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猛暑だったとある晩。
息も絶え絶えに家にたどり着き
冷蔵庫から缶ビールを。
こんなに暑くちゃ
ビール飲んで息つかないと夕飯なんて作れないよー。
窓を開け放ち
時計代わりにテレビをつけぽちぽち。
どこを押しても何笑ってるんだか全く興味湧かない地上波バラエティー番組に辟易。
「BSは何かやってないかなぁー」
ぽちぽちやっていると
こんな番組に巡り会えました。
お前なしでは生きていけない。
ー猫を愛した芸術家の物語ー
第三夜
愛猫だけが見ていた人気脚本家の涙
番組紹介はこちら
BSプレミアム
あの向田邦子の半生を
愛猫の視点でドラマ化。
何処か詩的なドラマ部分と取材によるドキュメンタリー部分を混在させた作りになっています。
父に生前
「あの曲が聴きたい。NHKのドラマでかかっていた行進曲みたいな…」
と言われ、一発で
阿修羅のごとくの「ジェッデイン・デデン」を言い当て、CDをプレゼント出来たのはいい思い出。
あの曲を聴くと父を思い出します。
この日も阿修羅のごとくの名場面が流れ
音楽が流れ。
父の話をする娘たち。
「まさかあのお父さんに女の人がいるわけないじゃない~」
そういえば父は何故あのドラマが好きだったんだろう…。
え?まさかぁー
とビール飲みつつひとり疑心暗鬼。(笑)
お父様が突然倒れたと聞き、向田さんが慌てて駆けつけると
「ウイスキー飲んでプロレス観て具合悪いって言って、お医者様呼んでるうちに息を引き取っちゃって…」
看取ったお母様と妹さんから聞くシーン。
呆然とする向田さんの股下からストッキングがぶらぶらぶら下がっています。
「あらやだ、私ストッキング2枚履いてる」
それを聞いた途端、
白い布を掛けたお父様の前で三人の女はゲラゲラと笑い転げます。
悲しくてもお腹はすくし、
面白いことは笑えるのだと
向田邦子作品をみるたびにその描写が胸に響きます。
私も父を見送った晩、余りに突然で他愛もないことで姉と母と笑ったっけ。
映像を観ながら思い出し、泣き笑いしてしまいました。
人生泣き笑いですね。
向田邦子先生が和田勉さんと次回作品について語り合うシーン。
「私はSEXが書きたいのよ」
「家族が集まるお茶の間でSEXはどうでしょうーちょっと難しいんじゃ…」
「何も場面そのものを書くって言ってるわけじゃないわよ、例えば一つのコップで男と女が水を飲む…それだって立派なSEXだと思わない?」
いやぁー。
改めて私が向田さんの本が無性に好きな理由を確認出来ました。
そうなの。
ひとつの視線
ひとつの台詞
ひとつの息遣い
別に生々しい現場なんかなくたって
恐ろしく色っぽいSEXを表現することは可能なのだと彼女の書くものは教えてくれます。
向田先生の本を読むと
性とか
命とか
業とか
何気ないシチュエーション
何気ない台詞から
そういう生々しいものをひしひしと感じるんですよね。
ずるくてもダメダメでも愛すべきキャラがそこにいて色気を放っている姿は秀逸。
愛すべきキャラに振り回され、愛すべきキャラになっていく登場人物が秀逸。
そこがやはり素晴らしいと改めて思い、
また読み返したいなぁと思うのでした。
で、肝心の猫ね。(笑)
向田邦子先生の愛猫「マミオ」はタイのバンコクで先生が一目惚れし、連れ帰ったというたいそうな猫で。
最高に色っぽく、下手な男など足元にも及ばない最高の男だったらしいです。
向田邦子著
眠る盃 マハシャイ・マミオ殿 より抜粋
癇癪持ち
不器用
健忘症
家族自慢
酒好き
古風
風呂嫌い
嘘つき
多不定愁訴
地味
方向音痴
一人嫌い
犬派
気分屋
あなたはまことに男のなかの男であります。
私はそこに惚れたのです。
彼女が愛猫を見つめる姿はまるで恋人を愛でるよう。
いい恋をしていたのでしょう。
とても素敵です。
そんなことで久々に向田邦子さんについていろいろ検索をかけていたら、
彼女が水羊羹評論家で(笑)
水羊羹には
ミリーヴァーノンのSpring is hereが
よく似合うとエッセイ『眠る盃』の中で語っているとのこと。
マミオもミリーヴァーノンも全く記憶にない。
眠る盃を読んだ頃はわからなかったんだろうな…いろいろ。(笑)
ミリーヴァーノンのSpring is here
これがまたいい曲で。
歌詞もまた秀逸。
水羊羹にこれが似合うというところが向田邦子が向田邦子たる所以でしょうか。
熱帯夜ながらいい夜でした。
ミリーヴァーノン
Spring is hereはこちら。
Milli Vernon - Spring Is Here (1956)
向田邦子さん、私も最も好きな作家です。
向田さんの作品を読んでいると「それで良いのよね」と
なんとなくダメな自分でも良いんじゃないかと思えるんですよ。
しかし、水羊羹にあう音楽を選ぶあたり、なんというか、
洒落てるというか。
多分洒落てるつもりなんかなくて、水羊羹がこの上なく好きで、
で、好物を食べるシュチィエーションに拘ったのかなー。
あーなんて素敵なひとなのだ。
台湾もとってもお好きだったみたいですね。
私、何をかいてるのだか、、、、
向田邦子さんと言うだけで、ちょっとお邪魔したくなりました。
失礼いたしました
向田邦子いいですよね。
私は向田邦子を尊敬している爆笑問題の太田光も大好き。彼の向田邦子を熱く語る姿をみているととっても共感出来ます。
彼の物事の捉え方も向田邦子に何処となく影響を受けている気さえするんですよね。(笑)
このトピは向田邦子LOVEがテーマですから、大歓迎です。
うんうん。
ダメな自分でもいっかと思わせてくれる、くれる。
夏休みはダラダラゴロゴロしながら実家の縁側で蚊取り線香の煙の中、眠る盃を読み返してみようかと思っています。