今回のテーマは、大阪を拠点とするとある地方政治団体の有名な政策「身を切る改革」と「成長戦略」です。
躍進を続けてきたこの政治団体ですが、ここにきて所属議員たちの度重なる不祥事の対応にネットでの批判も高まり、やや勢いに陰りが出ているようです。
緊急事態宣言でたくさんの方が巣ごもりしているこの時期に「大人気」の政治団体の政策について振り返ってみました。
「身を斬る改革」について
「身を切る改革」とは市長や府知事の退職金をカットしたり、議員の給料をカット、定数を削減したりすることで、自らが率先して「身を切って」自治体の財政改革にガンバッテますよとアピールしていることをいいます。
人件費のカットは、企業でも経営改革の柱としているので評価するべきことなんですが、経費の削減となる一方、社員の生活を苦しめ労働意欲を低下させて仕事効率が悪くなる可能性があります。市役所においては市民サービスが低下する可能性があります。
人件費はコストとする反面、投資の一つであるという考え方もあります。給料を上げれば職員の士気は上がり元気も出ます。その結果仕事の成果も出始めて、良い人材も集まってきてスパイラル的に会社は業績を伸ばしていくことができるとする考え方です。
人件費カットは諸刃の刃
人件費カットを柱とする財政改革は「諸刃の刃」であることをその政治団体は認識していないのではないかと感じます。
単に人気取りのパフォーマンスとして大々的に「身を切る改革」を宣伝しているように感じます。これはその政治団体の成果として良かったかもしれませんが、大阪市職員の士気は下がる一方であり、優秀な大学の学生は大阪市役所への就職を敬遠する現象が起こり始めています。大阪市役所の職員のレベルが下がることは大阪市民にとってはサービスを低下させ大阪市民にとっては迷惑な話となります。
大阪市の財政を改善させているのは「身を切る改革」ではない?
「身を切る改革」の成果は確かに職員の人件費をカットすることにより大阪市役所の財政収支を改善させており他の財政改革と相まって借金の総額の減少させていますが、しかしこの人件費削減の一連の改革はこの政治団体系の市長が就任するずっと前の市長が市政改革の一環として進めてきたもので「身を切る改革」の成果ではありません。「身を切る改革」としての成果とすれば市長や議員の給料を減らしたぐらいで大阪市の財政収支にはほとんど影響はありませんでした。本当にパフォーマンスだけといってよく、コロナ対応にやったふりをするどこかの知事と同じ構図です。
「成長戦略」について
「成長戦略」とはインバウンドの推進、IRカジノの建設、2025年万博の推進が主なものでしょう。残念?なことにこの全てがコロナ影響で破綻しかかっています。この政治団体は全国に先駆けて「特区民泊」の指定を受けた結果、大阪市内に民泊があふれました。空き家が出ればすぐに内外の事業者が争って民泊を開業し、たくさんのアジア系旅行者が利用を始めました。
多くの民泊は大阪市内の下町の比較的静かな住宅街に建てられたため。旅行気分でハメを外す観光客の騒音や撒き散らすゴミが問題となって、地域住民からの民泊反対運動が続出しました。
また、IRカジノはコロナの影響で完成時期が事実上白紙となり、先行きが不透明(日経新聞)」になってきています。
カジノは大阪市民には何のメリットもなくむしろギャンブル依存症が増加するというデメリットだけの事業と言えるでしょう。
そして、2025年万博です。現在ドバイ万博が1年延期されて2021年の10月から半年間開催されることとなっており、入場者も感染症対策を多なったうえで海外からの入場者も自由に受け入れることとなっているようです。
大阪万博もコロナの影響で2025年開催が心配されるところです。現在の参加を表明している国はたった14か国だそうです。ドバイには190か国が参加しています。果たして間に合うのでしょうか?
万博の経済効果は1.5兆円とされていますが、建設費用の負担を求められている在阪の企業からもコロナ禍にあって業績が落ち込んでいるため負担に不満を述べる企業が増えているといいます。在阪の企業が期待しているのはインバウンドによる経済効果ですが、インバウンドの回復が見込めない今、はたして期待通りの経済効果はあるのでしょうか。会場への地下鉄などのインフラ整備も当初はIRの事業者に負担させると計画していましたが、IR事業に大幅な遅れが生じているので実現は不透明となっています。
舞洲は負の遺産なのか?
当の政治団体は「じゃあ負の遺産である夢洲の土地利用について代替案を示せ」と開き直っています。そもそも舞洲にしろ大阪湾岸に造成されている人工島は大阪市内から排出されるゴミの最終処分地として計画されて造成されたものですから、その存在自体に成果が生じておりその後の土地利用はおまけと言っても良いものなのです。それがいつの間にか「負の遺産」としてその政治団体のパフォーマンスに利用されてしまっています。
「成長戦略」は全て破綻しかかっている?
こう考えてみると、当の政治団体が「成長戦略」としていたこれらの事業はほとんど破綻しかかっているか事業実施の予定が大幅に遅れいて規模も縮小に追いこまれているといった状況です。
しかしもっと大きな問題は、これらの事業は果たして大阪市民にどれだけメリットがあるのかということです。「身を切る改革」も市民サービスの低下を招きかねず、インバウンドも地域住民の生活の安心を脅かしており、IRカジノや万博も地元大阪市民にとっては何のメリットもないのではないでしょうか?
何のために「改革」をしようとしているか?
大阪市民の生活の安全安心をおびやかし、大阪市役所の市民サービスを低下させる方向で進められつつある一連の「改革」は本当の改革と呼べるのでしょうか?
本当の改革とは、大阪市民の生活をよくするためのものでなければ意味がないものです。
舞洲の土地利用については、カジノなど弊害の多いものや万博のように跡地は公園にしかできないようなものではなく、新産業の拠点にするなど投資高価の高い方向で考えていくべきだと思います。
夢物語から早く醒めて
このように一番大事なポイントが抜け落ちている「成長戦略」は早々に改善を求めたいと思います。万博は予定通り進めざるを得ませんが、大阪市民を不幸にするIRカジノは中止してください。地下鉄建設については跡地利用なども併せて提案しながら必要性を訴えて国や企業に建設費用の負担を求めるべきでしょう。カジノ業者に負担させるなどという夢物語から早く醒めていただきたいと思います。
躍進を続けてきたこの政治団体ですが、ここにきて所属議員たちの度重なる不祥事の対応にネットでの批判も高まり、やや勢いに陰りが出ているようです。
緊急事態宣言でたくさんの方が巣ごもりしているこの時期に「大人気」の政治団体の政策について振り返ってみました。
「身を斬る改革」について
「身を切る改革」とは市長や府知事の退職金をカットしたり、議員の給料をカット、定数を削減したりすることで、自らが率先して「身を切って」自治体の財政改革にガンバッテますよとアピールしていることをいいます。
人件費のカットは、企業でも経営改革の柱としているので評価するべきことなんですが、経費の削減となる一方、社員の生活を苦しめ労働意欲を低下させて仕事効率が悪くなる可能性があります。市役所においては市民サービスが低下する可能性があります。
人件費はコストとする反面、投資の一つであるという考え方もあります。給料を上げれば職員の士気は上がり元気も出ます。その結果仕事の成果も出始めて、良い人材も集まってきてスパイラル的に会社は業績を伸ばしていくことができるとする考え方です。
人件費カットは諸刃の刃
人件費カットを柱とする財政改革は「諸刃の刃」であることをその政治団体は認識していないのではないかと感じます。
単に人気取りのパフォーマンスとして大々的に「身を切る改革」を宣伝しているように感じます。これはその政治団体の成果として良かったかもしれませんが、大阪市職員の士気は下がる一方であり、優秀な大学の学生は大阪市役所への就職を敬遠する現象が起こり始めています。大阪市役所の職員のレベルが下がることは大阪市民にとってはサービスを低下させ大阪市民にとっては迷惑な話となります。
大阪市の財政を改善させているのは「身を切る改革」ではない?
「身を切る改革」の成果は確かに職員の人件費をカットすることにより大阪市役所の財政収支を改善させており他の財政改革と相まって借金の総額の減少させていますが、しかしこの人件費削減の一連の改革はこの政治団体系の市長が就任するずっと前の市長が市政改革の一環として進めてきたもので「身を切る改革」の成果ではありません。「身を切る改革」としての成果とすれば市長や議員の給料を減らしたぐらいで大阪市の財政収支にはほとんど影響はありませんでした。本当にパフォーマンスだけといってよく、コロナ対応にやったふりをするどこかの知事と同じ構図です。
「成長戦略」について
「成長戦略」とはインバウンドの推進、IRカジノの建設、2025年万博の推進が主なものでしょう。残念?なことにこの全てがコロナ影響で破綻しかかっています。この政治団体は全国に先駆けて「特区民泊」の指定を受けた結果、大阪市内に民泊があふれました。空き家が出ればすぐに内外の事業者が争って民泊を開業し、たくさんのアジア系旅行者が利用を始めました。
多くの民泊は大阪市内の下町の比較的静かな住宅街に建てられたため。旅行気分でハメを外す観光客の騒音や撒き散らすゴミが問題となって、地域住民からの民泊反対運動が続出しました。
また、IRカジノはコロナの影響で完成時期が事実上白紙となり、先行きが不透明(日経新聞)」になってきています。
カジノは大阪市民には何のメリットもなくむしろギャンブル依存症が増加するというデメリットだけの事業と言えるでしょう。
そして、2025年万博です。現在ドバイ万博が1年延期されて2021年の10月から半年間開催されることとなっており、入場者も感染症対策を多なったうえで海外からの入場者も自由に受け入れることとなっているようです。
大阪万博もコロナの影響で2025年開催が心配されるところです。現在の参加を表明している国はたった14か国だそうです。ドバイには190か国が参加しています。果たして間に合うのでしょうか?
万博の経済効果は1.5兆円とされていますが、建設費用の負担を求められている在阪の企業からもコロナ禍にあって業績が落ち込んでいるため負担に不満を述べる企業が増えているといいます。在阪の企業が期待しているのはインバウンドによる経済効果ですが、インバウンドの回復が見込めない今、はたして期待通りの経済効果はあるのでしょうか。会場への地下鉄などのインフラ整備も当初はIRの事業者に負担させると計画していましたが、IR事業に大幅な遅れが生じているので実現は不透明となっています。
舞洲は負の遺産なのか?
当の政治団体は「じゃあ負の遺産である夢洲の土地利用について代替案を示せ」と開き直っています。そもそも舞洲にしろ大阪湾岸に造成されている人工島は大阪市内から排出されるゴミの最終処分地として計画されて造成されたものですから、その存在自体に成果が生じておりその後の土地利用はおまけと言っても良いものなのです。それがいつの間にか「負の遺産」としてその政治団体のパフォーマンスに利用されてしまっています。
「成長戦略」は全て破綻しかかっている?
こう考えてみると、当の政治団体が「成長戦略」としていたこれらの事業はほとんど破綻しかかっているか事業実施の予定が大幅に遅れいて規模も縮小に追いこまれているといった状況です。
しかしもっと大きな問題は、これらの事業は果たして大阪市民にどれだけメリットがあるのかということです。「身を切る改革」も市民サービスの低下を招きかねず、インバウンドも地域住民の生活の安心を脅かしており、IRカジノや万博も地元大阪市民にとっては何のメリットもないのではないでしょうか?
何のために「改革」をしようとしているか?
大阪市民の生活の安全安心をおびやかし、大阪市役所の市民サービスを低下させる方向で進められつつある一連の「改革」は本当の改革と呼べるのでしょうか?
本当の改革とは、大阪市民の生活をよくするためのものでなければ意味がないものです。
舞洲の土地利用については、カジノなど弊害の多いものや万博のように跡地は公園にしかできないようなものではなく、新産業の拠点にするなど投資高価の高い方向で考えていくべきだと思います。
夢物語から早く醒めて
このように一番大事なポイントが抜け落ちている「成長戦略」は早々に改善を求めたいと思います。万博は予定通り進めざるを得ませんが、大阪市民を不幸にするIRカジノは中止してください。地下鉄建設については跡地利用なども併せて提案しながら必要性を訴えて国や企業に建設費用の負担を求めるべきでしょう。カジノ業者に負担させるなどという夢物語から早く醒めていただきたいと思います。