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人工知能(AI)にも「お国柄」がある。判断の基準をマシンに教える側の人間社会に考え方の違いがあるからだ。同じ問題を解くのでも、開発した国や組織が異なれば別々の答えを導き出すことがある。
6月末、米政府の独立機関であるAI国家安全保障委員会が「コロナ危機対応とAI技術の役割」と題する白書を公表した。全米の病院や企業が臨床データを共有し、AIでワクチン開発を急ぐ案など10項目の提言からなる。同委員会によるAIと新型コロナウイルス対策に関する白書は、5月以来、実に3冊目だ。プライバシーやソフト開発者の責任など根本的な倫理問題の見解について、議会と国民に明確に示す必要があるからだ。政府の予算を使う以上、いくら切羽詰まった状況でも民主主義の手続きは省けない。中国ではAI導入のスピードが速かった。人の流れを監視するための個人の識別や感染経路の予測など、現場で活用が進んでいるのは事実だろう。
人口100万人あたりの感染者数(8月15日時点)を比べると、米国とブラジルが1万5千人を超えている。数字に信頼性の問題はあるが、ウイルス発生地とされる中国は62人にとどまる。個人情報の保護より監視データの収集を優先する社会の方が、感染対策で有利であるのは明らかだ。コロナは国ごとの価値観の差異を浮き彫りにした。「機械ではなく人間が中心のAI社会を、どの国が築けるか」。社会と技術の関わりを研究する青山学院女子短期大の河島茂生准教授は、世界史の分岐点が来たとみる。
違いは研究開発の姿勢にも如実に表れている。「XAI」と呼ばれる研究分野が象徴的だ。「X」は「説明できる(Explainable)」の意味。人間の言葉や画像を使って推論の筋道を分かりやすく説明できる能力を備えた次世代型のAIだ。この分野では米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が世界の最先端を行く。機密が多いはずの軍事部門が透明性を高めようとするのは、自律的なロボット兵器や作戦行動の自動立案が、既に米国で実用化されているからだ。機械が人命に関わる判断を下すなら、その判断の理由を説明する責任が軍にはある。「AIが決めたから」では済まされないのだ。(以下略 原文をご覧ください)
(*日経 記事より)写真は:中国ではコロナ対策でAIが活躍している(7月、上海で開いた国際AI会議で)=ロイター
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