雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(53)





韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(53)



「3歳くらい? どうなの?」
「・・・」
「院長や私たちをうまく騙したわね」
「・・・」
「子供がいたのね。旦那は何やってる人なの? 結婚はいつしたの?」
 突然すぎてクムスンは何も答えられない。
「私が警告したわよね。”ただじゃすまさない”、”いつまでも働けない”と」
「・・・」
「今日が最後かもね。さっそく院長に話さないと」
 ヘミは行こうとする。
「先輩!」
 クムスンはあわてて引き止める。懇願する。
「話さないでください。話す必要はないでしょう。騙すつもりではなくて、話さなかっただけです」
「私は話さない理由がわからないけど」
 行こうとするのをさらに懇願する。
「待って! お願いします。話さないでください」
 ヘミはせせら笑うように言った。
「いつだったか、私に言ったわよね。それが”謝る態度”かと。まず謝りなさい」
「何をですか?」
「今までのすべてのことよ。私の髪の毛も引っ張ったわ。トイレで水も浴びせたわよね」
「先輩も・・・嫌がらせをしてきたわ」
「ああー、謝れないわけね。わかったわ」
 さらに引き止める。
「私が何を・・・どうしてそんなにひどく当たるんですか?」
「それは――ここに来た日からをよく考えれば、すぐに思い当たるはずよ。あなたは不愉快で自分勝手なのよ」
「・・・」
「謝って。それを見てから考えるわ」
「・・・」
「嫌なの? ならいいわ。あなたは最初から嫌いなの」
「今までのこと・・・」
 ヘミは立ち止まる。
「今までのこと・・・お詫びします。理解してください」
「理解じゃなくて謝罪よ。よく聞こえなかったわ」
「今までのこと謝罪します。許してください」
「よく聞こえないわ」
「今までのこと謝罪します。許してください」
「いいわ。とりあえず保留にしてあげる。それでは倉庫の掃除をお願いするわ」

 部屋がノックされた。入ってきたのはウンジュだった。
「院長。昨日は失礼しました」
「そうよ。どうしたの?」とオ・ミジャ。「ショーだというのに」
「すみません」
 ミジャは理由を訊ねた。 
「誰かとデートとか?」
「いいえ・・・」
「わかったわ」
 一礼して出ていこうとするウンジュを呼び止める。
「ジェヒにあの服がよく似合ってたわ」
 ウンジュは沈んだ声で頷く。
「・・・そうですか」

 手術を終え、ドクタールームに戻ったジェヒは、彼女から電話を受けている後輩を見てクムスンを思い出した。
 携帯を取り出す。
 開いてかけようかどうか迷った末、フタを閉じる。
 ついクムスンのことを考えてしまう自分に苦笑いする。

 クムスンは先輩からむりやり押し付けられた倉庫掃除に励んでいる。
 マネキンを並べなおし、衣服をそろえ、タオルを一枚一枚たたんでいく。

 ソンランが訪問する日で、家ではジョンシムが大童で歓待の準備に追われていた。
 居残りで遅く帰りついたクムスンも加わって準備は整った。
 やがてシワンがソンランを連れてやってきた。
 花束を抱えてやってきたソンランはそれをジョンシムにプレゼントした。
「まあ、きれいだわ。花束なんていつ以来かしら?」
 ソンランはピルトにもプレゼントを用意していた。
「これはお義父さまに」
「何かな?」
 ピルトも嬉しそうに手を伸ばす。
「ワインです」
「ワインか。どうもありがとう。それではうちの家族を紹介しないと。まずは、ここにいるテワンは病室で会ったよな」
「はい。こんばんは」
「こんばんは」
 テワンはぎこちなく挨拶を返す。
「こっちは末息子の嫁のクムスン」
「こんばんは」
「こんばんは。心から歓迎します。この子はフィソンです。ほら、挨拶は」
「こんばんは」挨拶するフィソン。
「こんばんは」ソンランは手を伸ばし、フィソンの頬に触れる。「イケメンなのね」
「では、食事にしましょう」とジョンシム。「クムスン」

