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政府は東京電力福島第1原子力発電所でたまり続ける処理水の海洋放出について月内にも決定する。漁業関係者を中心に放出による風評被害への懸念はあるが、敷地内にため続ければ今後の廃炉作業に影響が出かねないためだ。政府が正式に決めれば東日本大震災で深刻な事故を引き起こした福島第1原発の廃炉が本格的に進む契機になる。
設備の建設や規制手続きに時間がかかるため、放出は早くても2022年度になる見通しだ。
加藤勝信官房長官は15日、首相官邸で全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と会談し処理水について意見を交わした。全漁連側は海洋放出に反対する意見を伝えた。加藤氏は記者会見で「廃炉作業を遅延させないためにも処理水の取り扱いについて早期に方針を決定する必要がある」と述べた。11年の東日本大震災に伴う津波の影響で福島第1は炉心溶融事故を起こした。現在も壊れた建屋に地下水や雨水が入り込み、高濃度の放射性物質に汚染した水が1日180トン(19年度)発生している。東電は専用装置で主要な放射性物質を取り除いた処理水として敷地内のタンク約1000基に123万トン(9月17日時点)を保管している。
20年中に計137万トン分のタンクを確保するが、東電によると22年10月にも満杯になる。敷地内にタンクが増え続ければ政府・東電が41~51年の完了を目指す廃炉作業に遅れが出かねない。菅義偉首相は9月、処理水について「できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」と発言していた。福島第1が立地する福島県大熊町、双葉町も8月に国に対応策の早急な決定を要望していた。
漁業関係者を中心に風評被害への懸念があるため、政府は福島県産品の販売促進や処理水の安全性の国内外への情報発信を強化するといった風評被害対策を打ち出す。
東電は今後、放出に必要な設備の建設準備に取りかかる。処理水には現在の技術では取り除くのが難しい放射性物質トリチウム(三重水素)が残る。トリチウムを含む水は通常の原発でも発生し、濃度を基準値以下に薄めて海に流すことが国際的に認められている。トリチウム以外の放射性物質を十分取り除いた処理水を、水で500~600倍に薄めて海に流す。放出時のトリチウム濃度は基準値の40分の1程度にとどまる見込みだ。(*日経 記事より)写真:福島第1原発の敷地内に並ぶ処理水を入れたタンク
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