わくわく!バンジージャンプするっ!

好きなものや気になることについていろいろ語ってみようと思います。

川島雄三推し 再び

2023-05-07 11:21:00 | ご贔屓
図書館に立ち寄ったところ
こんなイケてる展示をやっていて


あれもこれも読みたかったけれど、
久々に
「おっ、川島雄三師匠じゃないですか」
ということでこちらの本をお借りすることに。


川島雄三は二度生まれる

川島雄三は二度生まれる

『幕末太陽傳』『洲崎パラダイス赤信号』『しとやかな獣』をはじめ数多の傑作・奇作・迷作を世に問い、日本映画史に怪光を放つ異才、川島雄三。批評的・分析的な介入を奇妙...

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ずいぶん前になりますが、川島雄三監督を
執拗に追いかけていたことがあり、
別宅でそりゃあそりゃあ熱く語っておりました。


懐かしいー。
久々、当時の熱い想いを懐かしく思い出しながら、楽しく拝読。

川島雄三監督作品をそれぞれの研究者が愛を込めて分析。「川島雄三とは何ぞや」を作品を切り口にして熱く語っております。

文章は学術論文(って言ってもあまり読んだことないですが。)?と思うほど私の緩んだアタマには難解な表現もあったのですが、とにかく
作品の設定、セリフ、展開などなど
全てに関して指摘が細かい!
既に観ていた作品も多かったのですが、
読めば読むほど映画を観たくなる!
確かめたくなる!
初見で思いも寄らなかった映画の見方を
提示され、目から鱗っ!


これを機に、この本を参考書にして再鑑賞することに。
だって気になるんだもの。

愛のお荷物
洲崎パラダイス赤信号
幕末太陽傳
しとやかな獣

このあたりはもちろん再見。
やっぱり名作。
何度観ても好き。
飽きないんだよなー。
そして参考書の内容にふむふむと納得。

そして
今回新たに観たのは

あした来る人
飢えた魂
続・飢えた魂

どちらもドロドロの話なはずなのに
カラッとサラッと。本当に不思議です。

私にとって三橋達也さんは
連想ゲームのおじさんだったんですが
どの作品に出てくる三橋達也も
都会的で色っぽくて魅力的。
川島監督は三橋達也さん
好きだったんだろうなぁー。


本の内容をざっくりご紹介すると

川島雄三監督作品の「風俗性」について
川島雄三監督が思想からの積極的逃避として都市の社会的表層を描くことで故意に思想を描かないことを選んでいるという分析は「風俗映画」と揶揄された時代の評論家たちの視点のズレを指摘していて痛快。

また、文豪作品原作にこだわった映画制作については、川端康成原作「女であること」に言及し、ジェンダーや女性の自立など今の時代に通じる内容をドライに表現
一周回って新しい?

織田作、川端康成、井上靖などなど。
全く異なる作家の原作ものをそれぞれに全く違うテイストでカタチにする川島雄三監督の力量恐るべし。
しかし、昔の文豪作品って
いやらしい…いい意味でね。(笑)

作風が多様すぎて何が作風かわからないほどなのに、川島雄三作品とわかること。
一見王道のメロドラマの中に結構いろいろなものが、そーっと隠されていることに驚き。

スラップスティックコメディ
(ドタバタ喜劇)の代表
「貸間あり」

スクリューボールコメディ(常識外の登場人物、テンポのよい洒落た会話、波乱にとんだ物語展開)の代表
「接吻泥棒」

について詳しく分析。
映像のコマ割、セリフ…
どれだけ映画を愛してるんじゃ。

川島雄三監督とコメディについての考察も
読み応えあり。

あの時代に映画の中に
テレビ、ラジオ、アニメをぶち込んでくる
メディアミックスに対する考え方の斬新さにもびっくり。

左幸子とフランキー堺氏の
抜群の運動感覚に支えられたフレーム割の考察も楽しい。

幕末太陽傳が
貸借対照表のような
約束手形(起請文)や負債(借金)と決済(様々な労働)に基づいているといった見方をすると、時間や未来についてどんな価値観なのかがより見えてくる面白さ。

トイレと風呂のシーンが多いことに関するいろいろな説も、そんな見方あるんだと興味津々。

巻末には山田洋次監督のインタビューも掲載。
川島監督が松竹を去る際の送別会に、あまり気乗りせず参加した山田洋次監督に川島監督がかけたひとことには泣けた。
松竹のスタッフさんみんなに愛されていた様子が伝わってくる素敵なインタビュー。

とにかく、とにかく充実した内容。
まだまだ書ききれず。
情報量が3200円分(笑)
参考文献もものすごい量掲載されており、
川島雄三を知るには欠かせない一冊かと。


松竹、日活、東京.東宝映画、大映など
映画会社を渡り歩いたことで、
短い期間に
色に囚われず、
いろいろなスタッフ、俳優さんに愛されて
たくさんの作品を遺すことが出来たのだとしたら、もう感謝しかない。
魅せてくださってありがとう。

この先、是非観たい作品も増えました。

昨日と明日の間
接吻泥棒
赤坂の姉妹より 夜の肌
特急にっぽん

この4本はぜひ。

一度見たけれど見直したい

貸間あり
雁の寺
女は二度生まれる

川島雄三レトロスペクティブとか
是非やっていただきたいものです。
やっぱり川島雄三監督の生涯は映画になると思うんだよなぁー。


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