 やがてソンランをまじえての食事になった。
「では学生時代から一緒に?」
「はい。同じサークルでした」
「あなたも頭がよかったのね。シワンも同じ学校だけど、賢い人ばかりよね」
「母さん・・・」
 照れくさがるシワン。
 ソンランがサラダを好むようなので、クムスンはサラダを取りに立った。
「会社はいつごろから?」
「会社は・・・」
 ソンランがスプーンを落として話は中断する。
 ジョンシムはクムスンにスプーンを持ってこさせる。
「大学を卒業してから働いて、昨年、独立を・・・」
 ジョンシムは感心して満足そうにピルトを見た。
 活き活きとして自信に溢れたソンランにジョンシムは大満足のようだ。読めとして比較される気もして、クムスンはちょっぴり彼女にコンプレックスも覚えたようである。
「妹が今はアメリカにいて、1ヵ月後に出産なんです。それで観光もかねてしばらく行くそうなんです」
 ジョンシムはピルトを見、二人を見た。
「結婚式はどうするの?」
「ちょうどいい。結婚式を来月にしよう」とピルト。
「あの、父さん・・・早すぎませんか?」
「ご両親と会って相談すべきだけど、どうせここで住むから準備もいらないし・・・どうだ?」
「それはそうだけど」とジョンシム。「私たちは大丈夫でもソンランが大変でしょう。そうだ、同居の話はソンランにしてある?」
 シワンたちは目を見合わせた。
「いいえ、まだです」
「それだが」ピルトは話し出す。「俺が決めたルールだ。結婚したらほんとの家族になるまで、1年は同じ家で住むと決めている」
 ピルトの話に困惑しながらもソンランは頷いた。
 この時、取り落とした食べ物を拾おうとしているフィソンが見えた。ソンランはフィソンを注意する。
「フィソン、落ちたのはダメよ。取ってあげるわ。これを食べて」
 それを感心して見ているジョンシム。
「口が汚れてるわ」
 と拭いてあげたりもする。
「ソンランさん、子供の扱いが上手ですね」とクムスン。
 クムスンだけでなくピルトたちも感心している。
「甥の面倒をよく見てたのね。子供の面倒が上手だわ」
 ソンランは動揺した。シワンも彼女の動揺を感じて緊張した。彼女の親身な気遣いは身に備わった母性をたまたま露呈することになったからだった。
「頭のいい人たちは何でもできるわね。食べ物なら食べ物、勉強なら勉強と・・・何でもじょうずよね」
 クムスンはソンランと比較されてるような気分でジョンシムの話を聞いた。
「もう遅い時間だよ」
 テワンが言った。
 シワンはこれ幸いとその言葉に便乗した。
「ああ、そうだな。もうこんな時間だ。父さん、ソンランはそろそろ帰らないと・・・」
「ああ、そうだな」
 挨拶して出ていくソンランと見送るシワンを見てジョンシムは言った。
「あの二人、お似合いだわね」
 ピルトは頷いた。

 外に出たソンランはシワンに訊ねた。
「私、どうだった?」
「よかったよ。気まずかったか?」
「よかったけど、最後の話題は気が重かった。早く話してしまわないと落ち着かないわ」
「俺もそう思う」
「それと・・・同居しないとダメ?」
「父さんの言うとおり、1年だけだ」
「家も小さいし、部屋も3つだったわ。私が入ったら、テワンさんはどうなるの?」
「屋根裏部屋があるよ」
「どうしても一緒に?」
「1年だけだ」
「嫌なら結婚できないの?」
「そんな言い方はよせ」
「相談もなしに決めるから、事前に言ってくれるべきだったわ」
「当面の問題が大きくて考える余裕がなかった。先に話すつもりだったけど、母さんが言ってしまったんだ」
「当面の問題・・・そうね、それが大きな問題よね」
「・・・」
「わかったわ。行くわ」
 車のドアを開けようとしてソンランは振り返った。
 強い口調で言った。
「だから結婚は嫌なの。私たちの気持ちはいつの間にか二の次で、息子と読め、妻と夫の関係だけが残る。その関係の中で――義務と役割だけ残って、お互いの愛情も結局は冷めてしまうわ」
「・・・」
「見てなさい。あなたもきっと同じよ。行くわ」
 シワンはソンランの手を取った。
「俺はお前と初めて結婚するんだ。お前も俺とは初めてだろ。過去に何回結婚してようと俺とは初めてなんだ。何言ってるかわかるか?」
「ごめん・・・」
「二度とそんなこと言うな」
「わかったわ。だけど、なぜ? 話もダメなの? 過去にこだわらないんじゃなかった?」
「俺が過去に固執してるというのか? お前が固執してるんだ。前の旦那や結婚生活で、過去はどうだったから、俺もどうせ同じだろう、とお前が過去にこだわり――俺までそこに引きずり込もうとするのか?」
 ソンランは黙って唇を噛んだ。
「それが・・・どんなに屈辱的かわかるか?」
「・・・ごめん」
「行けよ」
「うん・・・行くわ」
「ソンラン・・・気をつけて」
「忘れたと思ってた。あの頃のこと」 
「・・・」 
「でも、あなたに会ってまた思い出した。希望に満ちるのが怖かった時があった。幸せなのが怖かったわ。また不幸になりそうで」
「・・・」
「私はいま幸せなのね。だから怖いのね」
 ソンランはシワンの頬に手をあてた。それから黙って車に乗り込んだ。
 シワンがそのドアを閉めた。

