演出家 源孝志さんの作品が好きだ。
「京都人の密かな愉しみ」シリーズ
「スローな武士にしてくれ」
「令和元年版 怪談牡丹燈篭」
「ライジング若冲」
「中村仲蔵 出世階段」など
どれも外れなく楽しませてもらっている。
美しくて
儚くて
上品で
色気もあって
クスッと笑えるユーモアもあって
登場人物たちへの愛が溢れていて
観ていてとても幸せな気分に浸ることができる。
現在、NHKBS2で放映中なのがこちら。
本当に期待を裏切らない。
今回、演出は別な方なのだが
原作と脚本が源さんなので
相変わらず
美しくて
儚くて
上品で
色気があって
クスッと笑えるユーモアがあって
登場人物たちへの愛が溢れていて。
いや、ヒトだけではない。
京都や映画や歌舞伎や浮世絵や。
話の軸になるものに対する愛情も
深く深く。
今回の場合はクルマ。
ホンダS800という名車。
とにかくクルマそのものがため息が出るほど美しい。
眺めているだけで幸せ。
クルマ好きの家人も絶賛。(笑)
その上、
赤いスポーツカーに乗り、長い髪を翻して颯爽と運転する尾野真千子女史も
哀しみに満ちた山羊さんのような滝藤賢一氏も
彼らを包み込む日本の風景もこれまた妙に美しいのだ。眼福眼福。
そして
ただ美しいだけではなく。
40を過ぎて初心者マークをつけマニュアルの左ハンドルスポーツカーを必死で運転する彼の姿が人間味溢れ
微笑ましかったり。
彼を心配する同僚やグレースの履歴を通じて巡り合う人々との交流、はたまた失った家族との思い出がカラッとサラッと温かい目線で描かれているのが妙に心地よいのだ。(ジメジメじゃないところがよい)
そうそう。
本日のお題。
「感情の量が多い」
希久夫(滝藤賢一氏)の父と美奈子(尾野真千子女史)が生前希久夫について2人で語り合うシーンで、
父が「希久夫は人一倍感情の量が多いから…」と表現。
これが妙に気になってしまったのだ。
繊細でもなく
起伏が激しいでもなく。
「量が多い」とは。
不思議な表現な気がした。
情に厚いとか情が深いとか。
そんな感覚に近いのか。
山羊さんとのあだ名がつくほど
穏やかで物静かな草食系の希久夫だが
物語が進むにつれ
「感情の量が多い」がしっくりくる。
彼が長年、気づくともなく秘めていた
大量の感情が
グレースと共に旅をする過程で解放されていくというか
溢れ出してくるというか。
湧いてくる感じ?
そんな希久夫がよほど心配だったんだろう。
グレースの履歴を通して見える
美奈子の彼への愛情がなんとも味わい深いのだ。
そんなところも面白く拝見している。
まだ物語は続いているので
この先も楽しみにしたい。
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