いよいよ序曲、映画まで追いつきました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_en1.gif)
そして、最終話です。
ここからは映画とrinkして話が進みます。
是非、『名場面』を思い出しながらお楽しみください。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/dogeza.gif)
「甘い人生」にまた、違った印象を持っていただけるかも。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_nika.gif)
一粒で二度美味しく
味わっていただけるといいのですが。
しっかし、難しかったぁ~![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock2.gif)
では、どうぞ。
「a bittersweet life」 序曲 最終話
あれから7年。
裏社会においてもソヌの能力は高く評価され多くの先輩を敵に回しながらボスであるカンの信頼を得るところとなり、
今はホテルの総マネージャーを任されるまでになっていた。
(何も変わらない・・・)
ある晩、夜の窓に映る自分の顔を覗き込みながらソヌは数年前にも同じことを考えていたことをふと思い出していた。
今もあの時のように表面的には満たされているかに見える。金・地位・信頼・女・・。
しかし、彼は満たされているという想いとはうらはらにどこかで何かが足りないと感じていた。
何が足りないのか。今でもやはり彼にはわからない。
ただ、日々完璧な仕事をし無駄のない日常を送る。
やはり彼の頭で描いた生活がそこにはあった。
しかし・・・・・。彼の心は何かを求めていた。
(いや、これでいいんだ。)
思い通りの人生じゃないか。
彼は自分の姿をガラス窓に映し見えない敵を相手に拳を振るった。
そして、彼は自分の選んだ人生に酔いしれた。
酔いしれることで何かが足りないことを忘れようとでもするかのように。
数日後、思わぬことから彼は自分が無意識に求めていたものがなんであるかに気づくこととなる。自分の命と引き換えにして。
ホテルの化粧室。
ソヌは自分の身体から赤い血が流れ続けるのを不思議な気持ちで眺めていた。
どうしてこんなことになったのだろうか・・・。
「揺れたのか」カン社長の言葉が胸に響いた。
俺があのヒスという女に心が揺れたというのか。
ソヌにはわからなかった。確かに彼女を見ているとき今までに味わったことのない感覚に襲われたことは事実だった。
馬鹿げている・・・あの女のことが理由なのか。
ソヌは大量の出血によって意識が遠のきそうになる中でなぜか父を思い出していた。
母を愛する故に俺を執拗に恨んで死んでいった父。父の顔にカン社長の顔がダブった。そして殴られ蹴られながら見つめていたヴァイオリンとヒスのチェロがダブって見える。
ソヌは頭を振り、意識を呼び覚ました。
「大丈夫、心配ない。」
ソヌは決意した。
ソヌはカンの目の前に銃口を突きつけた。
「何故僕にあんな酷いことをしたんですか。答えて。なぜこうなったのか。俺を本当に殺すつもりだったのか。7年間あんたの下で犬のようにただ働いてきたのに!答えろ!何とか言ってみろっ!」
カンにそう問いかけながらソヌは同じ質問をもうひとりの男に投げかけていた。
(何故、俺をそんなに憎むのか。)
(まさかあんたまで女のせいだとでも言うのか。)そんな想いがソヌの頭を過ぎる。
カンは答えられなかった。
自分に問いかけるソヌの必死な顔を見つめながらカンは思い出していた。
昔、自分が執拗に追い掛け回していた少年のことを。
そしてもしかしたら彼が自分の息子かも知れないということを。
カンは20年ほど前、麻薬の密売に手を染め、高純度の麻薬を隠し持って逃げていたソヌの父を追いかけていた。
彼が死んだのち、麻薬が隠されていた彼の妻の遺品のヴァイオリンを手にしたときカンは驚きを隠せなかった。それは、15年前に自分が愛した女のものだった。
美しく、無邪気な女だった。あの時子供を授かっていれば。。。
ソヌの父親がそれを知っていたかどうかはわからない。
ソヌがあの少年だと気づいたのはずいぶん経ってからだった。
偶然の巡り合わせだった。
ソヌの問いかけに答える言葉が彼には見つからなかった。
カン本人にもわからなかったから。
何故こんなにも何に執着したのか。ソヌの裏切りに、ヒスに、それともソヌの母に、それともソヌの父への嫉妬からなのか。
(俺は本当にこいつを殺すつもりだったのか。
こいつは俺があの時の男だと気づいているのだろうか。)
カンは目を見開き少年を見据えた。
そして言った。「一体どうして気持ちが揺れたんだ。惚れたのか。」
誰が何に揺れたのか。カンはソヌに言葉を投げかけながら自分の心を見つめていた。
そして、カンの言葉を聞きソヌは悟った。
「この男も父と変わらない。馬鹿げている。そして揺れた自分もまた父と変わらないのか。」
そして彼は迷うことなく引き金を引いた。
「もう戻れない。」
ソヌは薄れ行く意識の中で見たことも抱かれた記憶もない母をそしてヒスを想った。
あれほど恐れていたのに・・・ソヌは可笑しかった。
あれほど女への愛で身を滅ぼした父を軽蔑し、愛も心もいらないと思っていたのに
まさか、自分が女に気持ちが揺れたという理由で破滅しようとは思いもよらなかった。
そしてやはり、自分にはあの父と同じ血が流れているのだと悟った。
そして、カンも同じ。
ヒスに対する気持ちが愛というものであるのかどうか・・・死を目前にしてもソヌにははっきりとした確信はない。
しかし、彼女に特別な何かを感じていたことは事実だった。そしてそれは抱かれた記憶さえない母にも共通する何か。
それが愛だというのならば、ソヌは命と引き換えに愛を知ったといえるだろう。
あれほどいらないと思っていた愛を手に入れた・・・・。そして彼は自分の心が初めて満たされたことに気がついていた。
電話の向こうから聞こえるヒスの声。
空から落ちてくる木の葉を見つめながらソヌは一言つぶやいた。
「むごすぎる」やっと手に入れたのに・・・ソヌはヒスの奏でたあの曲を思い出し、一度も聞くことのなかった母のヴァイオリンに想いを馳せた。
ソヌは生まれて初めて自分の魂が温かいものに包まれている感覚に浸っていた。
だが、そのささやかな幸せは一発の銃声によって終わりを告げた。
そして、彼の意識は永遠の闇のかなたに遠のいていった。
FIN
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_en1.gif)
そして、最終話です。
ここからは映画とrinkして話が進みます。
是非、『名場面』を思い出しながらお楽しみください。
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「甘い人生」にまた、違った印象を持っていただけるかも。
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一粒で二度美味しく
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_cock.gif)
しっかし、難しかったぁ~
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では、どうぞ。
「a bittersweet life」 序曲 最終話
あれから7年。
裏社会においてもソヌの能力は高く評価され多くの先輩を敵に回しながらボスであるカンの信頼を得るところとなり、
今はホテルの総マネージャーを任されるまでになっていた。
(何も変わらない・・・)
ある晩、夜の窓に映る自分の顔を覗き込みながらソヌは数年前にも同じことを考えていたことをふと思い出していた。
今もあの時のように表面的には満たされているかに見える。金・地位・信頼・女・・。
しかし、彼は満たされているという想いとはうらはらにどこかで何かが足りないと感じていた。
何が足りないのか。今でもやはり彼にはわからない。
ただ、日々完璧な仕事をし無駄のない日常を送る。
やはり彼の頭で描いた生活がそこにはあった。
しかし・・・・・。彼の心は何かを求めていた。
(いや、これでいいんだ。)
思い通りの人生じゃないか。
彼は自分の姿をガラス窓に映し見えない敵を相手に拳を振るった。
そして、彼は自分の選んだ人生に酔いしれた。
酔いしれることで何かが足りないことを忘れようとでもするかのように。
数日後、思わぬことから彼は自分が無意識に求めていたものがなんであるかに気づくこととなる。自分の命と引き換えにして。
ホテルの化粧室。
ソヌは自分の身体から赤い血が流れ続けるのを不思議な気持ちで眺めていた。
どうしてこんなことになったのだろうか・・・。
「揺れたのか」カン社長の言葉が胸に響いた。
俺があのヒスという女に心が揺れたというのか。
ソヌにはわからなかった。確かに彼女を見ているとき今までに味わったことのない感覚に襲われたことは事実だった。
馬鹿げている・・・あの女のことが理由なのか。
ソヌは大量の出血によって意識が遠のきそうになる中でなぜか父を思い出していた。
母を愛する故に俺を執拗に恨んで死んでいった父。父の顔にカン社長の顔がダブった。そして殴られ蹴られながら見つめていたヴァイオリンとヒスのチェロがダブって見える。
ソヌは頭を振り、意識を呼び覚ました。
「大丈夫、心配ない。」
ソヌは決意した。
ソヌはカンの目の前に銃口を突きつけた。
「何故僕にあんな酷いことをしたんですか。答えて。なぜこうなったのか。俺を本当に殺すつもりだったのか。7年間あんたの下で犬のようにただ働いてきたのに!答えろ!何とか言ってみろっ!」
カンにそう問いかけながらソヌは同じ質問をもうひとりの男に投げかけていた。
(何故、俺をそんなに憎むのか。)
(まさかあんたまで女のせいだとでも言うのか。)そんな想いがソヌの頭を過ぎる。
カンは答えられなかった。
自分に問いかけるソヌの必死な顔を見つめながらカンは思い出していた。
昔、自分が執拗に追い掛け回していた少年のことを。
そしてもしかしたら彼が自分の息子かも知れないということを。
カンは20年ほど前、麻薬の密売に手を染め、高純度の麻薬を隠し持って逃げていたソヌの父を追いかけていた。
彼が死んだのち、麻薬が隠されていた彼の妻の遺品のヴァイオリンを手にしたときカンは驚きを隠せなかった。それは、15年前に自分が愛した女のものだった。
美しく、無邪気な女だった。あの時子供を授かっていれば。。。
ソヌの父親がそれを知っていたかどうかはわからない。
ソヌがあの少年だと気づいたのはずいぶん経ってからだった。
偶然の巡り合わせだった。
ソヌの問いかけに答える言葉が彼には見つからなかった。
カン本人にもわからなかったから。
何故こんなにも何に執着したのか。ソヌの裏切りに、ヒスに、それともソヌの母に、それともソヌの父への嫉妬からなのか。
(俺は本当にこいつを殺すつもりだったのか。
こいつは俺があの時の男だと気づいているのだろうか。)
カンは目を見開き少年を見据えた。
そして言った。「一体どうして気持ちが揺れたんだ。惚れたのか。」
誰が何に揺れたのか。カンはソヌに言葉を投げかけながら自分の心を見つめていた。
そして、カンの言葉を聞きソヌは悟った。
「この男も父と変わらない。馬鹿げている。そして揺れた自分もまた父と変わらないのか。」
そして彼は迷うことなく引き金を引いた。
「もう戻れない。」
ソヌは薄れ行く意識の中で見たことも抱かれた記憶もない母をそしてヒスを想った。
あれほど恐れていたのに・・・ソヌは可笑しかった。
あれほど女への愛で身を滅ぼした父を軽蔑し、愛も心もいらないと思っていたのに
まさか、自分が女に気持ちが揺れたという理由で破滅しようとは思いもよらなかった。
そしてやはり、自分にはあの父と同じ血が流れているのだと悟った。
そして、カンも同じ。
ヒスに対する気持ちが愛というものであるのかどうか・・・死を目前にしてもソヌにははっきりとした確信はない。
しかし、彼女に特別な何かを感じていたことは事実だった。そしてそれは抱かれた記憶さえない母にも共通する何か。
それが愛だというのならば、ソヌは命と引き換えに愛を知ったといえるだろう。
あれほどいらないと思っていた愛を手に入れた・・・・。そして彼は自分の心が初めて満たされたことに気がついていた。
電話の向こうから聞こえるヒスの声。
空から落ちてくる木の葉を見つめながらソヌは一言つぶやいた。
「むごすぎる」やっと手に入れたのに・・・ソヌはヒスの奏でたあの曲を思い出し、一度も聞くことのなかった母のヴァイオリンに想いを馳せた。
ソヌは生まれて初めて自分の魂が温かいものに包まれている感覚に浸っていた。
だが、そのささやかな幸せは一発の銃声によって終わりを告げた。
そして、彼の意識は永遠の闇のかなたに遠のいていった。
FIN
す、す、すごいです
完璧じゃないですか・・・
私の頭の中で「Romance」が何度もかかりましたよ
ソヌの体の「血」に、深い意味を持たせることで、ラストシーンの解釈がさらに味わい深く面白いものになりました
ソヌが命と引き換えに手にしたもの・・・
それは、愛だったのかしら・・・
愛と呼ぶにはあまりにも儚い一瞬の閃光のようだったね。
でも、満たされたのなら、それでいいわ。
ソヌのために流した涙は、もう、どのくらなのか?
分からなくなりました。
完璧でした。
哀しいエンディングは変わらないけれど、ソヌが自分の死の意味を理解して逝くのならば、それでいいよね・・・
UP有難うございました。
ソヌに逢わせてくれて有難う。
それから、他の創作も楽しませて頂いております。
あっ、もしもお時間ありましたら、私の部屋へもいらして下さい。
何もないビョンホンシへの愛だけの部屋ですが・・・ビョンホンシがヴァンパイアになっております。
では、また。
新しい創作心待ちにしておりますわ。
行って参りましたわ。
もう、激笑いで、お腹痛~い!
ツボってしまいました。
笑いを有難う!
書き込む場所、間違えました。
ミアネヨォ~。
完璧なんてそんな。
恥ずかしいわ。
でも、こんな過去だとしたらやっぱりああいう眼差しよね~
自分なりに納得した仕上がりになりました。
『甘い人生』が好きだからこそ
映画ありき名シーンありきで書いたつもりなんですけど・・。
特に最後カン社長に詰め寄るシーンとガラスに映るソヌの顔が忘れられなくってねぇ~
やっぱり『甘い人生』は名作だわ~
ソヌ中のうさるなさんに喜んでいただけて良かったわ。
>哀しいエンディングは変わらないけれど、ソヌが自分の死の意味を理解して逝くのならば、それでいいよね・・・
ほんにほんに。。
わからないまんま逝っちゃうのと満たされて逝くのではやっぱちょっと違いますよね。
映画のソヌが果たして「満たされて逝った」かどうかはわからないけど、せめて私の妄想の中では「満たして」送ってあげたかったのです。
許されるかしら。
もちろん。実は数日前からうさるなさんのヴァンパイア伝説読ませていただいてました。
全部読んでからと思っていてごめんなさいです。ロム専で。
いやぁ~
面白い。すっごく面白い。
こちらこそ脱帽ですよ。
「牛」良かったでしょ~。
すっごく謎めいた方ですよね。
興味津々。
haruさん
「a bittersweet life」 序曲 最終話
読ませて頂くうちに・・・
昨年の4月に行った劇場に
もう1度ワープしてしまいました。
私の頭のなかで柳の枝が揺れまくり
素晴らしい序曲 最終話です。
カン社長の・・・
>そしてもしかしたら彼が自分の息子かも知れないということを。
・・・あたりからぐいぐい引き込まれていきました。
私の大好きなストイックな彼にまた逢わせてくれてありがとう
またまた「牛・・・」さんに感謝です
ソヌの過去見たさに書き進めたものの、
読み返すと映画で観た感覚と書いた話の展開から感じるものにちょっと温度差を感じてしまって、きっとご満足いただけなかった方もいらっしゃるだろうな・・などと思っていますが。
皆さん、思いいれ強いですから。
しかしながら、そう言っていただくと素直に嬉しいです。
新作も「甘い人生」のように味のある映画だと良いですよね~。
あ、うさるなさんち紹介しようと思ってたのに
haruさん、良かったよ~~
映画だけでは理解出来ない部分が、納得です。
ワタシ、ソヌはファザコンだと思ってるんです。
だから、そんなカンからあんな仕打ち・・・だから
余計に許せないのかと。
それから、ヒスに興味を持ったのは、カンが惚れた
女だと言うことからだと解釈してるんです(笑)
でも、初めはそうだったけど、そのうち、ソヌも
揺れたのかもしれない。
あ、何、映画の感想を書いてるんだろう、ワタシ
とにかく、ジウン監督の書いたノベライズより面白
くて、メッセージ性があって、そう、完璧でした
ジウン監督の書いたノベライズより面白いなんて・・・お恐れ多いです。
私、読んでないですね。
また、ノベライズリストに登録だわ。
>ワタシ、ソヌはファザコンだと思ってるんです。
・・・でも、初めはそうだったけど、そのうち、ソヌも揺れたのかもしれない。・・
フムフム。
それも、あるある。
私もこの創作を書く前と後では微妙にソヌの気持ちの解釈がズレています。
ある意味、正解はないのかもしれない・・・。
もう、ジウンったらっ!
そういう遊びを残しているところがいいわぁ~~
そういう広がりのあるところもやっぱ名作ですね。
あっ、そうそう。美秋ちゃんの留守を狙ってビョンホンssi盗んできてます。(笑)