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第4回Abemaトーナメント(チーム天彦VSチーム広瀬)から



第4回Abemaトーナメント(チーム天彦VSチーム広瀬)から

古賀悠聖四段VS北浜健介八段
(予選Dリーグ 第一試合三局目)


 見始めたのは8時50分過ぎ。古賀四段の居飛車穴熊に北浜八段の振り飛車の戦いだったようだ。北浜八段が馬の威力に物を言わせ、堅固な穴熊に巧みに食いついている。これは勝ちにくいと、と見ていたら、北浜八段は玉側の桂馬をポンポンと二度跳ねして勝利につなげてしまった。
 新星の古賀四段にとっては不本意な将棋だったようだ。ベテランの北浜八段にうまくあしらわれてしまったか…。


 第四局は広瀬章人八段対鈴木大介八段。2人はふだんから仲がよいらしい。
 鈴木八段は振り飛車穴熊から石田流、広瀬八段は居飛車穴熊で対抗した。
 双方、ガチガチに玉の周りを固め合った。
 先手、2五に飛ばせた桂馬をうまいタイミングで咎めて手中に収める。
 馬と竜で横から玉に迫ろうとする鈴木八段。広瀬八段は4六に角を打って、鈴木八段の攻めをしのぐ。この角が最後は一手稼いで受けに利いた。
 縁台将棋の自分は後手に詰めろをかけられた時点で先手の負け。5秒将棋で後手玉を詰ます自信はない。ああいう局面で桂馬は役に立つんだねえ~。守り駒を一瞬で無力化させて詰みの局面を作り出してしまうんだから。
 5秒将棋でその局面を見つけ出してしまう広瀬八段はさすがだった。丸山九段と北浜八段も感心していた。


 これでチーム広瀬の3勝1敗となった。


 第5局は佐藤天彦九段対丸山忠久九段。一手損角換わりの戦いになった。丸山九段は角換わりのスペシャリスト。
 佐藤九段はどう対抗する?
 丸山九段は桂馬を9三に飛んだ。4六銀と戦いにそなえる先手に対し、丸山九段はかまわず8五歩と仕掛ける。
 同歩に同桂と跳ねる。
 この後、後手は3九角打ちから8四馬成り、先手は2二角打ちの奇手。
 ここから物凄い展開になった。藤井二冠を破った丸山九段の猛攻が炸裂し、佐藤九段は秒読みに追われた。
 ツボに入った時の丸山九段の攻め味は鋭い。竜の睨みと2枚桂の攻めに佐藤九段はなすすべなく寄せ切られてしまった。


 第6局も先後入れ替えで両者の戦いになった。
 佐藤九段は何としても雪辱したいところ。
 横歩取りの戦いになった。後手の7四歩は最新型の戦法。
 急戦含みの戦いは両者の駆け引きで互いに模様眺めの戦いに移った。後手は3三の桂馬がやや負担。
 後手は4四歩で3三の活用を図る。
 ここからまたしても双方の意地がぶつかりあう激しい戦いになった。
ぎりぎりの攻めをめぐって一手の利を分けたのは持ち時間? 2分以上の持ち時間のあった佐藤九段は一手の攻めと受けの差を見切り、最後は勝ちにつなげた。
 この日、佐藤九段と丸山九段の直接対決は1勝1敗となった。


 第7局目も再び古賀四段対北浜八段の戦いになった。
 互いに角を持ち合い、先手古賀四段に対して北浜八段は向かい飛車で対抗する。
 先手6六角打ちから4五歩は2二の飛車を睨んで味のよい攻め。後手は4二飛車と角からの睨みを避け、4筋からの反撃を目論む。
 先手は竜を作る戦果をあげるが、侵入を巧みに防ぐ。足を止めての着々とした手作りの戦いに進んだ。
 先手を持った古賀四段は序中盤は上手く戦いを組み立てた。だが、終盤、北浜八段の細かい攻めに焦らされ、持ち時間の切迫もあって受けを間違えてしまったようだった。
 丸山九段も語っていたが、フィッシャー・ルールは奥が深い。プロながらの一瞬の鋭い攻めが見られる一方、受け間違いでたちまち敗勢に追いやられる場面も出てきたりする。
 5秒ルールは天国と地獄を背中合わせでつないでいて、対局に見入る者をハラハラドキドキさせる。
 それでいて佐藤九段対丸山九段に見られたように、”公式戦にしてもいいんじゃないか”と思える迫力も感じた次第だった。
 
 戦いは5勝2敗でチーム広瀬の勝利となった。


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