一氏
他には
早稲田大隈講堂や津田塾大学などを設計されているとのこと。
早稲田大学に建築科を作った方として
有名なようです。
関東大震災もあって
ぐちゃぐちゃな東京を帝都として復興させるべく尽力したのが後藤新平氏。
その後藤新平氏が市政会館の創立者です。
帝都復興院の総裁として
大幅な予算の削減と戦い、
職を追われながらも
最後には後藤新平氏の案が帝都復興事業として実施された結果、
幹線道路・生活道路、公園が各所に配置され、上下水道も整備され、健康的な市街地が形になったようで、
例を挙げれば、それまでなかった昭和通り、靖国通り、晴海通り、八重洲通り、清澄公園、旧芝離宮恩賜公園などがこの時に作られたとのこと。
あの鉄筋コンクリートの集合住宅「同潤会アパート」もこの時に建設された復興住宅なんですよね。
今日が市政会館の93回目のお誕生日とのこと、
おめでとうございますー。
というわけで
お祝いを言いながら
市政会館の内部を見学させて頂きます。
無料にもかかわらず
大変丁寧にご説明、ご案内して頂きました。
最初にスライドを見ながら
背景や建物の概要、歴史をざっくり
ご説明頂いてから出発。
こちらの建物ですが、内部をリノベーションされて普通のオフィスビルとしてお使いです。
その賃料を建物の維持費としてお使いとのこと。
つまり、内部はある程度快適に使用できるよう
だいぶ改修されているということが拝見してよくわかりました。
実はそれって
建物好きとしては結構辛い。
建具や照明、天井や壁などの意匠で原型を留めている部分がかなり少ないわけでちょっと寂しいのです。
しかし、こればかりは致し方ない。
まるっと建て替えられるよりは何百倍も素晴らしいことです。
少しでもエッセンスが残っている部分を探してみました。
しょっぱなから地味ですが。(笑)
これは部屋の片隅に追いやられていた
作り付けの洋服掛けと鏡ですね。
昭和の近代建築を見て歩くと
こういう洒落っ気といいますか、細かい工夫?
収納などの心配りが見て取れる部分が多くて
本当に感心するんですよねー。
建物に余裕、遊び心があるところが大好き。
これは親時計とのこと。
この時間を基準に館内の時計を合わせていたらしいです。
双子みたいで可愛い。
かなり暗いのですが
当時の建具と思われるドアを撮ってみました。
昭和のドラマに出てきそうですね。
重厚感たっぷり。
普段は上がれない時計台のある屋上です。
時計の大きさはバックトゥザフューチャーぐらい。(笑)
針はこちら
時計台の中にも特別に入れて頂きました。
見事なスクラッチタイル。
レンガじゃないのよー。
手すりがLOVEじゃない!
完成時は金属製の素敵な手すりやシャンデリアエレベーターも手動式のイカす逸品が各所についていたそうですが、戦争の時に鉄物はほとんどを供出したそうで。(涙)
戦争嫌い。
ほとんどの窓枠はアルミサッシになっている模様ですが、当時らしきものを発見。
ノブのカーブが愛おしい。
未だ現役の消火栓
防火扉のような重そうな扉。
これは開館当初のものかどうか…?ならしい。
佐藤功一氏が拘った水色タイル。
モダンだったのかな?
郵便ボックス。
ダストシュートみたいに各階についており
最近まで使用していたようですが、郵便物が大きくなって詰まる事故が多発したためやむなくリタイアされた模様です。
可愛いけどねぇー残念。
地下の旧講堂のレリーフの名残り。
天井が高く、大きな講堂があったようですが、
既に改築済み。
二重天井に隠れるように
リスとおうむのレリーフは眠ってます。
天井を開けて覗かせて頂きました。
裏口の階段。
ちょっと映画の撮影とかに使えそうですね。
素敵な空間です。
見学としては以上になりますが
この後、併設の図書館で
復興時の貴重な区画整理の資料や
建設時の設計図、
コンペの際の応募作品の数々など
古い貴重な資料をたくさん見せて頂きました。
私が特に惹かれたのは
建築の東京という写真集で
今は現存しない建物の写真がこれでもか状態でたくさん載っています。
結構その類の本は見ているんですが、
あんなにいろいろ載っている本は初見で
居残りさせて頂いてガン見しちゃいました。
江戸川台アパートメントのおそらく入居前の写真なんて本当に垂涎です。
結局見きれなかったのでもっと勉強してから
再チャレンジしよ。
そんなわけで満喫いたしました。
参加者のほとんどがビジネスマンの方で
買い物行くみたいにぷらっと行ってしまったので浮きまくりで大変恥ずかしかったのですが
楽しかったから良しとしよう!
お世話になりました。
見学会は通常年1回、
但し人数が集まれば個別に案内して頂くことも可能のようです。
興味がおありの方は
詳しくはHPからご確認下さいませー。
おまけ
そういえば日比谷は地盤が緩くて
建設時2000本以上の杭を深く打ち込んでいるそうで、2011年の震災でもほとんど問題なかったとのこと。
周りは地盤沈下して入り口の階段が竣工時は4段で今は8段って凄いですよね。
それだけ建物は強固に建てているってことよね。
ちょっと今話題の建設業社さんにこの心意気を見習って欲しいものですー。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます