雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「上流社会（全16話）」から⑩

2020-07-01 20:36:05

韓国ドラマ「上流社会（全16話）」から⑩

★ジュンギとチャンスの関係

　ツーカップルの恋模様を中心にストーリーは展開する。
　一組は財閥家の令嬢（チャン・ユナ）と貧しい育ちをした青年（チェ・ジュンギ）の恋、もう一組は財閥家マンネ（ユ・チャンス）と親の離婚で大学にも行けずスーパーの店員をやっている女性（イ・ジイ）の恋である。

　女同士（チャン・ユナとイ・ジイ）と男同士（チェ・ジュンギとユ・チャンス）はそれぞれ気の合う友人関係を築いている。
　チャン・ユナは素性を隠してイ・ジイの部屋に寄宿している。今の職場でイ・ジイと知り合った。貧乏暮らしを率直に受け入れ、大らかさを失わない彼女に親しみを覚えたわけだった。
　人をえり好みしないイ・ジイにユナを拒む理由はなかった。性格はいいし、きれいだし、お金もあまり持ってそうにないし、世間を知らなそうに見えて互いに助け合う場面はけっこうありそうだったから。

　チャン・ユナと出会う機会を窺っているチェ・ジュンギは、ユミンデパートの本部長代理として働いている。本部長は高校時代から知っているユ・チャンスである。
　２人は同じ高校に通った。ジュンギは当時から彼を財閥のボンボンと知っていた。カツアゲされそうな彼を助けた経緯もある。つまり、ジュンギは常にチャンスをマークしながら生きてきた。
　そして、結果的に今の職を得られることにつながった。しかし彼はこの地位に満足してる男ではなかった。
　ジュンギが財閥世界へのデビューを目指すのは、父の味わった屈辱を晴らしたいからだった。堂々と上り詰めて父をいたぶった奴らに見せつけてやりたいからだった。

　しかし、貧しい家の出の人間が這い上がっていくには、上流社会は夢みたいに遠い道だった。
　太平の財閥社会は各々が競争しながらも、鋼の結束を持って互いを支え合っているからだ。新参が加わるスペースはいつも少しに過ぎず、その新参とやらも同根から出て来た枝に過ぎない。
　大きな野望の中では小さな失意が絶えず繰り返される。
　ジュンギは大学に進んで知った。天才的な才能があれば別だが、少々優秀でも金のない庶民出の人間にできることはごく限られている、と。
　ジュンギは小さな挫折を繰り返した後、現在の仕事にたどりついた。
　ジュンギは自分の経営術に自信を持っている。しかし、チャンスが自分の才能を信じて代理職をあてがってくれたとは思わなかった。友人だからそうしてくれたと分かっていた。
　ジュンギが職場の上司と部下でなく友人の面を強く打ち出してチャンスと付き合っているのもそのせいなのだった。　