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米中の対立が新型コロナで打撃を受けた新興国への金融支援に影。焦点となっているのは世界通貨とも称される国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)。活用すれば感染対策の原資を捻出できるが、米国は中国などを利すると警戒して反対している。SDRはドル、円、ユーロなど5通貨に裏打ちされた「外貨準備資産」で、IMFの決定を経て加盟国に配分される。ドルなど現実の通貨に交換できる実質的な通貨で、外貨が不足した国の資金調達の手段になる。IMF内では金融危機時の2倍の5000億ドル(約55兆円)相当のSDRを配分する案が浮上している。焦るのはSDR活用の旗を振るIMFのゲオルギエバ専務理事。米財務長官が16日に反対を表明したことで一時はトーンダウンしたが、20日のブログで蒸し返した。「非常時には非常時の手段が必要だ」と、多額の借金がある国への追い貸しは最良の策でないと主張。「SDRの利用が助けになるかを探る」と記した。新型コロナの感染拡大で、新興国は当時をしのぐ資金流出に直面している。低所得国が感染症対策に注力できるよう今こそSDRを発行すべきだとグテレス国連事務総長らも訴えている。問題はSDRがIMFへの出資比率に応じて配分される点。「資金の7割はそれが不要な20カ国・地域(G20)に渡り、低所得国が得るのは3%だけだ」とムニューシン氏は述べた。IMFが可能性を探る5000億ドルの3%でも150億ドル相当。予算がそもそも少ない国々にとって小さな額ではない。むしろ米国の念頭にあるのは中国だ。今やIMFへの中国の出資比率は6.41%で、米国の17.45%、日本の6.48%に次ぐ。5000億ドルのSDR配分が成れば300億ドル相当が配分される。これを原資に広域経済圏構想「一帯一路」の国々に医療やインフラを気前よく提供すれば、中国の影響力は強まる。米政府は中国のほかイランが恩恵を受けることも嫌っているとロイター通信は伝えた。核開発に絡んだ金融制裁が綻ぶとの懸念からだ。SDRの配分にはIMF加盟国の85%の賛同が必要で、16%超の議決権を握る米国が反対したままでは実現しない。金融危機時と対照的にSDR配分が難航するのは中国の存在感が当時より格段に増し、トランプ政権が警戒していることの表れだ。(*日経記事より)写真:IMFのSDRをめぐって米中が対立している
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