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(写真は世界最大級の望遠鏡「TMT」の完成イメージ=TMT国際天文台提供)日米など5カ国が米ハワイ島で建設を目指している世界最大級の望遠鏡「TMT」をめぐり、文部科学省が2020年度予算で費用の大半の計上を見送った。先住民らの激しい抗議活動により、工事再開のめどが立たないからだ。「TMT計画全体の実現可能な見直しが明らかになるまで、国の支援は厳に慎重に行うべきである」。文科省の作業部会は19年11月、TMTの計画が大きく遅延し、今後の見通しが不透明であるとする厳しい評価報告をまとめた。文科省は20年度予算の概算要求で約31億円としていたTMTの建設費を予算案から除外。プロジェクトを維持するための国際分担金約6億円は計上したが、TMTの予算が実質的に中断される異例の事態となった。建設予定地はハワイ島のマウナケア山頂近く、標高4012メートルの高地。現在運用中のすばる望遠鏡などの性能を大きく上回り、太陽系の外にある「第二の地球」や宇宙に最初に誕生した星などの観測が目標だ。標高が高いマウナケア山頂は空気が薄く、晴天が多いなどの条件に恵まれており、世界で最も天体観測に適した場所の一つとされる。既にすばる望遠鏡やケック望遠鏡など13基の望遠鏡が立ち並び、天文学に多くの発見をもたらしてきた。一方で、先住民らにとってマウナケア山は神殿の遺跡などもある神聖な場所だ。TMTの反対運動はマウナケア山の文化や自然を守るためだけでなく、先住民の地位向上を目指す社会運動の側面も強い。天文台は地域の教育支援や雇用創出などで貢献してきた面もあるが、新たな巨大望遠鏡の建設に理解を得るのは容易でないのが現状だ。(代替地候補はあるものの)ラ・パルマ島の代替地はマウナケア山より標高が約2千メートル低いため大気が濃くなり、気象条件でも劣るという。高精度の観測が難しくなれば、巨額の建設費に見合った成果が得られるのかという問題がある。日本にとってはマウナケア山にあるすばる望遠鏡とTMTの連携が限定的になるのもデメリットだ。日本は12年度から19年度までTMTの鏡の製造などに計約158億円を投じてきた。国の科学技術予算が限られる中での巨額投資を有効に生かすことが求められる。TMTの完成が遅れ続ければ、国内外の天文学研究に与える影響も大きい。(*日経 記事より)
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