 家中に戻るとピルトがゴミ袋を持って出てきた。
 シワンはピルトに向かって切り出した。
「父さん、明日時間ありますか。昼でも夜でもいいですから」
「食事か?」
「話もありますし・・・」
「そうか。わかった」

 ソンランが帰った後、クムスンは自分が貧しい家の出であるのをジョンシムに詫びた。
 いきなりでジョンシムは面食らった。
 クムスンは、ソンランがこの家に入ってくれば、部屋割りで苦労する、というピルトとの話も立ち聞きしたのを話した。
 それなら、あなたを追い出すはずがないのも分かるでしょう、とジョンシムは答えてその場は収まった。
 このやりとりをテワンが聞いていた。
 しばらくしてテワンはピルトとジョンシムの部屋にやってきた。ソンランとクムスンを比較するようなことはやめてくれとジョンシムに意見して出て行った
 
 ミジャはいつものようにジュースを持ってジェヒの部屋にやってきた。
「ほら、起きなくていいの? まだ寝てていいの? 早く起きなさい」
 ジェヒは身体を起こす。
「ほら、これを飲んで」
 ジュースを握らされてもまた目をつぶる。タイせいあっくぜい・
「眠いなら、もう少し寝る?」
「いや、起きないと。セミナーの準備がある」
「じゃあ、早く飲んで」
 ジュースを飲んでるジェヒにミジャは訊いた。
「ウンジュと何かあった?」
「何で?」
「ただ、ウンジュが気になって。数日前はよかったのに、ここ数日は顔色も悪いし、話もしようとしない」
 ジェヒは母親を見た。
「何か知ってる?」
 ジェヒは首を振る。

「今、何時なの?」
 枕もとの携帯で時刻を確かめ、グラスをミジャの手に戻す。
「もう行かないと。シャワーを浴びるよ」
 ベッドを抜け出していく。

 フィソンを背中におぶい、クムスンは出かける支度にかかった。ジョンシムが手伝ってくれた。

 表に出るとテワンが追いかけるように出てくる。
 フィソンの名を呼ばれ、クムスンは立ち止まる。
 テワンが追いついてくる。
「俺が抱いてあげるよ」
「大丈夫ですよ」
「おばあさんの家までいくんだから」
「祖母の家まで?」
「ああ」
 クムスンは背中のフィソンをおろした。
「どうして?
「運動のためさ」
 フィソンを抱くとテワンはずんずん前を歩いていく。
 二人は肩を並べて祖母の家に向かった。
「重くないですか?」
「重いよ」 
「私は軽くていいわ」
「ガキの頃にさ。勉強しないでいると、父さんによく殴られた」
「私の想像通りだわ。フィソンは叔父さんに似たらダメよね」
「父親に殴られたら、普通は母親が慰めるだろう」
「そうなの? 私は両親がいなくてよくわからないわ」
「普通はそうなんだ。でも、母さんは違ってた。ジョンワンだけ可愛がった。俺と兄さんには違ってた。ジョンワンは末っ子だし、母さんはもともと優しい性格じゃない。情はあるが表現が下手でさ」
「それで?」
「それだけだ。言わなくても大切に思ってるんだ。曇りの太陽があるようにだ」
「へえ・・・。その表現、カッコいいわね」
「そうか」テワンは笑顔になる。「俺の決め台詞なんだ。ところで・・・俺の言いたいことが分かったか?」
「えっ?」
 テワンはすっと前を歩きだす。クムスンはあわてて後を追う。

 朝っぱらからスンジャの家には気まずく重い空気が漂っている。
 ジョムスンが何を言ってもスンジャは受け答えしない。黙々とご飯を食べている。
 そこに明るい声でクムスン親子が飛び込んできた。
「ちょっとクムスン、少し静かにして」


 シワンとピルトは食事どころに落ち着いた。
「話というのはソンランのことだな。そうだろ?」
 シワンは苦笑いした。
「はい」
「何だ?」
「あの・・・」
 シワンはためらいがちに話し出した。





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